「やっぱり、ジャッキーはすごいぜ!」
これは厳密には映画ではない。
ジャッキー・チェンが、自身の映画で用いたスタントの舞台裏を解説するという、まさに「マイ・スタント」の記録である。
以前から、その存在は知っていたが、なぜか近所のビデオ屋には置いておらず、自分的には幻の作品となっていた。
んで、その幻の作品をついに観ることができたのだが、まずはのっけから石丸博也氏のナレーションに俺は心が熱くなる。
で、その中身だが、単純に映画のスタントシーンだけをダイジェストで紹介するだけなのかな、と思っていたけど、先にも述べたとおり舞台裏にかなり迫っていたのには驚かされた。
まあ、ここで紹介されているのは、ごくごく一部なんだろうけど。
でも、カメラアングルを使ったトリックや、迫力のあるアクションシーンを撮るための技法が、僅かとはいえタネ明かしされて、すごく興味深かった。
他にも、武侠片と功夫片の歴史の分岐についても触れ、ジャッキーがこの両者の良いところ取りをしている点について言及されているのも興味深かった。
確かに、ジャッキーの映画は昔のような荒唐無稽な武器は飛び出さないものの、槍や刀、棒、そして椅子を巧みに使っているんだよな。
そういう意味では、ジャッキーって従来の香港映画=ブルース・リー映画からの脱出だけでなく、自ら創作したコミカルカンフーからも、進化していたんだなと改めて考え直された。
っていうわけで、卒論には不足があったということを、大学を卒業してから反省してみたりする。
こういう資料的な作品が作られた背景には、ジャッキー自身のハリウッド的VFXへの否定も含まれていると思う。
まあ俺的には、VFXを使ったカンフーもありだと思う。
っていうか、『マトリックス』や『少林サッカー』は超面白かったもん。
でも、伝統芸能ってわけじゃないけど、ジャッキーのような身体を張ったナマのスタントを使ったカンフー映画は、ずっと撮り続けてもらいたい。
っていうか、ジェットー・リーの映画を観るまでもなく、いくらVFXを駆使しても肉体のポテンシャルが伴わないと迫力が出ないのも事実だから。
というわけで、ジャッキー的な天才演出家と、カンフーの達人がタッグを組んだ、スーパーカンフー映画がいずれ撮られることを祈ることとしよう。
『ジャッキー・チェン マイ・スタント ACT.1』(テレビ)
評価:-(映画ではないので)
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