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映画 ある男

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今回の映画レビューは平野啓一郎原作、石川慶監督による「ある男」です。

芥川賞作家で地元愛知出身でもある平野啓一郎の原作を愚行録や蜂蜜と遠雷などを手掛けた石川慶監督が手掛け、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝などの豪華なキャスティングで話題となった本作、遅まきながら鑑賞しましたが、かなり地味な作風ながら随所にハッとさせる演出が光る作品でした。

物語はとある田舎町で出会い、窪田演じるある男、谷口大祐と安藤演じる谷口里枝との再婚生活から3年後、事故により死んだ窪田が戸籍を偽った正体不明のXであることは判明、かつて離婚弁護を受けおった妻夫木演じる弁護士の木戸に愛した男の正体を依頼することで起こる顛末を描いたヒューマンミステリーとなっています。

また、登場人物のキャスティングも見事で、調査の鍵を握る受刑者の柄本明や安藤サクラや妻夫木聡の静かな演技、何よりこの作品で強烈な光を放った窪田正孝の演技が見事で今年の日本映画の主演男優として群を抜いたように思います。

作品の構成も前半の大祐と里枝との出会いから始まり、調査により明らかになるXの過去と日本独特の戸籍制度を利用した犯罪手法が巧みに描かれていて重苦しさの中に謎解きサスペンスの面白さがある内容でした。冒頭のバーに飾られたマグリットの絵画「複製禁止」がラストで再び登場、重なることがないある男の相反する人生を物語っているように感じました。そしてサイドストーリーのように流れていく弁護士木戸の人生もまた皮肉なものとなっています。


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