見出し画像

札幌・円山生活日記

所蔵品展『匂ふやうな灰色』―好太郎・乳白色の世界へ/#みまのめ〈VOL.10〉~「北海道立三岸好太郎美術館」~

本日は「北海道立三岸好太郎美術館」で第4期所蔵品展「『匂ふやうな灰色』―好太郎・乳白色の世界へ」と「アートギャラリー北海道 #みまのめ〈VOL.10〉」の鑑賞です。地下鉄東西線「西18丁目」駅で下車し「北海道知事公館」前のフルーツパーラー「SHIKAKU TO MIKAKU」経由です。
「北海道立三岸好太郎美術館」の外観。 

先ずは2階の「アートギャラリー北海道#みまのめ〈VOL.10〉」の鑑賞です。
三岸好太郎美術館では、2018年度より、北海道ゆかりの優れた若い作家を紹介するシリーズ企画「mima-no-me #みまのめ」をスタートしました。
10回目となる今回は、10代から30代の作家4名を紹介します。生まれ育った土地と自身の関係をテーマに、フィールドワークで生じた体験や記憶をインスタレーションとして展開する秋元さなえ。自らの身体が風景に溶け込んでいくような感覚的イメージを大画面に瑞々しく描きだす川村正寿。多色摺木版と発泡インクを用いたシルクスクリーンにより、既視感のある日常の情景を独自の感性で紡ぎだす佐藤寧音。生き物たちの幻想的な世界を、精緻な描写と濃密な色彩で表現する清水芹春。いずれの作家も独自の表現を探求しながら、活躍の場を広げています。本展を通じ、若き芸術家の清新な作品をご覧いただければ幸いです。

先ずは生き物たちの幻想的な世界を精緻な描写と濃密な色彩で表現する清水芹春「海神(わたつみ)のしるべ翅(はね)ひらかん」2024年。

清水芹春は札幌市生まれ。現在、北海道札幌厚別高等学校3年生で札幌市在住。1年次から高文連で毎年入選し、2024年には北海道代表として全国高等学校総合文化祭に出品。また、道展U21や全道展など道内の公募展でも受賞を重ねる。鳥や魚など生き物の精緻な描写を主としながら、濃密な色彩と優れた構成力によって独自の幻想世界を表現し続けている。

清水芹春「六六変(ろくろくへん)じて九九鱗(くくりん)となす」2023年。現在の画風の基となった作品とか。
清水芹春「鋼(はがね)のように鳥(とり)の如(ごと)」2023年。高校三年生ですと。本日の最も印象的な迫力作品でした。
生まれ育った土地と自身の関係をテーマに、フィールドワークで生じた体験や記憶をインスタレーションとして展開する秋元さなえの作品展示コーナー。
自らの身体が風景に溶け込んでいくような感覚的イメージを大画面に瑞々しく描きだす川村正寿の作品展示コーナー。
川村正寿「スイミング・イン・ザ・モーニング」2020年。
清水芹春「作業所へ」2024年。

清水芹春「北斎、猫祭りへ行く」2021年。

多色摺木版と発泡インクを用いたシルクスクリーンにより、既視感のある日常の情景を独自の感性で紡ぎだす清水芹春の作品コーナーで「#みまのめ〈VOL.10〉」終了。1階の「第4期所蔵品展『匂ふやうな灰色』―好太郎・乳白色の世界」へ。
 札幌生まれの画家・三岸好太郎(1903-1934)は約10年余りの短い画業の中で、時代の新しい潮流に敏感に呼応しながら、目まぐるしく作風を変化させました。しかし色彩に注目して画業を概観するとき、地道な探求の軌跡が浮かび上がってきます。
 画業初期には、赤系の色彩と緑系の色彩を並置し、明暗の対比により画面を構成。やがて異なる色彩を重層させ、下にある色彩と上から重ねた色彩が響きあうような、色彩の効果を追及していきます。このようにして生みだされる乳白色を、好太郎の妻で画家の三岸節子は
「匂ふやうな灰色」と表現しました。この乳白色は、風景画のみならず、ひっかき技法による表現の地や、幾何学的構成を支える地ともなり、画業後半を特色づける重要な色彩となっています。
 激しい振幅を見せる画業の展開の中で、地道に積み重ねられ、深化していった好太郎の色彩の世界。この機会にどうぞご覧ください。
三岸節子『花よりも花らしく』より。
1階の展示会場には主要な好太郎作品が並んでいますが主題の『暗い憂鬱な風景の「匂ふやうな灰色」の作品を何点か。チラシ掲載の岸好太郎「大通公園」1932年。背の高い塔は昭和2年(1927年)に大通の東の端を建てられた消防署の望楼とか。当時のランドマークのようです。
三岸好太郎「水盤のある風景」昭和7年(1932年)。モチーフは「国産振興北海道拓殖博覧会」の際に中島公園に設置された飲料水を吹き出す噴水だそうです。
そして三岸好太郎「オーケストラ」1933年。以上で1階の鑑賞も終了。ありがとうございました。

現在冬季閉鎖中の「北海道知事公館」庭園。

「北海道立三岸好太郎美術館」
札幌市中央区北2条西15丁目
電話番号 011-644-8901
開館時間 9:30-17:00(展示室への入場は16:30まで)
休館日 月曜日(月曜日が祝日または振替休日のときは開館、翌火曜日は休館)、年末年始(12.29-1.3)、展示替期間等。
料金 特別展をのぞく展覧会の観覧料
一般510(420)円、高大生250(170)円、中学生以下・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方等は無料
https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/mkb/
(2024.12.20訪問)

最新の画像もっと見る

最近の「美術館・博物館・演劇・演奏会・展覧会」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事