栄養医学ブログ

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ビタミンCの免疫能調整作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2025-01-09 16:00:11 | 健康・病気
高齢化により免疫能調整作用が低下し、アレルギーやガンを発症することが報告されています。そこで、免疫能の調整を栄養医学的手段でできるのであれば、高齢者にとって福音となります。

ポニッシュ博士らは、ビタミンCの免疫能調整作用のメカニズムを研究し、ビタミンCは、末梢血液リンパ球(PBL)による他の溶解性物質のin vitroでの遊離を減少させないが、有糸分裂の結合を変えたり、末梢血液リンパ球による植物性有糸分裂の受容体を変えたりします。なお、ビタミンCは、ただ単に栄養学的効果だけでなく、免疫学的効果を有しています。また、ビタミンCの免疫能調整作用は単球により達成されます。そして、細胞機能の抑制剤の誘導は、ビタミンCが存在するとき強化されます。さらに、末梢血液リンパ球のサイクリックGMP値を増加させることが考えられます。

Anderson博士の研究によると、in vivo、in vitroでの好中球の能動性に及ぼすビタミンC塩の刺激作用と、ビタミンC塩の投与と静脈内投与に伴う有糸分裂に対する白血球の免疫能は、ミロペロキシラーゼ/水素過酸化物./ハロゲン化物システムの自動酸化作用の阻害と関係があり、免疫系刺激活性とペロキシダーゼの阻害活性は、血清ビタミンC活性と関係しています。ビタミンC塩を投与すると、MPO/H2O2/ハロゲン化物のシステムを阻害することにより、好中球、リンパ球を保護します。更なる生化学的研究が待たれます。

References
T.W, Anderson et al., Journal of the Canadian Medical Association. Vol111, Page31-36, 1974
T. W, Anderson. Annuals New York Academic of Science. Page498-506, 1979





ガンへの栄養医学的補助療法の検討 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2025-01-06 16:53:37 | 健康・病気
ガンへの栄養医学療法は、あらゆるガン患者に最高の効果にまで、栄養に基づいた、自然に備わった抵抗力を高める事です。自然に備わった抵抗力を効果的に高めるためには、生理学的手段を用いなければいけません。栄養医学療法の目的は、ガン細胞の進行性増殖に対し、出来るだけ不好都合な生化学的環境と、正常組織の健康に好都合な生化学的環境を作り出すようにせねばなりません。

栄養医学療法的アプローチは、増殖と侵襲をコントロールする、普通の生理学的メカニズムに従います。これら生理学的因子は、栄養素、ミネラル、ごく微量成分、ビタミン、ホルモンなどです。ガンへの予防・治療効果を得るため、これらの成分の組み合わせは、栄養医学療法の一般的概念です。栄養医学では、健康に必要なヒトの体物質濃度を変えることにより、予防・治療できる可能性があります。ガンへのホルモン療法はその一例です。臨床例が多くなるに従って、いろんなタイプのガンが、内分泌調整にいくらか反応し、ホルモンが直接、ガン細胞に作用しないが、ガン細胞の増殖に対し、好ましくない細胞内環境の変化のパターンを作り出すことにより、ガン細胞に間接的に作用します。そして、この根拠も数が増えつつあります。

宿主抵抗力を強めそうな、ガンの成長を遅らせそうな生理学的因子の中でビタミンは、特に可能性があり、ビタミンCは強い可能性を秘めている、と考えられます。生理学的レベルと関連して、ガンのホルモン療法に用いた、極めて大量の投与量から考えて、がんの治療効果を高めるためには、基準量より多いビタミンCの投与量は必要、と考えられます。

References
Linus Pauling. Chemi-Biol, Interactions. 9(1974)

宿主の内的防衛力とガンとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-12-31 15:34:54 | 健康・病気
もしも、ガンの進行性侵襲の進行に対し、宿主(ヒト)の内的防衛メカニズムがあらゆるガン患者において、最高の効力まで強化されることが可能であるならば、治療の一般的形態に対する反応において、著しい改善がもたらされるに違いない、と考えられます。もしも、宿主防衛力が弱く、この弱さを治療者が無視するならば、ガン治療の限界は明らかで、治療のチャンスは遠のいていくと考えられます。 

いろんな治療法が研究され、早期発見の場合、外科的治療で再発を防いだり、再発しないように免疫療法で再発を抑えている場合もありますが、その根底には、食事療法やビタミンC、ビタミンD, 生姜やターメリックの摂取、それに菜食を中心とした食事療法(マックス・ゲルソン療法)などで宿主防衛力を高めておくことも予防や再発に貢献していると、研究は示しています。ガン細胞は、もともと宿主の細胞でそれがガン化したものである事を念頭に、現在のガン治療に加えて、上記、宿主防衛力を常日頃高めておくが、早期発見と共に重要と考えられます。今回は、Cameron博士とPauling博士、それにGerson博士の論文を参考にさせていただきました。両博士に謝意を述べたいと思います。

References
Cameron, E. Chemi-Biol, Interactions. 9(1974)
Gerson,M.(1858) A cancer therapy:Results of fifty cases.Totality Books.2nd edition. 432pages


認知症予防とビタミンの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-12-23 17:01:58 | 健康・病気
アルツハイマー認知症は認知症の約70%を占め、レビー小体認知症は約20%を占め、現在、約600万人の認知症患者がいると報告され、将来、認知症予備群を含め、認知症患者は、1000万人を超えると報告されています。今回は、ビタミンと認知症の関係について考えて行きたいと思います。

