江戸川教育文化センター

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普通の教員が攻撃に晒される ー都教委を告発する②ー

2020-07-16 | 随想
私は今回の事件(私にとっては忘れられない事件)に遭遇した際に、過去の様々な都教委の絡む事案を思い出しました。
最も悪質かつ有名な2003年「10・23通達」に関しては別途述べたいと思いますが、ここでは昨年の今頃、新聞に出た事案を見てみましょう。

これは「闘い」の中での事ではありませんが、教員なら誰でも身に覚えのある出来事から起こった事案です。
教員の権力性や学校教育の画一性といった問題が背景には潜んでいますが、それはいったん棚に上げて、こうした普通に起こり得る事態に都教委はどのように対応したかが如実に表れているので紹介したいと思います。

以下に、私が当時ある所に書いた記事をそのまま掲載します。




この新聞記事を見た教員の大半は、「う〜ん! 」となんとも言えない思いに駆られるのではないかな…。
「特別席」とはよく言ったもので、そこは大抵の場合は担任の位置から近い「指導しやすい」場所であることが多い。原則、担任は黒板のある教室前面にいるから、その席は自ずと前の方になりがちだ。場合によっては、担任が座る机の前ということもあるだろう。
クラスの中には、授業中の規律が守れず他の子の学習を妨げる行為に出る子どもが往々にして存在する。私の印象では近年ますますそういう子が増えているような気もする。
昔だったら、「ウルサイ! 廊下へ出てろ!」程度の言葉を投げかける教員も少なからず存在したが、今日においては、子どもの学習権を保障するとか、体罰に当たるとか、教員の指導力の無さがそうさせるとか、世間の風当たりは強い。
だから、仕方なく教室内で管理・指導しようと努める。その結果が「特別席」なのだ。もちろん、長期化したり恒常化しないように担任は努めているだろうが、子どもによっては容易に改善されない場合もある。
今回処分された理由が「保護者や子どもにその理由を説明していなかった」とされているが、少なくとも子どもには話しているはずだ。保護者は区教委に言う前に担任とは何かを話し合ったのだろうか…?
疑問の多い事案である。

これを教員の「指導力不足」として片付けてしまってはならない。
たしかに担任が上手に子どもと対応して問題行為(仮にあったとして)を修正していければよいが、容易ではないことは経験者なら誰でも分かる。
私が知る範囲で言うなら、この指導を教員の圧倒的な迫力(威圧的態度や言葉)で乗り切ってしまう事例も見てきたが、「特別席」より問題を孕む指導だと思う。
今回の戒告処分は、多様な子どもたちが生活・学習する学校現場で日々苦闘している教員たちに何をもたらすのか⁉︎
無責任な教育委員会よ、処分して自らの任務を果たしたと思うなら、それは大きな間違いだ。
処分によっては何も解決しないばかりか、現場教員を一層萎縮させ指導を困難にさせるだけだ。


以上ですが、これを書いた私の感覚としては、「多様な子どもたちが集まる学校で、日々苦闘する教員たちを暖かく見守るのも教育委員会の務めなのに、処分という形でしか対応しない当局に怒りさえ覚える」というものだったのです。

つまり、教育委員会は現場の状況や教員個々の仕事や思いをどの様に受け止めているのか?具体的にどうしようとしているのか?が見えません。
いや、それどころか、本気で子どもや保護者や教員のことを考えていないのではないかと考えざるを得ません。

思えば戦後の民主教育が根付く前に反動の波が押し寄せ、本来は公選制であるべき各自治体の教育委員が任命制へと変わっていった頃から学校教育も次第におかしな方向へ進みました。
そして、今日の東京都教育委員会のような典型的モデルが出来上がってしまったのです。

当初は日教組という労働組合が当たり前のように存在し、大多数の教職員が加入して戦後の民主教育を担っていました。
それを快く思っていなかった勢力が次第に力を増し、それこそイデオロギー的に日教組をとらえて攻撃してきたわけです。
その意味では実に政治的な動きを保守反動と言われる側が起こしていたのです。

こうした経過をつぶさに見ていくと、先にあげた「処分」の本質も見えてきます。
そうです、もはや当局の攻撃(保護ではなく)対象は弱体化した日教組等の労働組合のみならず、ごく普通の教職員も含まれるようになりました。
即ち、当局のお目に適わない人物は全て切り捨てることによって、当局の思い通りの学校教育を推進していくのです。


<都教委を絶対許さない!>

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2 コメント

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普通の教員が攻撃に晒される ー都教委を告発する②ー (徒然草)
2020-07-16 18:50:08
安倍自公政権は教育委員会を、教員や保護者と一緒に子どもの成長を支援する組織として認めず、子どもを安倍自公政権に都合の良い人間に教化をする事を目的とする組織に変質させたのであり、それに抗する教員についてはもちろん、子どもたちもその保護者についてもその尊厳を認めなくなったのである。
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普通の教員が攻撃に晒される ー都教委を告発する②ー (徒然草)
2020-07-16 19:19:59
安倍自公政権は教育委員会を、教員や保護者とともに子どもの成長をサポートする組織として認めず、政権に都合の良い子どもに教化するための組織に変質させたのであり、教員は政権のために手下として働く事こそその使命と認識させ利用しているのであり、それに抗するものは、教員はもちろんの事、子どもにもその保護者にも追従させるために攻撃を加えるのです。
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