スケッチブック

写真と文章で、日常を記録に残す

ショートショート 9

2005-09-14 10:50:21 | Short shorts
二度目のチャンス
原作:Billy Graham
翻訳:polo181

1929年の秋、全米大学アメリカンフットボール選手権大会の決勝戦でカリフォルニア州立大学が名門ジョージア州立工科大学と対戦した。試合中に一人の選手が相手方がハンブルしたボールを拾い上げました。しかしあまりの激闘で緊張していた彼はこともあろうに反対側の自陣に向けて走りだした。驚いたチームメイトはゴール寸前でタックルして倒して事なきを得た。ハーフタイムの休憩で選手全員が控え室に戻ってきて、このプレーについて監督が何と言うか神経をピリピリさせながらベンチに座った。この若者は頭からすっぽりタオルを被ってうつむきながらしくしく泣いていた。みな監督の言葉を待った。

選手達が後半戦に臨むための用意が出来た時、みな監督の言葉に仰天した。監督は「後半戦も同じメンバーで戦うぞ!」と宣言したのだ。この若者以外は全員グラウンドへと階段を駆け上がって行った。しかし、若者は立ち上がろうとしない。頬を涙で濡らして、こう言った。「監督さん。私は出来ません。私は貴方の顔に泥を塗ってしまった。カリフォルニア大の名誉を汚してしまった。私は二度と観客の前にこの顔を見せることはできません。」

これを聞いた監督は後輩達が居並ぶ前でその若者の肩に手を置いて、「立ちなさい。そしてグラウンドに出なさい。試合はまだ前半が終わっただけだ。勝利は後半にかかっている。普段の力を出しなさい、そうすれば必ず私たちが勝利するぞ!」と言いました。そして結果的にこの青年の活躍があって勝利を収めたのでした。

<写真は自宅近くの学校で撮影。花も蝶も名前を知りません>

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
名監督 (あまもり)
2005-09-14 12:15:06
2年前の日本シリーズの星野監督を思いだしてしまいました。

阪神のリリーフピッチャーの安藤はダイエー打線に打ちのめされ試合は負けてしまったのにかかわらず、星野監督は翌日のリリーフにも安藤を起用。

安藤は昨日とはうって変わって見事に打線を押さえ試合を勝利。

気の弱い安藤を見事に使いこなした星野監督は「なんでまた安藤だと思っただろ」とインタビューで笑いながら応えていました。

選手を生かすのも殺すのも監督しだい。安藤と星野監督に惜しみない拍手が湧き上がりました。

と、私がヘタなショート書いてどないすんねん、ですね。すんません。

あの心地よい試合を思い出させてもらいました。ありがとうございます。
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あまもりさん、こんにちは (polo181)
2005-09-14 15:05:55
コメントを有難う。あまもりさんは阪神について詳しいですね。この話、私は知りませんでしたよ。さすが名監督。だいたい万年Bクラスだった阪神を18年ぶりに優勝へと導いた人間は非凡だ。私が訳したショートより、貴女が紹介したショートの方が感動的ですよ。ジッサイ。来期もSDを勤めてくれるそうだし、阪神にとっては願ってもないこと。さあ、今年はどうなりますやら。
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あったかいお話ですね (熊子)
2005-09-14 20:27:06
人って他人の失敗にはここぞとばかりに、自分のことを棚に上げて批判する動物。またそれが普通の行為行動。しかし、何かを超越した人は、他人に寛容。きっとこの監督さんも、あまもりさんのお話の星野監督も何かを超越した人なんだろうな。または過去に同じ失敗をした経験のある人は寛容なのかな。上に立つものは己の言語行動がいかに影響力があるかを肝に命じないと、相手の人生に暗い影を残す。駒大苫小牧高の野球部部長も一生涯、相手の子に影を残した。学生時代に、相手は自分の鏡である、こう一貫して教育を受けました。果たして私は相手を鏡にして後輩育成に邁進したかな。泣かせた後輩は数知れず。でも、愛を持って接したつもり。しかし、自戒だらけです。
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熊子さん、こんばんは (polo181)
2005-09-14 21:20:56
コメントを有難う。人の上に立つひとは、相手を育てるという信念に近いものを持たなければいけないとの教訓ですね。その意味では熊子さんも後輩を育てるにあたっては寛容の精神が必要ですね。いうまでもなく実践して居られると思いますが、改めて強くそのように感じます。私はもう会社から完全に離れているけれど、未だに家族の長として立っています。ですから、彼等の失敗を責めずに単なる一つの経験として捉えてあげるよう努力が必要だと思いました。
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指導者次第で (じゃこしかです)
2005-09-14 21:38:30
 poloさん今晩は。

とても良い話で、最も必要な指導者の姿です。スポーツを問わず、指導者や上司の意識次第で、過去にどれだけの若者が挫折したことか。玉も磨かれなければ光りません。今こそ上に立つ者の的確な資質が必要でしょう。
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じゃこしかさん、こんばんは (polo181)
2005-09-14 21:45:17
コメントを有難う。仰る通りですよ。駄目人間がひょんなことで出世してひとの上に立つ。その下で働く若者はただ堪え忍ぶだけで成長しない。そのような構図があちらこちらで見られる事でしょう。人間を活かすもころすも指導者の人格にかかっていますね。そのあたりを心得た会社は全体として成長することでしょう。
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心を育てる監督さん (anikobe)
2005-09-14 23:24:39
失敗した青年の心を育てる監督さん。

技術よりさらに大切なことを実践した良いお話ですね。

写真、お花も蝶も、綺麗で、ほっと和みます。

この蝶、家の庭にも遊んでいましたが、写したらピンボケ。だから、poloさんの写真に「アラッ、綺麗」と呟いています。
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anikobeさん、こんにちは (polo181)
2005-09-15 14:11:27
コメントを有難う。この世に生まれて、難なく、まっとうな人生を送れるかどうかは、まったくその人の運次第だと思うことがあります。良い指導者や助言者に恵まれれば、自然と良い方向に歩んでゆきます。でも、その逆の場合は、自分ではよかれと願いながらも過ちを犯し続けます。さらに、良い書物と出会えばそこから受ける影響は甚大で人生観をも変えることがあります。これについてもやっぱり”運”だと思います。
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