私には歩ける脚が無かったし
抱き締めるための関節も無かった
抱き締める相手もまた在なかった
女が歩いてくる
色とりどりのワンピースをヒラつかせながら
そうだ私は服もまともに着ていなかった
宝石だけが自慢だった
ただ彼女を羨んだ
子どもの笑い声が聴こえてくる
駆け回りはしゃぎながら
そうだ私は友達も在なかった
キラキラ輝る宝石だけが自慢だった
でも鳥に嫌な顔をされ
挙げ句避けられ
ただ宝石を見せたかっただけなのに
私は宝石と呼んでいる キラキラ光って
円盤に穴を開けたような
とにかく天気が良いと
美しく輝くんだ
しばらく雨が続いた
1匹のカラスがやってきた
大急ぎで羽ばたきながら
そうか
私にも友達ができるのか
今日はあまり反射しないからね
キミ
こんな処で人間に縛られて辛くないのかい
そうカラスは喋った
そんなこと
考えたことも無かった
ただ友達が欲しいと言った
なら
その円盤を僕にくれないか
友達は言った
私は喜んで宝物をあげた
翌日
友達が沢山来た
沢山話をした
そして一斉に帰っていった
夕方
私を創った人間がやってきた
私は薙ぎ倒された
人間は憤怒して私を罵り
蹴った
涙が出た
嬉しくて悲しくて