江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

全国学力テストから考えるー1

2018-04-18 | 随想
4月17日、「全国学力・学習状況調査」が全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に行われました。



国公立の小中学校の全ての学校と約半数の私立学校が参加しました。
その数は、合わせて約213万人(小6:107万2千人、中3:106万2千人)の子どもたちです。
普段の授業とは違う雰囲気の中で、子どもたちは緊張を強いられる時間を過ごしたわけです。


文科省をはじめ当局がどんなに理屈付けしたとしても、学校で学ぶ主人公である児童生徒たちに承諾も得ず実施したことは根本的な過ちだと思います。


因みに「子どもの権利条約」に触れた若林昌子さん(元福岡家裁所長)の次の指摘は示唆に富んだものです。
学力テストに関するコメントではありませんが、あらためて考えさせられました。
以下に「養育支援制度研究会」HPより引用します。

子どもの権利条約には、「人類社会を構成する者すべてが、本来的に尊厳な存在であり、平等にして不可侵の権利を有するものであると認めることが世界における自由、正義および平和の基礎である。」とあります(前文1節)。

つまり、条約は成人と同様に、子どもも一人の人間として尊厳ある存在であるというのです。
子どもについて、「人間の尊厳」を認めるとは、子ども固有の人格を認め、その意思を尊重することです。
子どもに関わる事項については客観的な子どもの意思、気持ちに耳を傾け思いやることが求められます(12条)。

しかし、子どもの気持ちを把握することは簡単ではありません。
乳幼児から思春期など子どもの成長・発達過程、子どもの置かれた複雑な個別事情を配慮し、客観的な「子の最善の利益」「子どもの幸せ」を思いやることが求められます。

条約は、子どもの権利保障について締約国の責務を定めています。
特に、国(社会福祉機関、裁判所、行政・立法機関)は、子どもの最善の利益の実現に向けてあらゆる努力をする義務があります(3条)。

条約の実現を担保するために、児童の権利委員会を設置し、締約国がこの条約を誠実に履行しているか審査する権限をもち、締約国は報告義務を負い、委員会は条約の実施について提案、勧告を行います(43条ないし45条)。 


「子どもの意思を尊重し、最善の利益の実現に向けて努力する」ことは、公の機関である学校やそれを統括する教育委員会や文科省に義務として課せられているのは確実です。

(つづく)


<すばる>

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