先日、ゴールデンウイークを避けて恒例の車中泊ひとりアート旅に出かけました。今回は山梨県の小淵沢周辺の三つの美術館を巡りましたので紹介します。
土曜日の夜に出発して、下道と高速を利用して深夜に伊那市にある道の駅南アルプスむらに到着、ここは幹線道路から少し離れた場所で車も少なく静かに眠りにつき翌朝は8時にオープンのパン屋さんで焼き立てメロンパン(クロワッサンが名物らしいですがまだ出来上がってなく残念)をかじりながら、最初の目的地、清春芸術村に。
清春芸術村は、一度は行ってみたいお勧めの美術館。創立者の吉井長三氏が、小林秀雄、白洲雅子、東山魁夷夫妻などと桜の咲く春に訪れその美しさに魅了され1980年にアトリエをオープン、その後にパリの集合アトリエを模したラ・リューシュを建設し、当地に様々な芸術の館を建設していきます。
1900年のパリ万博にワイン館として建てられたラ・リューシュはシャガールやスーチンなど20世紀の巨匠たちのアトリエ兼住居で同じ設計で建てられた芸術村の拠点となっています。
エッフェル塔完成100周年を記念してフランスより移設されたエッフェル塔の階段とセザールによるエッフェル像
地上4メートルの高さにある茶室「徹」は建築史家・藤森照伸氏設計、赤瀬川原平や南伸坊などが建築に携わっています。
安藤忠雄設計の光の美術館は自然光をいかしクラーベの作品や現代美術家の作品を展示
20世紀最高の宗教画家ジョルジョ・ルオーを記念して作られたルオー礼拝堂、入口上部の壁面を飾るルオーの宗教画や制作されたステンドグラスに祭壇背後の壁にある17世紀のキリスト像はルオーの彩色によるもの。建築設計は谷口吉生。
森の中に佇む平屋の建物は梅原龍三郎のアトリエを移築したもので愛用のイーゼルや画材、未完の油絵が展示されています。
後方にある清春白樺美術館は、白樺派の作家たちの作品を展示。親交のあった吉井長三氏が武者小路実篤や志賀直哉などが建設を夢みた美術館を谷口吉生の設計で実現したもの。
一面が芝生の広場や白樺の森など自然と現代建築が一体となる空間が心地よい。
白樺図書館は雑誌「白樺」の復刻版や白樺派ゆかりの文学や美術書などの資料を保管している。谷口俊太郎氏が図書館長を務めています。(現在は非公開)
季節の移り変わりと共に彩を変える清春芸術村、パリのエスプリや日本の近代芸術に現代美術が混然一体となった素晴らしい芸術空間です。山梨を訪れる際には、ぜひ訪れてほしい芸術の村です。