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12月18日一般質問の解説②

2013-01-12 | 人口減少問題とDIY主義!
 12月18日一般質問の解説です。ぜひ、お読み下さい。

合計特殊出生率2.0を目指す意義と人口減少社会を直視した取り組みについて

問(鈴木) 平成32年ごろまでに出生率2.0を実現することは不可能に近く、実現できたとしても人口減が止まるわけではないが、目指す意義は何か。大阪府の『人口減少社会白書』のように、人口減少を前提とした取り組みを進めるべきではないか。

答(県) 合計特殊出生率2の実現が難しいことは事実だが、「出生率2」の目標は特に若い世代の「2~3人の子どもが欲しい」という希望に応えるべく少子化対策に取り組む県の強い姿勢を示したもの。近々、人口史の専門家からヒアリングするなどして、必要な対策を講じていきたい。

解説: 県では平成23年2月に公表した総合計画で「平成22年度から概ね10年間」の間に「合計特殊出生率2.0」の達成を目指すとしています。しかし、平成23年の静岡県の出生率は1.49です。これを10年間で2にするには、12年間で出生率を1.66から2.0にまで上昇させた、少子化対策の優等生であるフランスの倍近いペースで上げることが必要です。

 また、国土交通省国土審議会長期展望委員会が東日本大震災発生前の平成23年2月21日に公表した『「国土の長期展望」中間とりまとめ』の中でも示されているように(※図①)、人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準。あくまでも子どもを産む世代の人口が均衡する水準)である2.07にまで出生率が上昇したとしても、当面、人口は減少し続けます。そのため、「わが国では人口の長期的な減少を決定的な事態と捉えなければならない」(国立社会保障・人口問題研究所)のです。


※図① 国土交通省国土審議会政策部会長期展望委員会『「国土の長期展望」中間とりまとめ』資料より

 子どもを産みたい方々が安心して産み育てられる環境を整えることは当然ながら必要です。しかし「出生率2」の実現ばかりを目標に掲げることは、出生率が上がれば人口減少は止まるという誤った印象を与えかねませんので、敢えてその意義を質しました。

 一方、人口減少・高齢化社会の到来を前向きに捉え、今からその対策と準備を行なうことでピンチをチャンスに変えていこうという取り組みを積極的に進めているのが、大阪府です。昨年の3月には、「オール大阪」で認識を共有しようと、全国初の試みである『大阪府人口減少社会白書』を作成しました。以前から独自に行なっている大阪府人口の将来推計を基に大阪府の長期的な構造変化を示しながら、変革や持続的発展を実現するにはどうすべきか問いかける内容になっています。


大阪府のホームページからダウンロードできます

 人口減少が決定的である以上、人口減少社会の到来を前提とした改革や政策実行の必要性は自明であるはずですが、これまでの常任委員会での私の問いかけに対し、当局は必ずしも明快な答弁をしてきませんでした。しかし、今回の一般質問では、川勝知事が自ら、近日中に歴史人口学の専門家である鬼頭宏・上智大学経済学部教授からヒアリングを行なうなどして独自の推計の策定等、必要な対策の検討や実行を進めていくという主旨の答弁をされましたので、人口減少社会に向けた取り組みが加速されるよう、今後も積極的に関与していきたく思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。


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