北海道開基百年を記念して開設された「北海道開拓の村」。明治から昭和初期にかけて建築された北海道各地の建造物を54haもの敷地に移築復元・再現した野外博物館です。人気漫画『ゴールデンカムイ』 に同村の風景が度々登場し作者曰く“作中の世界観が味わえる場所”だとか。 同村では2月23日(木・祝)~3月21日(火・祝)に年中行事として「桃の節句 ひなまつり」が開催中です。
本日は「北海道開拓の村」で年中行事の「桃の節句 ひなまつり 2023」を鑑賞にやってきました。これまでの経験で観覧客の多くはシニア世代か子供連れと予想したのですが「新さっぽろ駅」からのバス車中もエントランスホール「旧札幌停車場」周辺でも若い男女を多く見かけます。どうしたんだろう?と思っていると「旧札幌停車場」内に人気漫画『ゴールデンカムイ』 の主人公・杉元 佐一の大きなイラストが展示されています。傍らの解説を読んで合点!漫画内では「北海道開拓の村」内の建物が度々登場し作者の野田サトル氏より“作中の世界観が味わえる場所”としてお墨付きをいただいている場所のようです。若い男女は‘聖地巡業’だっという訳です。皆さん作中に登場した建物の写真を撮りながら楽そうに周回していました。
バス停から見た「北海道開拓村」のエントランスホール「旧札幌停車場」。アクセスは地下鉄東西線の東の終点「新さっぽろ駅」バスターミナルの「北レーン10番乗り場」よりJR北海道バス「新22開拓の村行」で乗車約20分です。
エントランスホール内に設置されていた『ゴールデンカムイ』 関連のパネル等。
「北海道開拓の村」は「北海道はゴールデンカムイ を応援しています」キャンペーン「ARスタンプラリー2022」 チェックインスポットの一つです。
“『ゴールデンカムイ』(GOLDEN KAMUY) は、野田サトルによる日本の漫画。明治末期の北海道・樺太を舞台にした、金塊をめぐるサバイバルバトル漫画。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2014年38号から2022年22・23合併号まで連載された。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ”
「主な登場建造物マップ」。ファンの皆さんはこの見取り図片手に村内を周回されていました。
こちらは年中行事「桃の節句 ひなまつり」のちらしです。
“北海道開拓期のひなまつりは、普段大切にしている人形を集めて棚に飾る程度で、松前や江差などの豪商が人形を取り寄せたり、武士団の移住で持ちこまれた雛人形が飾られたのはごく一部のことでした。一般家庭に普及したのは、昭和に入ってからのことです。 北海道開拓の村のひなまつりで、“当時の生活文化”、そして“一足早い春”を感じてみませんか。”
同じく「ひな人形マップ」。我が家は二つのマップを持って村内を周ることにします。展示されているひな人形は村内の建物に由来するものや道民から「開拓の村」に寄贈されたものなど23組だそうです。
まずは「旧札幌停車場」。『ゴールデンカムイ』には24・28巻に「札幌停車場」として登場。
現在「冬の生活体験」イベントを実施中で昔の家具等も展示されています。
その1角の2組のひな人形のうち【昭和初期】のもの。
もう1組は【昭和28年】(豆雛)で「北海道の年中行事」解説コーナーにあります。
「豆雛」。
村で育てたカイコのまゆから作った「繭のおひなさま」も販売していました。
旅館兼待合だったという「旧来正旅館」。
『ゴールデンカムイ』には複数回登場し3巻では脱獄王と呼ばれる囚人・白石 由竹が聞き込みに行こうとした遊郭の建物として登場。
ひな人形は旅館兼待合を再現した店内に【大正14年】と【昭和初期】(展示棟由来)の2組が展示されています。
【大正14年】のもの。立派ないわゆる「御殿飾り」で「御殿」内には男雛・女雛、三人官女、五人囃子が並んでいます。
「旧浦河支庁庁舎」。明治30年(1897)に北海道庁が郡区役所制度を廃止し支庁制度を設けた結果、浦河村に置かれた支庁庁舎。
『ゴールデンカムイ』には6巻で囚人の家永 カノが女将に扮していた「札幌世界ホテル(殺人ホテル)」として登場。
ひな人形は明治末期のものから合計4組が展示。
小樽市で栄えたという「旧三〼河本そば屋」。
『ゴールデンカムイ』には2巻に杉元がにしん蕎麦を食べた店として登場。
展示のひな人形は【昭和29年】(展示棟由来)で実際に河本家で飾られていたものだとか。
道内の代表的新聞の一つ「旧小樽新聞社」。札幌軟石を外壁に積みあげた構造で『ゴールデンカムイ』には13巻に土方歳三が購入予定?の新聞社として登場。
