江戸川教育文化センター

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安倍元首相の「国葬」に思うこと

2022-07-29 | 随想
7月22日政府は参議院選挙遊説中に銃撃され亡くなった、安倍元首相の「国葬」を9月27日に行うことを閣議決定した。

戦前は「国葬令」のもと天皇の勅令(命令)で執り行われていた。
岩倉具視や伊藤博文が該当する。

戦後は日本国憲法の施行で政教分離の観点から廃止された。
しかし、吉田茂は「国葬」だった。
決めたのは当時の首相佐藤栄作で閣議決定だった。

「吉田国葬」に議員秘書として関わった平野貞夫氏によると、与野党で何度も協議し「超法規的対応」「前例踏襲しない」ことで例外的対処だったと云う。
それで佐藤栄作は「国民葬」になった。

安倍の信奉する岸信介や在職中に急死した大平正芳、101才まで長生きした中曽根康弘も「内閣・自民党合同葬」で、田中角栄は自民党と田中家の合同葬だった。

安倍元首相を「国葬」するにあたり「法律的にも制度上も国葬についての規定がない」ので、2001年施行の内閣設置法に天皇の即位に伴う「即位礼正殿の儀」
などと同じ「国の儀式」としてなら、閣議決定を根拠に国葬も可能になると判断したと云う。

岸田首相はこれを根拠にして、安倍元首相を「国葬」にすると閣議決定した。
「国の儀式」と同列に扱う「国葬」とは、解せないしこじつけも甚だしい。

岸田首相が安倍を国葬にする理由は①8年8カ月の長期政権②内政と外交の面で功績を残した③各国での安倍元首相の評価が高いとからと云う。

長期政権は自民党が定めていた総裁任期「連続2期6年」を「連続3期9年」に安倍が勝手に変えたからそうなっただけだ。
内政外交に功績と云うがどんな功績なのか。

第一次安倍政権では(2006/9~2007/9)教育基本法の改悪や教員免許更新制など実施。
第二次政権では露骨なメディア操作に着手。 
新聞社TV各社の幹部との会食や放送法で脅して番組の改編や放送中止に追い込んだりした。
経営委員に子飼いのイエスマンを送り込みNHK会長人事を操作した。

その結果、2016年番組改編で安倍政権に批判的な番組のキャスターが相次いで降板した。
NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子氏、TBS「NEWS23」の岸井成格氏、TV朝日「報道ステーション」の古館伊知郎氏だ。

メディアを自らの御用機関化した安倍は、政治の私物化と日本を戦争の出来る国造りへと右に大きく舵を切った。
内閣法制局長官を憲法解釈もしたことのないイエスマンの「素人」にすげ替えて、「特定秘密保護法」「集団的自衛権の行使容認」「共謀罪」など戦争法案を制定した。

その後は推して知るべしである。
国会で118回も平気で嘘をつき、野党の質問を小ばかにしたり嘲笑ったり、国会軽視や権力を私物化した「森友・加計・桜」問題や「公文書偽造・改ざん・破棄」などそのあくどさは数多くある。

しかも国民の利益にかなう政策は何一つなく、口先だけで全て中途で投げ出している。
税金の無駄は「アベノマスク」であり、二度の消費税増税など給与は上がらず国民に生活困窮を強いてきた。
外交で実績など何処がと言いたい。
「地球儀俯瞰」外交など偉ぶっていたが各国首脳と会って、ペコペコ媚へつらい国民の血税をタダであげてくるだけだった。

プーチンと27回も会談したのに何ひとつ成果がなく、北方領土返還を不可能にした張本人で北朝鮮拉致問題も同様だ。
安倍政権で外交が良くなったものはないし、米国の言いなりの「武器爆買い」など従属外交でしかなかった。

各国での評価が高いと云うのは、お金をたくさん配ってくれたからで内実は何もないに等しい。
唯一の被爆国なのに、核兵器禁止条約には不参加である。
しかもアメリカの「核の傘」に頼り、「核共有」など主張してきたのが安倍氏である。

参議院選挙遊説中に凶弾倒れ、非業の死を遂げたことに悼みの気持ちを持つが、「国葬」によって安倍政権の「負の遺産」が無かったかのように賛美されることを懸念する。





<フウチソウ>

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1 コメント

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Unknown (ニガウリ)
2022-07-30 12:41:18
国葬は、諸外国を招き、「安倍礼賛」だけの「フェイク評価」を強引に捏造し、それを後世の人々に歴史事実として押し付け認めさせる演出です。この行為は自公政権による政治の私物化(立憲政治の否定・国民主権の否定)であり、国家の私物化であり、自公政権による国民の奴隷化(基本的人権の否定)です。強硬姿勢は参院選勝利によるもので、多くの国民が招いた結果です。自民党に投票しておきながら、こんなはずではなかったと後悔する多くの国民は無責任。多くの国民がもう少し罪の意識を感じるべきです。伊丹万作の言葉「騙されるという事も一つの罪である」が空しく舞う。しかし、あきらめず粘り強く戦う覚悟です。自公政権に負けない根競べこそ重要だと思います。
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