チタン酸化物は水を紫外線で分解できることが知られている。
これが本多藤島効果の発見の元になっている。
チタン酸化物が光触媒として有機物を分解して塗布面を綺麗に保つという利用のされ方をしている。
このときのチタン酸化物は、なぜ有機物を分解できるのか??
これもイオン化傾向や酸化還元電位から考察する。
以下は自分のブログの引用。
イオン化傾向の差が大きいほど還元性が強い。
ビスマスの少ないストロンチウム・タンタル酸化物は酸化されやすく、還元性が強い。
SrBi2Ta2O9に加えるとしたら、
リチウム (Li), Li+(aq) + e- \rightleftarrows\ Li(s), E°= -3.045 V
バリウム (Ba), Ba2+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ Ba(s), E°= -2.92 V
ストロンチウム (Sr), Sr2+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ Sr(s), E°= -2.89 V
アルミニウム (Al), Al3+(aq) + 3 e- \rightleftarrows\ Al(s), E°= -1.676 V
チタン (Ti), Ti4+ + 4 e- \rightleftarrows\ Ti, E°= -1.63 V[3]
ジルコニウム (Zr), Zr4+ + 4 e- \rightleftarrows\ Zr, E°= -1.534 V[3]
マンガン (Mn), Mn2+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ Mn(s), E°= -1.18 V
タンタル (Ta), Ta2O5(s) + 10 H+(aq) + 10 e- \rightleftarrows\ 2 Ta(s) + 5 H2O, E°= -0.81 V
鉄 (Fe), Fe2+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ Fe(s), E°= -0.44 V
鉛 (Pb), Pb2+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ Pb(s), E°= -0.1263 V
(水素 (H2)), 2 H+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ H2(g), E°= 0 V
アンチモン (Sb), Sb2O3(s) + 6 H+(aq) + 6 e- \rightleftarrows\ 2 Sb(s) + 3 H2O, E°= 0.1504 V
ビスマス (Bi), Bi3+(aq) + 3 e- \rightleftarrows\ Bi(s), E°= 0.3172 V
銅 (Cu), Cu2+(aq) + 2 e- \rightleftarrows\ Cu(s), E°= 0.340 V
SBTOはE゜=-0.4から―0.6V程度と予想。
E゜=0V水素では還元されないが、
E゜= -0.9V ストロンチウム・タンタル酸化物で還元されて表面がビスマス金属になる。
メカニズムは、水素が白金電極で水素イオンになる。
水素イオンはまず、ストロンチウム・タンタル酸化物を還元する。
生じたストロンチウム・タンタル酸化物の酸素欠損型が接しているBLSF結晶を還元する。
BLSFから還元された表面が電気伝導性を示す。
チタンの酸化還元電位は、-1.63Vと推測できる。
この電位を超えて、チタンが光によって還元されて、
相手を還元して酸化チタンに戻ろうとする性質が、
有機物を還元分解する本質であると思っている。
チタン以外に、近い電位はジルコニウム、マンガン、タンタルとある。
これらは、光触媒として働くには、
まず、光によって分解されて、
その直後に周りを還元して自身が酸化物に戻る性質をもっているか?ということが決め手になっている。
引用すると、
可視光応答光触媒及びその製造方法及びその利用方法
【課題】白熱灯、白色LED、太陽自然光等あらゆる可視光領域に対して感受性を有し、水の光分解に活性を有する可視光応答光触媒を開発することを課題とする。
【解決手段】酸化ジルコン及び黒鉛又はグラファイトシリカを主成分とする光触媒であって、60~100W白熱灯の紫外光をほとんど含まない可視光領域でも量子収率30%以上の水分解性能を発揮する光触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光応答光触媒及びその製造方法及びその利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光活性をもった光触媒としては、酸化チタン系のものが主流を占めている(例えば特開2003-260370、特開2004-330074、特開平11-333302、特開平11-333304)。
【0003】
これに対して、酸化ジルコニウムはハンドキャップが大きく可視光に応答し得ないとされているが、これを用いたものについても、特開2009-106897、特開2003-117407、特開2007-75678等において提案されている。
【0004】
このうち、特開2009-106897には酸化ジルコニウムに関しては酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの白色顔料の表面に0.05μm以下の酸化タングステン粒子を付着させた可視光応答型光触媒が開示されている。
【0005】
また、特開2007-75678には、酸化ジルコニウムにニオブ、タンタル、又はアンチモン、Cr,Feなどを含む可視光感受性機能酸化物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-260370
【特許文献2】特開2004-330074
【特許文献3】特開平11-333302
【特許文献4】特開平11-333304
【特許文献5】特開2009-106897
【特許文献6】特開2003-117407
【特許文献7】特開2007-75678
以上のようにチタン以外に、近い電位はジルコニウム、マンガン、タンタルも光触媒になり得る。
これらの金属は、還元力をもって有機物を分解するなどの効果を示す。
これらが、結晶粒子界面における酸化還元にも関わっていると私は見ている。
結晶粒子界面の還元が起こると
ノーベル物理学賞のトポロジカル絶縁体が形成されるのだ。
ビスマスと光触媒と組み合わせた材料に紫外線を照射することで、
微視的な還元が起こり、
絶縁結晶の表面が還元されて導電性を示すことが、トポロジカル絶縁体の発現メカニズムでもあると思っている。
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