「『スワンの涙』が懐かしい……」
男子高校生がシンクロナイズドスイミングをやるというお話。
実際に、シンクロをやっている高校があるので、この高校がモデルになっていると思われる。
廃部寸前の水泳部が、学園祭で心機一転シンクロを披露するということで、そこに至るまでの紆余曲折をコメディタッチで語るという手法。
こういう比較の仕方ってして良いのか分からないけど、『シコふんじゃった』に通じる部分がある。
いや、矢口監督には失礼だけど、どうしても『シコふんじゃった』テイストがあったことは否めないかな、と。
でも、パクリっていう意味じゃない。
コメディとしての見せ方が共通的というだけ。
この映画には、この映画独特の面白さがあった。
特に気になったのは、全く意味がなさそうなシーンでジョン・ウーばりのスローモーションで見せるところ。
あれって、いったい何の意味があったんだろう?
すごい謎。気になる。
でも、だからこそ、逆に笑えたりした。
他にも、画面の隅の方で無意味なギャグを入れて、クスリと観客を笑わせてみたり。
この辺は、マンガ方面の影響が出てるのかな~、と勝手に解釈。
この手法、多分、30年前なら通用しなかったと思うんだけど、皆さんはどう思います?
あと、個人的にはアブドゥル・ジャバールばりのアフロで登場した玉木宏がウケた。っていうか、サイコーにツボにはまった。
ああ、もちろん竹中直人は別格だけどね。
とまあ、些末なギャグシーンばかり取り上げたけど、肝心のシンクロのシーンは一見の価値ありだと思う。
この映画は、最後のシンクロのためにあると言っても良いぐらいだし。
(正直言って、ストーリーというものはあんまりない)
前半はコメディで客を引きつけておいて、最後はシンクロでしめる。
映像メディアとしての「映画」というものを考えたとき、「映像としての起承転結」が見事に結実したと言っても過言ではないと思える。
ホント、それぐらいラストのシンクロは演技を越えて素晴らしかった。
逆に、ここがコケると最悪のバカ映画で終わっていただろう。
バカ映画ではなくて、コメディ映画としてきちんと仕上げた監督の手腕と、水泳の特訓をした出演者達に拍手!
登場人物全員が初めからスイマー体型をしているってのが、ツッコミどころだけど、これは言わぬが花。
『ウォーターボーイズ』(ビデオ)
監督:矢口史靖
出演:妻夫木聡、玉木宏、三浦哲郁、近藤公園、金子貴俊、竹中直人、杉本哲太、他
評価:8点
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