ども~そのタローで~す
今日の五所川原は時折地吹雪の起こる真冬モード…にも関わらず、
吹き付ける雪の中、「立佞武多の館」周辺に若者の集団を発見しました
実はこの一団、フィールドスタディーで五所川原市を訪れている法政大学の学生さんたち
なんと、法政大学の奥津軽フィールドスタディーは平成20年から行われているのです
企業組合でる・そーれさんなどの津軽鉄道沿線の地域づくり団体が協力して、夏と冬の年2回行っている学生さんたちの受け入れは、地域づくりにも活かされているんですって
私が見かけた時はちょうど「ごしょがわら街歩き」の最中だったようです
そして午後…立佞武多の館を会場に、特別講義:アートと地域社会「地域がアートを育む、アートが地域をつくる」 開講
「伝統的なアートが地域社会の中でどのように育まれ今に至っているか」というサブタイトルの付いた興味深い講演をそのタローとおもち君も聴講してきましたよ
今回の講師は、地元でアートに関わるお仕事に携わっているこちらのお三方
【左】平成25年新作立佞武多「陰陽 梵珠北斗星」制作中のねぷた師・齊藤 忠大(ただひろ)さん
【中央】「津軽金山焼」で作品製作と陶芸教室を行っている陶芸家・中鉢(ちゅうばち) 徹さん
【右】つがる市の工房「津軽塗野崎」で製作と体験受入れを行う津軽塗職人・野崎 宏平さん
地元の人々の力の結集で生まれた「立佞武多」を、先達に恥じないように受け継ぎながらも、「アーティスト」という心構えで、他分野への波及効果も考え合わせながら製作するよう心掛けているという齊藤さん、
自分の考え、思想を表現できる媒体として、身近な表現手段であるやきもの…その中から津軽金山焼を選んだという中鉢さん、
その土地に暮らし、その土地の言葉で話し、その土地を感じてその土地で作ったものこそが「津軽塗」であると考え、伝統を踏まえながら、新しいものも品良く取り入れるようにしている、という野崎さん。
3人の職人さんそれぞれがやさしくフレンドリーな言葉で語ってくれる、現在の「職場」を選ぶに至った経緯、自らの「職」に対する熱い想いや考え方に、みなさん真剣に聞き入っていました
続く質疑応答では、学生さんたちから様々な質問が飛び出しました
3人の職人さんの若さに驚いた、という感想もありましたが、そのタローも全くの同感です
伝統工芸はどの分野も後継者問題がつきものだ、という話題も質疑の中で語られましたが、熱い想いで職に携わる若い職人さんがいてくれてこそ次の伝統へと引き継がれていくんですね
ところで、「アート」って最近ではずいぶん身近で耳にするようになった言葉ですが、なんだか専門的で難しそうじゃないですか
そもそもどんなものが「アート」なんでしょう
これを中鉢さんは、「何かを感じ、表現したいという気持ちがあらわれたもの」というような言葉で説明してくれました
踊りや歌、絵画ややきもの…ジャンルは色々ありますが、「これを伝えたい!」という動機で制作されたものは全てアート…というところでしょうか
これならわかりやすいですね
誰かの表現した「アート」が多くの人々の心に訴えかけて広がり、やがて普及し一般的になる…そしてさらに新たな「アート」によるインパクトが生まれ、それがまた普及していく…
これって今回のテーマである「アートが地域をつくる」状態ですよね
しかも、地域に古くから伝えられている文化の特色はその地域に住む人の考え方にも影響するので、まさに「地域がアートを育む」ということにもなる…
「地域」と「アート」はお互いに深~く関係しているんですね
元は身分の高い人しか使えない特別だったものが今や日常の器として普及している津軽塗をはじめ、伝統工芸はまさに「地域」と互いに育みあってきた「アート」というわけです
「アート」という言葉がとても近くに感じられてくる講義でした
ところで、今回の講師の皆さんそれぞれ分野は異なりますが、一番の共通点は「人」とのつながりを大切にしていること
力を合わせて作り上げる、技術を受け継いで作り上げる、地域を感じて作り上げる…
「アート」は決して専門的で高いところにあるものではなく、身近にあってとてもあたたかいものなんだなぁ、と感じたそのタローでした
そういえば、今回の講師の皆さんには、社会人となってからその道に魅せられ入門した経緯があるという共通点も
本気で職人を志すなら遅いということはないのかも
法政大学人間環境学部 西城戸教授ゼミのみなさん、
24日までのフィールドスタディーの期間中、ぜひこの奥津軽で様々な体験をなさってくださいね
みなさんの今後のご活躍を応援していま~す
もしかしたら、今回熱心に受講されていた学生さんたちの中からも、担い手さんが現れたりするのかな、とちょっぴりわくわくしたそのタローでした