映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はロバートレッドフォード監督の「声をかくす人」です。
現在来日中のダスティン・ホフマンやクリント・イーストウッドなど、昨今、かつての名優が意欲的に映画監督として、意欲的な作品を制作しています。
今回の作品は、二枚目俳優として一世を風靡したローバート・レッドフォードが前作の「大いなる陰謀」から5年ぶりにメガフォンをとったもので、リンカーン暗殺の共謀者として女性としてはじめて死刑判決を受けたメアリー・サラットと彼女を弁護したフレデリック・エンキンの裁判のを描いた実話に基づくものです。
メアリー・サラットは、リンカーン暗殺の首謀者たちが彼女の営む下宿屋をアジトにしていたことから、共謀者となり、民間人でありながら軍法会議にかけられ処刑されます。
彼女の無実と法廷で裁かれていたら処刑されなかったのではと言う説は高く、レッドフォード監督は、その点を詳細に描いていました。
彼女の息子が犯罪に加担していたのではと言う疑惑から彼女は口を閉ざし、弁護したエンキンは、彼女を無実を政府の策謀に屈する事無く正義を貫き通す姿に感動しました。後に彼は、弁護士を辞し、後にワシントンポストの初代社会部長になっています。
南北戦争による勝者と敗者の間にある確執と大統領暗殺により法の下で行われた不平等。この映画は、人間の中にある拭う事の出来ない差別の心を浮き彫りにし、正義に貫かれた男と無言の中で無罪を貫いた女の崇高な人生を称えた人間ドラマでもあります。