ディックは女の子にもモテモテらしい。TTGだとスターでしょ、TTだとスターとレイブンでしょ、原作だとバーバラ、他にも引く手あまた、イケメンこじらせて死なないか心配です。
このからみだとディクバーバラかな。でも、ディックにはやっぱりバットマンだよね!!
今回は家族パロ続編。ディックがスレイドにセクハラされたりマフィァンジャステスリーグでたり。
ディックは大通りのすれ違い様にナイフを煌めかせた。3日後、その餌食となった男の死が新聞の一面に乗った。
ディックの受難
2日前、バーバラとロビンはウェイトン社、社長室で向かい合った。これは二人にとってもバットファミリーにとっても大事なことだったからだ。
「先方はアナタを指名しているわ。ロビンの名を持つ、アナタに。」
ウェイトン社社長が面の肩書きのバーバラの瞳に有無を言わせない光が走った。
ロビンの名、それはバットファミリー後継者に冠された名。
つまりこの仕事はバットファミリー後継者、そして後継者としてのディックに対して依頼されたものだった。
「バーバラ。僕はやらないよ。言っておくが僕以外の家族もだ。」
「当たり前よ。この仕事はアナタにしか出来ない。先方もそれをわかってるわ。」
ディックが一瞬押し黙った。
しかしバーバラには何もかもがお見通しだった。
「『僕なんかよりダミアンの方が腕が立つのに』なんて考えるんでしょ?」
バーバラは鼻で笑った。
「とんだ誤解ね。アナタほどブルースの教えを受けた物はいないわ。」
「つまり、回り―バーバラも込みで―は僕をバットマンにしたいの?」
「そうゆうこと。アナタ以上の力がジェイソンやティムにあれば別よ。」
「…ブルースはとんだ財産を残したものだ…。」
ブルースは居なくなっても僕を悩ませる。
ディックはまた一つ悩みを抱えた。
しかしディックの一番大きな悩みはお金の事だった。
ジェイソンの進学、ティムの海外修学旅行、そしてバッツの学校入学費。その他生活費諸々。
ディックは大型企業の秘書部に勤めていたが度重なる出費に困ってしまった。
頼みだったブルースは実はまったく貯金をしなかったのだ。
ディックはこれは不思議だと思った。ブルースは細かな所に気がつく人だった。職種がら保険の一つや二つ入っていてもいい。しかし無いものは仕方ない。
ディックはため息をついた。結局は自分が頑張るしかない。
気を引き締め会社に入った、と、エレベーターで上司のスレイドど一緒になってしまった。ディックはしまったと思った。
この上司は毎日のように自分だけにセクハラをしてくるのだ。
「おはようございます。」
「おはよう。今日のユニコーン社の株価をみたかい?」
ディックはスレイドの手が自分の太ももをまさぐるのに気づいた。
「部長っ…あの―」
「みたかね?」
そうする間にもどんどん人が出たり入ったりを繰り返す。しかしスレイドの手はもっと激しくなった。
「っはい…上昇傾向にあります…。」
「そうだったな。我が社にとってもとてもいいことだ。」
満足げな笑みを浮かべ、スレイドは先にエレベーターを降りた。ディックが息をつく。
あんなやつ蹴飛ばしてやりたい。
しかしそんなことをすれば自分は首になるかも知れない。それをネタに関係を迫ってくる可能性さえある。
「…ブルース」
ディックは呟いた。
あなたがいたら助けてくれた?あなたは僕に何を残したんだろう。
「ディック!おはようございます!」
「おはよう。」
ディックは秘書部のオフィスへと向かった。
ブルースが残してくれたものの一つは家族だった。
「今日の夕飯はなに―!」
帰ってきたティムがディックに抱き付いた。
「まだ内緒だよ。さぁ、部屋にいるジェイソンと外のダミアンを呼んできて。」
「はーい!」
ディックは微笑んだ。家族って本当にいいよなぁ。
ディックは気配を感じ身構えた。
後ろにダミアンが立っていた。
「い、いつからいたんだい?」
「回覧板を置いてきて40分ぐらい。」
完全に気配を消していた。ディックは驚いたのが収まるとダミアンにナイフとフォークの束を渡した。
「さぁ、テーブルに並べて。君が来てから人手が増えて助かるよ。」
バッツがそれを受け取った、その瞬間、
殺気にディックは身構えた。
「………。」
ディックはじっとナイフを見つめるバッツからナイフを取り上げた。
「子供がナイフごときで殺気だつんじゃないよ。」
「型遅れだけど…ナイフは元々は暗殺者の物だ。」
「そう?」
ディックはナイフを手に滑らせた。その動きは驚くほど滑らかだ。
「暗殺者なら確実に一瞬で命を奪うものだ。なら、ナイフが一番さ。」
そして机に優しく置いた。
「ティムが君を探してるよ。この分じゃあバッツが見つかる見込みはないな。」
ディックはバッツの頭をこついた。
そして思った、バッツにはブルースの面影がある。
ジェイソンとティムが競うように階段を降りてきた。まずは食卓に集中しよう。
静かなバーには7人の男が座っていた。
杯を持ち上げると皆がそれに習う。
その男が止まり木の隣に座ったディックにまた杯を持ち上げた。
「君の初めの仕事に。」
「初めてじゃないししないよ。」
後ろからフラッシュがその男に言った。
