12月23日午前中に撮影
水面の杭にへばりついた雪が印象的。
これは昨日、真冬の台風が一方方向から吹いたために、風を受ける方向だけに雪がついて凍り付いてしまったもの。
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12月22日の朝、新潟県下越地方は未曾有の大停電に見舞われた。
最大で62万戸が停電となって、信号は止まる、列車も止まると言う人災となった。
この日は、夜中から真冬の台風と表現したい強風が吹き始めて、朝も続いていた。
朝、出勤時に乗る何時もの列車が30分ほど遅れて到着して、午前8時30分前に隣の駅に向かって発車した。
2分ほど走行して、列車は突然停止。
場所は、強風が吹き続ける、田んぼのど真ん中。
これからが、大停電の序奏曲であった。
車掌からは、故障が発生した模様と取り合えずの放送があった。
私は、通勤時は携帯ラジオを聴いている。
地元放送局は、停電が発生していることを伝えた。
しかも、放送局自体が停電に見舞われていて、自家発電機で放送を続けていると付け加えた。
次々に入ってくる情報は驚くべきものだった。
信号が停止している、新潟県内のJR在来線はすべて運行を停止しているなど。
列車に乗って孤立はしていたが、的確な情報は得ることができた。
車掌からの情報は、停電で止まっていると追加があった。
褒めておかなければならないのは、今列車の中に居る乗客に取って必要な情報はしっかりと伝えてくれたことだ。
まずは、トイレが設置されている車両の情報が伝えられた。
次に、停電で止まってはいるが、列車内の照明および暖房の電力は確保されていることも伝えられた。
(ただし、暖房は効いている様には思えなかった。私は、立ちっぱなしな状態で足元が冷えて困った。多分、座席に座っていた人は恩恵を受けていたのかも知れない。)
そのうちに、私と同じラジオから情報を仕入れたのか「NHKの情報によると、停電は新潟市を含む後半で発生している」と社内放送がなされた。
列車が停止して2時間を過ぎた頃、どこから電力を見つけてきたのか今でも不思議なのだが、のろのろ運転で次の駅に列車を動かし始めた。
10分ほど走行して再び停止、その後は断続的に停止しながら20分かけて隣駅のホームに滑り込んだ。
車掌曰く、3時間55分遅れて到着だそうだ。
結果的に、列車の中に2時間30分ほど閉じ込められた。
笑ってしまったのは、停電なのに自動改札機だけは、しっかりと動作していた。
当然、列車はこの駅で運行を打ち切った。
会社へ連絡を入れたら、自宅待機と宣言された。
今度は、強烈な風雪を背中に受けながら1時間ほどかけて自宅まで歩いて帰ることになってしまった。
道中は、足元は悪いわ、風雪は吹き付けるわ、車には融けかけた雪をかけられるわで、散々であった。
家にたどり着いたときは、コートと手袋、それに背負っていたリュックから水が滴り落ちていた。
午後早々に勤務先から帰宅命令の出たXと、下校した子供たちが戻ってきて、無事を確認できた。
水とガスは使えるのだが、電気が無いので暖房がまったく使えない状態だ。
午後4時を過ぎて、空が暗くなり始めると、急激に寒さが身にしみてきた。
TVを見ることができないので、中越地震でも発生した、一番情報が必要な被災地が、一番情報を得ることができないと言う状態となった。
ただラジオは電池で動作するので、地元局やNHKの放送で情報は得ることができていた。
新潟市の中心街は電気が回復したようだったが、なかなかこちらは回復してくれない。
今夜は、暖房と明かりの無い状態で一晩を過ごさなければならなくなりそうだと、途方にくれた。
しかし、午後5時を過ぎた頃、近所の家に明かりが点いているのに気がついた。
早速我が家もブレーカーを入れたら、明かりが点いた。
結果的に、寒い夜を過ごすことなく、普通の生活に戻る事ができた。
でも、3万戸の家が電気なしで一晩を過ごすことになった。
ライフラインと言われるものが途切れるのは、どんなに困ることか身をもって体験した一日だった。
この停電は、発電所から変電所へ向かう送電線のトラブルで発生した。
原因は、詳細な調査を待たないと分からない。
ただ、今現在言われているのは、強い風雪が鉄塔と送電線を絶縁している碍子にこびりついてショート(海が近いので雪に強い塩分を含んでいた)したのと、強風にあおられた送電線がお互いに近づいたためのようだ。
新潟県を営業範囲としている電力会社は東北電力だ。
まずは、この強風の中鉄塔へ登って回復作業をした方々に感謝の意を表する。
ライフラインを担当する会社とは言え、命がけの作業だったはずだ。
冒頭に「人災」だと記載した。
今回の強風は、新潟の冬では別に珍しいことではない。
だから、想定外とは言ってもらいたくない。
発電所から変電所へ向かう複数のルートで同時にトラブルが発生したことは、根本的なリスク管理がなされていなかったと言わざるを得ない。
電力業界は、各地域電力会社の独占状態となっている。
限られた部門で競争にはなっているが、各電力会社がお互いのエリアに営業をかけることは決してやらない。
曰く「電力サービスは価格だけではない、安定的な電力供給が一番のサービスである」と。
アメリカで、過度の競争が招いた大停電を引き合いに出して、日本では絶対に発生しないと胸を張って言っていたはずだ。
日本の電力料金は世界一高い。
なのに、こんな根本的なリスク管理を行わないで、何が安定的云々と言えるのか。
冗談じゃない。
高い電力料金は安定供給に使われないで、どこに使われたのだろか?
これを「人災」と言わずにいられない。
これも、12月23日の午前中に撮影。
同じように、一方方向からの風雪を受けたため、木が白い衣装をまとったようになっている。