「旧近藤医院」。明治35年(1902年)に古平町で開業した近藤清吉が建てた病院で昭和33年(1958年)まで使われたとか。
『ゴールデンカムイ』には15巻・18巻に網走近郊の病院として登場、その他別の場所としても登場。
「旧山本理髪店」。北海道神宮「裏参道」沿いの「床屋さん」として親しまれ昭和61年(1986年)まで営業していたとか。翌年「北海道開拓の村」に移築・復元されたもの。
『ゴールデンカムイ』には6巻に茨戸の宿場町で理髪店を経営する山本の店として登場。
米穀、雑貨、荒物などを扱ってきたという「旧武岡商店」。
『ゴールデンカムイ』には21巻で樺太・敷香で日用品買い出し中の杉元が狙撃手から狙われるシーンに登場。
ひな人形は住居部分に2組、店内の模様を再現したコーナーに【昭和2年】の1組。
「旧武岡商店」を出ると「馬そり」がきました。「市街地群」から「漁村群」を15分ほどかけて周回します。
「体験学習棟」。
様々な昔の遊びなどが体験できるようになっています。
その一角に【大正10年】~【昭和32年】の4組のひな人形が展示されています。
また会場では「ひなまつり」企画の一つとして折りびなづくりが体験できます。小さな子供連れ家族に人気でした。
「漁村群」の「旧青山家漁家住宅」。青山家は安政6年(1859年)に山形県から渡道し小樽沿岸を中心に鰊建網などを経営した大漁家です。
立派な鰊御殿の建物は『ゴールデンカムイ』では囚人の辺見和雄がヤン衆(雇われ漁師)として潜んでいた場所として登場。
屋敷内の居住部分にある立派な仏間に置かれた青山家由来の雛人形。
農業及び土地会社経営に従事したという「旧松橋家住宅」。『ゴールデンカムイ』には第8巻で鶴見中尉率いる第七師団の兵舎内部として登場、その他の巻でも度々登場。
奥の居室部分には松橋家由来の【昭和29年】【昭和32年】の2組のひな人形と「雛軸」(絵入掛図)。
「旧開拓使爾志通洋造家」。開拓使の官舎として建てられ外観に白ペンキが塗られていたことから俗称「白官舎」。『ゴールデンカムイ』では7巻に日高で牧場を経営しているエディー・ダンの家として登場。
【大正中期】と【昭和10年】の2組のひな人形が展示されています。
「旧開拓使札幌本庁舎」に戻ると「馬そり」も周回から戻ってきました。
「旧開拓使札幌本庁舎」前で「馬そり」は午後まで休憩。
「馬そり」の乗車希望者は入場券売場向かいにある「馬そり整理券受付」において整理券を受け取りチケット(大人250円)を購入します。午前10時より1日10往復の運航です。馬さんも大変です。
お昼の時間になったので「開拓の村食堂」で食事です。あまり期待する程ではありませんが「新さっぽろ駅」まで戻るには時間がかかるので仕方なしです。
店の入口には「名代いももち」。
メニューです。
店内は役所の食堂の雰囲気。
「魚介だし醤油ラーメン」(税込み800円)。
こちら「北海道あずきかぼちゃいももち」(同220円)と「いももち」(同190円)。「いももち」は表面はカリッ中はもちっとで良い感じでした。
「旧開拓使札幌本庁舎」前の「冬の生活体験」コーナー。
“木のそり(荷ぞり)、竹スキーなどの昔の遊び体験、 昔の道具を使った除雪体験などを通して、当時の冬の人々の暮らしを体感してみませんか? ”
木のそり(荷ぞり)と竹スキー。
木のそり(荷ぞり)で楽しそうに遊ぶ人たちでした。
「旧札幌停車場」に戻り以上で本日の観覧終了。
今回も華やかな雛人形や健気に働く馬に感心したのですが最も興味が惹かれたのは『ゴールデンカムイ』の件。 明治末期からの北海道を舞台にした物語の作画の上で「北海道開拓の村」の雰囲気や建物が大いに参考になり役立った由。そんな建物を移築・保存した村設立の目的が今般大いに活かされたのでしょう。‘聖地巡礼’等も含め如何なる目的であれ歴史に親しむ場所であり多くの人が足を運ぶのは良いことだと思います。ありがとうございました。
「北海道開拓の村」
札幌市厚別区厚別町小野幌50番1 011-898-2692 E-mai:info@kaitaku.or.jp
開村時間
4月1日~4月30日 | 午前9時~午後4時30分(入村は午後4時まで) 休館:毎週月曜日(祝日、振替休日の場合は翌日が休館) |
5月1日~9月30日 | 午前9時~午後5時(入村は午後4時30分まで) 無 休 |
10月1日~3月31日 | 午前9時~午後4時30分(入村は午後4時まで) 休館:毎週月曜日(祝日、振替休日の場合は翌日が休村)、年末年始(12月29日~1月3日) |
*年中行事「桃の節句ひなまつり2023」
2月23日(木・祝)~3月21日(火・祝) 9時~16時30分
(2023.2.23訪問)