研究報告によると、レピー小体認知症では、ビタミンB1欠乏症の合併が見られ、さらに、ビタミンB12、ビタミンMなどが欠乏し、認知症の症状が見られます。ビタミンB1は神経機能維持に重要で、欠乏が続くと重篤な記憶障害をもたらす可能性があります。また、ビタミンB12が欠乏すると、認知症の症状が現れることが報告され、血液検査でビタミンB12濃度を調べて、不足している場合は補充すると認知症の症状が改善すると、研究では報告されています。

次に、脂溶性のビタミンDの欠乏は認知障害を発症する可能性があり、このビタミンが不足するとアルツハイマー認知症になる可能性が高まり、血中ビタミンD濃度が高いとその可能性は大幅に低くなります。また、別の研究では、認知症ではホモシステイン値が対照に比べて高いのですが、アルツハイマー認知症よりもレビー小体認知症の方が血中ホモシステイン値が高く、ビタミンB12の投与で改善するとの研究もあります。

レピー小体認知症では、αヌクレオチド(蛋白質の一種)からなるレピー小体が脳に蓄積し、レピー小体認知症が発症します。症状では、幻視、睡眠中に叫んで大声を出したりしてレム睡眠行動障害と動く動作や行動が遅くなったり、また筋肉のこわばるパーキンソン症状などが見られます。

予防と治療面では、ビタミンB1(サイアミン)やビタミンB12(シアノコバラミン), ビタミンM(葉酸)、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、それにビタミンB6(ピリドキシン)などの経口投与が米国や欧米諸国で自然医などが実施し、これらに加えて、栄養医などがビタミンC点滴とグルタチオン点滴も実施して、効果をを報告しています。これらは医薬品と違って栄養素なのでリスクは少ないと思いますが、長期の予防・治療になるので、腎臓・肝臓にトラブルを抱えているヒトは、摂取量を減らすなど、腎機能をモニターしながらの、医師の管理が必要と考えます。いずれにせよ、更なる研究の積み重ねが待たれます。


References
Lewy Body Dementia.  University of Michigan Health-Sparrow
How is Lewy body dementia related to Alzheimer's disease and Parkinson's disease? Cleveland clinic
Low levels of vitaminD in the brain linked to increased dementia risk.
Localized pantothenic acid(VB5) reductions present througout the dementia with Lewy Bodies brain. The university of Manchester
Yang Song. Serum homocysteine, VB12, folate, and their association with mild lognitive impairment and subtypes of dementia.  J Alzheimers Dis. 2022;90(2):681-691
Association of elevated plasma total homocysteine with dementia with Lewybodies  Aging Newrosci. 15  Oct 2021, frontiers






各種ガンへのビタミンDの効果について その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-11-05 14:04:38 | 健康・病気
前回に続いて、ビタミンDのガンへの研究についての最近の進歩について考えて行きたいと思います。

PuMedによると、●多発性骨髄腫において、25(OH)ビタミンDは、骨髄腫に伴う末梢神経障害を軽減しました。●前立腺ガンでは、1,25(OH)ビタミンDは、c-MYC(転写因子)とEMT(上皮間葉転換)遺伝子を阻害しました。なお、これらは前立腺ガン系統系統での蛋白質反応の拡大を促進しました。●頭と首の扁平上皮ガンでは、化学的放射線療法による25(OH)ビタミンD値の低値は、皮膚のdematitis(皮膚炎)とmucaritis(粘膜炎)を生じせしめた。●膀胱ガンでは、1,25(OH)ビタミンDは、膀胱ガン細胞系統に及ぼすcisplatinの効果を向上させた。●骨肉腫では、1,25(OH2ビタミンDとcalcipotriol(ビタミンD3の合成誘導体)の併用は、NMD(神経筋疾患)、ROS(システムレビユー)、それにEMT(上皮間葉転換)経路にインパクトを与えることにより、骨肉腫の転移とその成長を抑制しました。●ノールウエイ女性での研究によると、結腸・直腸ガンでは、ビタミンD3の高摂取は、近位にある結腸・直腸ガンの17%程の、より低いリスクを示しました。また、25(OH)ビタミDの適正量維持は、散在する結腸・直腸ガンの、よリ低いリスクを伴っていました。●結腸・直腸ガンでは、1,25(OH)2ビタミンDは、自動的脱アセチル化によって、HCT116とHT-29結腸・直腸ガン細胞系統のSIRT1を活性化し、抗増殖性反応をもたらしました。●VDR(ビタミンD受容体)とp53(p53抗体)の両蛋白質は、ビタミンDが結腸・直腸ガンを阻害するメカニズムとして、マウスでのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体脂肪酸のβ酸化を促進する遺伝子を誘導するため、相互作用を示しました。●ビタミンD3とneferine(オートファジイ調整因子)の併用投与は、HCT-116結腸・直腸ガンでは抗増殖性作用の相乗効果があり、低投与量では、副作用を軽減する効果がありました。●VDRFOK1(ビタミンD受容体遺伝子FOK1), Poly-A変種、それに25(OH)ビタミンDにおいて、これら変異体と25OH)ビタミンDの低値は、扁平上皮ガンと関係があります。●1,25(OH)2ビタミンDは、mTOR(リン酸化酵素)阻害とオートファジーの活性化により、A431ヒト扁平上皮ガン細胞系統と異種移植片扁平上皮ガンマウスのモードを利用する扁平上皮ガンを抑制しました。●非小細胞性肺ガンでは、CYP24A標的DNA核酸分子は、1,25(OH)2ビタミンDの抗増殖性作用を敏感にしました。更なる研究が待たれます。

専門用語解説
P53遺伝子が変異すると発ガンリスクが高まります。P53抗体は、ガン抑制遺伝子のP53遺伝子の変異に対する腫瘍マーカーで、早期ガン検査に利用されいます。

References
Gerbenon Serophin. The impact of VitaminD on cancer. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. Vol231, July2023