「強情だよね~全くバットマンそっくり。」
その両隣に座る記者風と立派な髭をもつ男性もうなずいた。
「初めてとゆうのは君がバットマンの名を受けて初めてとゆうことさ。」
「諦めろ。お前はバットファミリーを継がなきゃならんさ。」
ディックは身構えていた。ここに居るのは5人共ブルースと肩を並べ、それぞれのファミリーのトップ達だ。
しかもいくら同盟しているといえども依頼の事を他のファミリーが知っている、こんなのは普通ならないことだ。
「…バーバラに頼まれたんだね。」
「ああ。彼女にとっても同盟者の俺たちにとっても大事なことだからね。」
7人はこの辺りの主要ファミリーとして協力と牽制をしあい均衡を保っている。ここでバットファミリーが崩れれば均衡は崩れるだろう。
「君独りの問題じゃないんだ。」
「…そうだね。だけど僕も家族も―」
「ならその家族のためだよ。」
「―どうゆうことだい。スーパーマン。」
ディックの目に冷たい光が走った。
それに答えたのは深くフードを被った緑の手をもつ男だった。
「なにも危害を加えるとかじゃない。そんなことをすればこちらが火傷する。」
「しかし今のままじゃ他のファミリーがバットファミリーの後釜を狙う。邪魔な奴は消せばいい。なんてな。」
それはディックも解っていたことだ。
決断するなら早く、だ。
「…僕は僕自身にも兄弟にも普通の日々をおくらせてやりたいんだ。」
「あいつらは望んでないのに、か?まぁバットマンになるのはお前だろうが。」
なぜ、自分なのだ。自分は一番出来が良くないはずだった。
ジェイソン達に全てを教えきるには時間が足りなかった?まだダミアンが子供だから?しかしディックはバットマンなんて危ない名を三人に名乗らせる気は無かった。
考えに耽っていたディックは隣で息をつくのを聞いた。
「…実は昔にバットマンと後継者について話した時があった。」
「グリーンランタン!」
「仕方ないだろ、ジョン。彼を本気にするためだ。」
「そん時、バットマンが一番いいって言ったのがお前だったんだよ。お前に自分の全てを教えたってな。」
「―彼が?」
そんなのは初耳だった。後継者のことも一番弟子だったディックにロビンの名を付けだのだと思っていた。
「でも、かれはその時バッツの事を知らずに―」
「ロビン。」
ディックは体が覚めたような感覚に落ちた。暗殺者として行動するときの感覚、気づけば6人のヒットマンが自分を見ていた。
「これは選択肢のある問題じゃないんだ。無理に選択をすれば全てが無くなるだろう。」
スーパーマンの言葉を聞きながら、ディックは止まり木から降りた。
僕がバットマンになるのはブルースの残したものなのか。
あの人が残したものを拒絶することや捨てる権利もある。
しかしディックは捨てる気も拒絶できないこともしっていた。
ディックの心は決まった。
ジェイソンやティム、バッツにも気づかれないほどディックは普段どうりだった。
しかしディックにとって今の自分はディックじゃなくロビンだった。
バットファミリー教訓第6条平常を保つこと。
仕事の日、ジェイソンは抽選で当たったライブに、ティムはスーパーマンの弟、コナーと泊まりに、バッツはバーバラがパパの会社を見せてあげる、と連れて行った。根回しが良すぎる。きっと抽選に小細工したのも誰かだろう。それだけ、他のファミリーもこの仕事を重要に思っているのだ。
ディックは独りの家で寂しげに笑った。
「これでアナタは満足かな…」
そう言って、忍ばせたナイフに触れ、暗闇の中に消えた。
そして、ディックは仕事をした。
「どうゆうこと?バットマンにはならない?」
「はい。僕はまだロビンの名のままでいます。」
次の日、また二人は向かい合っていた。
「バットマンと、バットファミリーの後継者としての仕事だったはずよ。だれか他の代理としてやったつもり?」
「…いいや。家族にバットマンの名は継がせない。そのために今回の仕事はロビン、つまりバットマン後継者としてやった。」
ディックがバットマンになれば誰かをロビンにしなくてはならない。つまり誰かが結局はこの仕事につくわけだ。
「だから僕がロビンのままでいる。そして誰も困らない選択肢を探す。」
「立派なご兄弟愛ね。ならまた仕事がきたらどうするのよ。」
ディックは立ち上がった。その目には決心が宿っていた。
「家族の手は汚させない。それは、バットマンの意志をつぎ、僕がするさ。」
「…まったく。そうゆう所がブルースそっくりよ…。」
「わぁ!今日のご飯はご馳走だ!!」
テーブルにずらりと並ぶ食事に踊るティムにディックが胸を張る。
「臨時収入が入ってね。」
ジェイソンの進学とティムの修学旅行とバッツの入学費を支払えるほどの臨時収入が。
「さぁ、二人も呼んできて―あ、ジェイソンだけでいいかな。」
「ダミアンは?」
ディックはティムの後ろを指差した。そこには気配を消しながらソファーで眠りこけたダミアンがいた。
「起きて、ダミアン。ご飯だよ。」
ディックは優しく、ダミアンをゆり起こした。
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