ビルという青年
原作:Rebecca Manley Pippert翻訳:polo181
人は彼をビルと呼んだ。彼の髪の毛はボサボサで穴だらけのTシャツを着てジーンズを履いて、いつも素足だった。これは大学生活4年間を通しての文字通り彼の”制服”だった。彼はきわめて頭脳明晰で、ある種神秘的な顔つきをしていて人懐こい性格だった。彼は大学在学中にクリスチャンになった。大学のキャンパスを隔てた向こうに、それはそれは威厳のある立派な教会が建っていました。
ある日彼はそこへ行くことにしました。彼はいつも通り素足で髪はボサボサ、ボロボロのTシャツにジーンズ姿だった。教会の礼拝は既に始まっていたので、ビルは座る席を探して通路を静かに歩いて下りて行きました。教会は完全に満席で座る場所を見つけることが出来ませんでした。すでに、信者たちはかなり当惑気味でいくぶん神経がぴりぴりしているのが感じられました。
それでも、ビルは席を求めてジリジリと司祭の演壇まで近付いて行きました。そして、座る席が無いことを知った彼は、演壇の直ぐ下のカーペットの上に座りました。(大学では明らかに許される行為であったが、信じてください、このようなことはここ教会では決してなかったことです:これも著者の言葉です)この時既に人々の神経はピリピリと張りつめていて、教会内のテンションは高まっていた。
この時、司祭は最後列にいた副司祭が立ち上がってゆっくりビルの方へ歩いてくるのに気が付きました。副司祭はもう80歳を超えていたが威儀正しく、白髪で杖をつき三揃えの胸ポケットには懐中時計の鎖がキラキラ光って見えました。そこに居る人々は皆、この威厳のある老人が杖をつき一歩一歩ゆっくりとビルに近付くのを見て心の中ではこう呟いていました。「誰も彼を責めることはできないわ。たかだか大学生でしょう、子供じゃない、床に座ってもいいじゃなの」と。
老人の歩みが遅いので彼がビルのところに近付くのにかなり時間がかかりました。教会の中は咳払い一つなく、彼の杖の音以外は静寂のただ中でした。すべての人の目がこの老人の上に集まりました。そして、みんなはそれぞれの呼吸の音さえ聞こえないほど何が起きるのか凝視しました。副司祭がなすべきことを終えるまで、司祭は何も語れない状況でした。
ビルに近付いたこの老人は彼の杖を床にそっと落としました。そして、ビルを独りぼっちの状態にしないために直ぐ隣りに、ビルと同じ様な格好で膝を抱えて床の上に座りました。みんなはこの意外な行動に胸を突き上げらてどよめきが起こりました。そして、そのどよめきが治まるのを待って、司祭はこう述べました。「あなた方は私がこれまで述べてきた説教は全部忘れるだろうが、たった今見た行いは決して忘れないことでしょう」と。
感動しました。ビルと副司祭に大拍手。
ボサボサの髪、ボロボロのジーンズ、そこに度のきついメガネをかければビル・ゲイツですね。
彼の学生時代を実際には見たことはないですけど(笑)
ビルという青年が餓えと疲れと汚れでみすぼらしい様子だったら話はドラマチックになったと思います。
今の若者にとってTシャツと破れたジーンズは誇れるファッション。
座る場所がなければ私でも床に座るかも知れない。
話の意図するところが判りません。
poloさんの訳が悪いと言っているのではないことは判って下さいね。
サルスベリの並木
みごとですね。
昔は立派なお庭にしかなかった木。
この頃は街路樹にしているところが結構あります。
京都も白や薄いピンク、紫の花が取り混ぜて並んでいるところがあって花の色のグラデーションがきれいです。
いずれにしても、熊子さんの感想を読んで、この翻訳を続ける勇気が湧いてきました。ありがとう。
バー君は、思いの他元気です。残された期間を精一杯楽しく過ごさせてやります。
黒ラブちゃん、元気回復良かったですね。
人の場合でも、病気と命は別と言いますから、期限付きの余命なんて考えないことにして、状況に合わせて、poloさんのいいお友達でありますように。
小話については、皆さんお書きになりますので、省かせてくださいね。
専門家で無いのですから、翻訳の上手下手は関係ありません。ブログの内容で今でも迷っております。poloさんは本当に良いもの手にされたと思います。今後が楽しみです。期待しております。