「パンドラの箱」という古代ギリシャの寓話がある。天から火を盗み取ったプロメテウスの
弟の妻パンドラは神々から「決して開いてはならない」と受け取った箱を開けた。中から
怒り、悲しみ、疫病などあらゆる災いが飛び出し世界を埋めた。
「北朝鮮はパンドラの箱を開いてしまった」と韓国の政府系シンクタンク・外交安保研究院の
尹徳敏教授はいう。
北朝鮮は延坪島砲撃の前に米国の科学者にウラン濃縮施設を公開した。「まだ初期段階」
という観測を裏切り、完成段階にあるという。公開された約2000基の遠心分離機がフル
稼働すれば年間1個のウラン型核爆弾用の高濃縮ウランが生み出される。
韓国は3月の哨戒艦沈没事件と今回の砲撃と合わせ今年50人の命を北朝鮮に奪われた。
砲撃事件後に訪韓した中国の戴秉国・国務委員は李明博大統領に「対話解決」を主張したが
韓国はとても今、対話に乗り出す雰囲気にはない。
中国は6カ国協議の再開を急ぐが、まず砲撃への北朝鮮の謝罪か再発防止の約束が必要。
さらに抜け落ちたウラン濃縮も新たに核放棄対象に含めなければ意味がない。それが
結束した日米韓の強い意志だから・・・・
「パンドラの箱」の寓話の異伝はいう。「全てが飛び出した後、箱には希望だけが残った」と
北朝鮮の暴挙を封じることができるのは、希望をすてない圧力だ。