江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

「新しい教育の形」はPCR検査から

2020-07-18 | 随想
厚生労働省が5月に新型コロナウイルス感染症専門家会議提言を踏まえて、新型コロナウイルス想定した「新しい生活様式」なるガイドラインを示しました。
この専門家会議なるものは既に解散させられましたが、「新しい生活様式」はその後も修正されつつ継続しているように思われます。

6月に入ってからはほとんどの自治体で学校も再開され、今では「新しい教育の形」なるものが求められるまでになってきました。
要はウイルス感染防止対策を取りつつ、いかに効果的に授業等を進めるかが問われているようです。

マスク着用、うがい、手洗いを子どもたちに習慣化(義務化)させ、学校内には3密を避ける工夫や消毒の徹底等を求めています。
しかし、どんなに工夫努力をしていても、目に見えないウイルスには感染することはあるのです。

今、学校現場では「新しい教育の形」のためにどんなに苦労しているか、現場に入ってみないと分からないことも多々あります。

当センターでもいくつかの事例はこれまでにも示してきましたが、限られた空間・限られた職員数・限られた時間でやれることは限度があります。
それを知りつつも現場では手を抜くことをせず、できる限りの対策を講じているのです。
それでも、感染者が出ることはあります。
学校内部だけで完結した社会ではないから当然です。

いったん感染者が出ると、「自分たちの方策が十分ではなかったのか、何がいけなかったのか・・・」、職員は深く落ち込みます。
周囲も、同様に現場の不備を疑います。

しかし、くどいようですがどんなに対策を講じても感染する場合はあるのです。
学校に人々が集まるという中にあって、絶対に防げるという完全なものはありません。


学校も一つの社会における事業所ですから、業務を進める上で留意する点があるのは当然ですが、そこにおける職員の本務を第一に考えるべきです。

少なくとも本務が疎かになるような過剰な「雑務」をする必要はありませんが、仮にそうした雑務に多大な労力をかけることは、本務に対応する登校者(学びを求めてやってくる子どもたち)に対して十分なサービス困難になることを意味します。
即ち、事業所(学校)の設置者である自治体の責任が問われることになります。

こうした構図が基本的にあるということを少なくとも関係者は認識しておくべきでしょう。
教員は授業を中心とした本務に専念することで、子どもたちに対する責任を果たすことになります。

状況に応じ本務遂行のために若干の諸作業は伴うことはありますが、それはあくまでも本務のために自ら行った方が便宜性が高く容易にできる場合に限られます。
その逆に諸作業に時間と多大な労力が使われるならやる必要がありません。
本務が疎かになるからです。

回りくどい言い方をしてきましたが、少なくとも教員は消毒や施設環境整備に従事して時間を消費するのではなく、子どもの授業のために準備をしアフターフォローをすることに専念すべきです。
そして、学習環境整備に必要な任務を果たすべき人員を配置すべきです。
それが設置者としての義務ではないでしょうか。

主権者である子どもや親たちは、権利行使のためには直接目の前にいる職員や学校に対してではなく、その背後にある自治体や国の責任としてとらえる必要があります。

今日の学校内部にあっては容易に筋を通して主張するのが困難であることは想像できますが、このまま放置して済ませることは矛盾を固定化してそれを当然化する誤った方向へ進むだけだということを認識すべきです。

「新しい教育の形」なる言葉に踊らされて、学校教育を奇妙な形に歪める方向へ進んではなりません。
今こそ、主権者同士が力を合わせて真っ当な学校教育を創っていくべき時ではないでしょうか。

蛇足ではありますが、学校という事業所は大勢の人が集まることが前提で営業されます。
そうであるなら、参加者全員が定期的にPCR検査を受けて少しでも感染リスクを軽減した中での活動があるべきです。
各種プロスポーツイベントに関わる人たちに実施しているような検査です。
それは不可能ではなく、当局が敢えて実施していないだけのことです。
それこそ、「新しい教育」は全員のPCR検査から始めなければなりません。


<教員の本務を忘れるな!>

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