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田舎ぐらし(128)

ー 金をやって子どもを産んでもらおう という話 ー

 

 菜園にある果樹のうち、期待できそうなのはブルーベリーだけ。去年甘夏とゆずを植えてみたが、どちらも枯れてしまった。

 性懲りもなく、今年も甘夏とゆずを1本ずつ植えた。どうしても作って食べたい。近くの農家の親父さんに聞くと、根をあたためてやればいいと言う。今年の秋冬は藁をふんだんに敷いてやることにした。

 さて、新聞には連日のように少子化の記事が出る。この際、児童手当や出産一時金を増やしてみたらどうだろう。そうしたら沢山子どもを産んでくれるのではなかろうか、というのが政府の目論見らしい。

 しかし、そうそううまく行くだろうか。
今から70数年前、終戦直後に生まれたのがいわゆる団塊の世代である。戦争が終わったばかりで、食うや食わずの時代、歩道の敷石まで剥いでジャガイモを作っていた時代になんと年間270万人の赤ん坊が誕生した。しかもその頃の人口は今よりはるかに少ない8000万人。そんな日本がそれだけの子どもを作ったのである。

 もっと言えば、幼稚園はない。近所に医者はいない。救急車なんか見たこともない。家で子どもの帰りを待つヒマな親などいなかった。そんなに貧乏だったのになぜ? と問うのは野暮天である。野暮天のためにあえて言えば、子どもを作る元気があったということ。

 とにかく、金さえくれてやれば子どもを作るだろうというのはいささか的外れである。仮に、単なる票集めだとしても気の毒なことにたいした効果は見込めないだろう。
 少子化は霞が関の話、結婚したばかりの夫婦や適齢期の男女にとって所詮それは他人事なのだから。

 そもそも、子どもを作る、作らないは純粋に個人の選択にゆだねるべきことであって、国があれこれしゃしゃり出ることではない。 

 

 
 
 

 

 
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