森の中の恍惚

野山が笛を吹いている

六道珍皇寺

2019年05月30日 | 1/7,726 

東大路通を清水道交差点、松原通を西へ少し入ると現世と冥界とを隔てる境界「六道の辻」となります。


その辻に建つのは、冥官といわれる「小野篁(おののたかむら)」所縁の寺院「大椿山 六道珍皇寺」。

六道珍皇寺

 大椿山と号し、臨済宗建仁寺派に属する。
 創建は平安時代に遡り、かつては真言宗東寺に属していた。
 中世期に兵禍によって荒廃したため、建仁寺僧の聞渓良聡により南北朝時代に建仁寺所属となり、その再興がはかられ現在に至る。
 寺域は、古来からの埋葬の地、鳥辺野の麓で入口付近に当たることから、冥界との境界「六道の辻」と称され、お盆に帰る精霊は必ずここを通るともされた。
 「六道」は、仏教でいう一切の衆生が生前の業因によって赴くとされる地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六種の迷界をいう。
 毎年、お盆にご先祖の精霊を迎えるため八月七日から十日の四日間は、「六道まいり」の行事が行われ大勢の参詣者が、冥土にも響くという梵鐘(迎え鐘)を撞き、亡者をこの世に呼び寄せる。
 本尊は、平安時代前期の薬師如来坐像(重文)で、そのほか閻魔堂には木造の閻魔大王座像と冥官伝説ををつ小野篁(おののたかむら)の立像が祀られている。また、本堂裏庭には、毎夜に閻魔丁に出向くときにつかったと伝わる「小野篁公冥途通いの井戸」もある。
京都市


正面南向きに本堂、東側に「鐘楼」「閻魔堂・篁堂」「薬師堂」と並びます。


地獄の冥官小野篁の伝説が残る現世と冥界の境界に建つ寺

 古来、化野(あだしの)、蓮台野(れんだいの)とともに風葬の地として知られていた鳥辺野(とりべの)。かつての五条通であった門前の松原通は鳥辺野へ亡骸を運ぶ際の通路であった。現世から冥界へ行く際にの入口とされたこの寺の界隈にはさまざまな伝説が残る。
 平安時代、五条坂から今熊野あたりの阿弥陀ヶ峰(あみだがみね)の麓一帯は鳥辺野と呼ばれる京の東に位置する葬送の地であった。
 都人たちは、人が亡くなると亡骸を棺に納め、鴨川を渡り、鳥辺野へ至る道筋に当たる六道珍皇寺にて野辺の送りの法要を行い、この地で最後のお別れの後、穏坊(おんぼう)により風葬の地である鳥辺山の麓へと運んで行った。
 そんな風習のためか珍皇寺の辺りを中世以降「六道の辻」と称し、他界(冥界)への入口とされてきた。
 この六道とは、仏教の説く六道輪廻の死後の世界のことで、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上界の六つの世界をさす。
 衆生は死後生前の善悪の業により、六道のいずれかに赴くとされ、珍皇寺はこの六種の冥界への入口にあたり、こここそが人の世の無常とはかなさを感じる「あの世とこの世」の分岐点と信じられてきた。
 この寺と冥界にまつわる伝説がもう一つある。それは、平安時代初期の官僚で、閻魔大王に仕えたとされる小野篁は、この珍皇寺の庭の井戸を使い、夜毎冥界へ通ったという。また、時としてはその出口として嵯峨野の大覚寺門前の六道町に明治頃まであった福生寺の井戸を使ったとの俗説もある。近年隣接民有地(旧境内地)より、冥界からの帰路の出口に使ったと伝わる「黄泉がえりの井」も発見された。


本堂左(下駄箱のあるところ)から中への入口となっていて、お守りや御朱印などもこちら。


そして、反対側にある木戸の格子窓より、小野篁卿が使ったとされる「冥土通いの井戸」を覗き見ることができます。

篁 冥土通いの井戸

当寺の本堂裏庭の北東角(格子窓より見て右手奥辺り)にある井戸は、平安の昔に篁が冥府の閻魔庁の役人として現世と冥界の間を行き来するのに使ったところといわれている。
いい伝えによれば、篁は亡き母御の霊に会うためにこの鳥辺野にある当寺を訪れ、冥土に通じるといわれるこの井戸を使ったのが最初といわれている。
また『矢田地蔵縁起』にある大和国(奈良県)金剛山寺(矢田寺)の満慶上人が、篁を介しての閻魔大王の招きに応じて、衆生を救うための戒行である菩薩戒を授けに閻魔庁へ赴いたのも当寺の井戸からとされるなど、珍皇寺の井戸と篁さらには冥界を結びつける不思議な伝説は数多くある。
このように当寺にある井戸は、篁が冥土通いのために往来したところとして知られるが、その帰路の出口として使いこの世に戻ったところが、嵯峨の大覚寺南付近の六道町の一郭に明治の初め頃まであったとされる福生寺の井戸であるとする説もある。
しかし、残念ながら今はその遺址もなく、井戸の伝承はかつての福生寺の本尊として伝わる地蔵菩薩とともに清涼寺西隣の薬師寺に引き継がれている。
これは、平安の昔には珍皇寺あたりの洛東の鳥辺野とともに嵯峨の奥、化野もまた当寺の葬所であったことより、ここにもやはり六道の辻は存在していたとすれば、閻魔王宮に出仕していた篁が、冥府よりの帰路に出口としていたとする説もうなづけるところである。
尚、当寺の冥土通いの井戸の傍の小祠には、篁の念持仏であった竹林大明神が祀られている。
當山住持 謹白
:冥界からの帰路の出口とされる「黄泉がえりの井戸」は「冥土通いの井戸」の東奥となりますが、残念ながら特別拝観日のみの公開となっています。


「小野篁卿」の御朱印をいただきました。

■京都だお 2019 2日め
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