テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

長いお別れ

2022-08-31 | ドラマ
(2019/中野量太 監督・共同脚本/蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山崎努、北村有起哉、中村倫也/127分)


(↓Twitter on 十瑠 から(一部修正あり))

j-comチャンネルで録画した「長いお別れ」を観る。
山崎務が認知症を患った元教師の役で、その妻が松原智恵子、長女に竹内結子、次女に蒼井優という配役。直木賞作家の中島京子の小説が原作だそうだ。監督・脚本は中野量太。
 [ 8月 17日 以下同じ]

1回しか観てないけど2回目を観る気にならないのでお薦め度は★一つ「お薦めしません」。大きくみれば家族愛がテーマなんだろうけど、家族四人のエピソードがそれぞれ同じような比重で描かれていて、ドラマの軸がぶれているのが残念。脚本も中野監督らしいけど、男性には珍しく女性作家のような感じ。

個々のエピソードもインパクトに欠けてるし、既視感もあって残念。認知症の母を見送った経験からも、少し主人公は不自然に感じたな。盛り込まれたユーモアも半分は滑ってるし。

*

 録画があるのでもう一度だけ観た。
 ウィキを読むと原作は連作短編集らしい。なんとなくTVドラマを観ているような気分になったのはそういう事も関係してるかも。あんまり穿った演出がないんだよね。ありきたりなシーンの連続のような感じかな。

 蒼井優扮する東(ひがし)芙美は33歳。料理が好きでスーパーの総菜売り場で働いているが、ゆくゆくは自分の店を持とうと思っている。同棲している彼と別れる事になり、芙美もライトバンで移動食堂を始めることにする。バイトの女の子も雇ったものの経営は上手くいかない。その頃行方不明になった父を探している時に幼馴染の道彦(中村)と再会し、彼の母親が経営している小さなレストランで働き始め、やがて彼と同棲を始める。道彦はバツイチ。子供がいるので時々逢っているが、ある日道彦が元妻と娘と逢っている所に出くわし、彼ら家族の再生を予感してしまう・・・。

 竹内結子が扮するのは長女の麻里。
 夫の海洋動物学者、今村新(北村)と小学生の息子崇とアメリカ、カリフォルニアで暮らしている。引っ越して3年になるが未だに英語での会話も出来ず異国での生活に慣れていない。夫との会話も少なく寂しさを感じている。
 何事にも冷静に理路整然と対応する夫に対して時にヒステリックになる場面もあり、僕から見ると学者の妻らしくないキャラクターと思われる。いずれにしてもこの家族はステレオタイプの構成だったな。

 松原智恵子は母親役の曜子。
 お嬢様育ちの、しかし思いやりもユーモアも可愛らしさもあるお祖母ちゃんで、見てて楽しい。
 終盤、目の病気で夫と同じ病院に入ることになり、術後は養生の為に常に俯いて移動する。

 認知症になる父親、東昇平には山崎努。
 欧米では認知症のまま死を迎える事を「長いお別れ」というらしい。昇平は2007年から7年間の「長いお別れ」だった。
 7年間の病状の変化は明確には表現されてなかった気がする。

 お薦め度は★一つ半。商業映画としては物足りない。





・お薦め度【★=お薦めしません】 

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