ヒットドラマとして、おなじみになった作品が二つあります。ひとつは池井戸潤原作によるドラマ「下町ロケット」と遊川和彦脚本による「偽装の夫婦」です。
二つのドラマ、下町ロケットは先週から新展開のガウディ編がスタート。偽装の夫婦では、主人公ヒロと超治が離婚し偽装の夫婦を解消して来週から新展開がスタートします。
近年のドラマは、ワンクール9回から11回、視聴率が低い作品は繰り上げて終了するケースも多々あります。
そんな中で、今回の2作品は、秋ドラマが軒並み一けた台の視聴率の中で、二桁をキープしている点でも評価できます。他にも二桁の視聴率をキープにしているのは、相棒14と科捜研の女で、シリーズドラマが好調です。
トレンディドラマの時代には旬の俳優を登場させ、最近のコミック原作でも若手中心のキャスティングなど、従来の路線を踏襲した結果、視聴率が伸びないのは、若年層がドラマを観ないと言う事は、若年層向け映画のヒットと反比例している結果と言えます。
さて、僕の考えるヒットドラマの要因は、大人向けドラマが持つキャスティングにあると言えます。
下町ロケットでは、原作のイメージにあう主人公をキャスティングした上で、鍵を握る若手、中堅、ベテランの俳優を新しいイメージ像でキャスティングしています。典型的なキャスティングは、立川談春、ルーズヴェルトゲームでは、ライバル企業の社長を演じ悪役ぶりが板についていました。今回は一転して、佃製作所を支える経理部長として社長の夢を具現化する役割をはたしていて好感が持てます。ほかにも大胆なキャスティング原作ファンから批判がありますが、ドラマにおいては重要な部分だと思います。
そのキャスティングの力では、偽装の夫婦での脚本家・遊川氏の天海祐希の使い方も実に巧妙です。今回は、前半で心の言葉で毒を吐きながらクールな図書館司書・ヒロを演じていますが、自らの意外な過去を知ることで一転、明るいキャラクターへと変身して、新展開に突入します。
今回のヒロは、前半ではドラマ・女王の教室のクールな天海が、後半ではおそらく、ドラマ・演歌の女王での天海の二面性が生かされているように思います。
僕自身、今のドラマは「観る人をあっと思わせるキャスティング」がないと視聴者を魅了することが出来ないと思います。眼の超えたドラマ世代を、いかに楽しませることがことができるか。試行錯誤を繰り返さない限り、大袈裟と思われるかもしれませんがドラマの未来はないと思います。