ビタミンDとガンの関係について、以前から多くの研究報告が発表されています。近年、ビタミンDとガンの関係に関する研究が著しく増え、多くのタイプのガンに対する有益な抗ガン作用が続いて報告されています。人口統計的研究では、ガンを予防するビタミンDの補給を勧めています。また、研究によると、ビタミンDは、免疫学的機能、抗転移作用、それに腫瘍発生などを調整します。
PuMedによると、ビタミンDとガンに関する研究での最近の進歩について、次に報告します。
●乳ガンでは、25(OH)D(ビタミンD3の変換型)の欠如は、より高いガンの悪性度に結び付きます。より若く、肥満している乳ガン患者はその影響を受けやすい傾向があります。●卵巣ガン患者では、高い血清25(OH)D値のヒトは、卵巣ガンのリスクが37%ほど低いです。●膠芽腫(悪性度の高いガン)では、1,25(OH)D(活性型ビタミンD)とVDR(核内受容体)アゴニスト(作動薬)の摂取は、プログラムされた細胞死と細胞オートファジイーを誘導し、ミグレィション(移動)を阻害しました。●黒色腫では、規則的にビタミンD3サプリメントを摂取した黒色腫患者は、黒色腫が成長するリスクが更に低下しました。●黒色腫では、25(OH)Dの低血清値は、BRAF/メチルエチルケトン阻害薬や免疫療法での治療のあるなしに関わらず、生存率の低下を伴っていました。●1,25(OH)Dは、アポトーシスを促進するPTEN(ガン抑制遺伝子)だけでなく、カスパーゼ(アポトーシスに不可欠な酵素)の活性化の発現をもたらしました。
専門用語解説
ビタミンDが肝臓で水酸化され25(OH)ビタミンDになり、生体内のビタミンDの主たる貯蔵形態であり、食品のビタミンDが肝臓で25(OH)ビタミンDに変換されます。なお、血清25(OH)ビタミンD値が20.ong/mL未満ならビタミンD欠乏で、20.0~29.9ng/mLだとビタミンD不足だと言われています。また、1.25(OH)2ビタミンDは、ビタミンDの代謝産物であり、活性型ビタミンDと呼ばれています。VDRは核内受容体の一種で、骨粗鬆症などとの関連が報告されています。25(OH)ビタミンDがVDRに結合すると、ビタミンD依存性蛋白質の遺伝子発現が制御されます。
続きは、次回の当ブログで紹介します。
References
Gerbenn Serophin. The impact of vitaminD on cancer. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. Vol231, July2023
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