すすきの地区の老舗蕎麦屋「東家(あずまや)本店」。釧路・弥生町で大正8年(1919年)に創業し昭和24年(1949年)に札幌に移転した長い歴史を誇ります。この間“そば一筋”。店では昔ながらの蕎麦屋らしく気軽に蕎麦前を楽しみ〆に「さらしな粉」の蕎麦がいただけます。
本日は「東家(あずまや)本店」で蕎麦前&蕎麦ランチです。先般すすきの某所へ向かうべく地下鉄東豊線「豊水すすきの駅」1番出口から地上に出たところで「東屋本店」の看板を見つけました。円山にある「東家寿楽 (あずまやじゅらく)」と同じ屋号で「へえ~!こんなところに本店があるんだ!」とBMしておきました。本日はすすきの地区に所要があり丁度良い機会と訪問することにしました。場所は前述の通り地下鉄東豊線「豊水すすきの駅」の最も北側にある1番出口を出た目の前です(地図)。
「東家(あずまや)本店」。札幌で蕎麦店といえば「東家」が挙がるという位の老舗蕎麦屋ですが普通の蕎麦屋の外観です。源流は釧路にある明治期期創業の「東家総本家竹老園(ちくろうえん)」で、そこから暖簾分けされ大正8年(1919年)に釧路・弥生町で創業したのが前身の「弥生町東屋」、昭和24年(1949年)に札幌に移転し「東家本店」として開業したそうです。
「東家総本家竹老園」は経営者の伊藤の姓から井桁に東の屋号【イトウ】を用いており、暖簾分けされ札幌に移転した「東屋本店」系列の屋号は違いが判るように井桁に東の下に漢字の一を入れて【イトウイチアズマヤ】と呼ぶそうです(上掲写真の暖簾)。円山の「東家寿楽 (あずまやじゅらく)(1966年開業) 」も「東家寿楽 東急店(1973年開業)」も同じ【イトウイチアズマヤ】の屋号です。
【イトウイチアズマヤ】の暖簾をくぐったところにあるウィンドウには13種類の日本酒「五寸瓶」 が並べられていました。
「東家(あずまや)本店」の店内。「東家寿楽」は円山らしいお洒落な雰囲気ですが本店は昔ながらの蕎麦屋の風情です。庶民にはほっとする雰囲気です。
案内されたカウンター席。アクリル版で仕切られ向かい合わせに8席あります。他のテーブル席、こあがり席、個室風和室などがありました。
昔ながらの蕎麦屋なら先ずは蕎麦前です。この店のユニークなのは全国から集めた「五寸瓶」(五寸=約15cm、180ml=1合)の日本酒(各税込み550円)13種類が用意されていること。呑み切りサイズなので昼のみに丁度良い感じです。
先ずは福島の純米吟醸「奥の松」。
日本酒のお供は定番の揚げ蕎麦。割り箸袋には【イトウイチアズマヤ】の屋号と「そば一筋」の文字。
注文した蕎麦前つまみ「三升漬(さんしょうづけ)」(同200円)。「三升漬」は北海道・東北地方の郷土料理で、青なんばん・麹・醤油をそれぞれ一升ずつの分量で漬け込んだもの。酒肴はこれ以外には板わさ、出汁巻き卵、天婦羅など蕎麦メニュー用素材を使った定番ものです。正統の蕎麦前です。
それでは蕎麦前いただきます!
続いて登場したのが「卵焼き」(同500円)。
いわゆる普通の出汁巻き卵です。そこが良い感じです。
「奥の松」を飲み終え少しつまみが残っていたので2本目の「五寸瓶」に「白川郷 純米にごり」を注文。「五寸瓶」は1本550円が3本で1,550円、5本で2,500円と飲むほどにお得になるのですが年齢もあり昼飲みに3本は厳しいかも。
ということで〆の蕎麦を注文です。シンプルな蕎麦は「もり」(同740円」と「ざる」(同845円)があります。「もり」「ざる」の違いは「ざる」には海苔が載っていることに加え“まろやかでコクのある「ざるそば専用のつゆ」”を使用した「一番人気」だとか。こんなところも老舗ならではのこだわりでしょうか。
蕎麦といただく「お楽しみの1品」等。蕎麦前のつまみにもなります。
注文後ほどなくして到着した〆の蕎麦と「お楽しみの1品」。
「ざる」。そばの実の胚乳部分のみを粉にした「さらしな粉」を秘伝の技法でこね上げたという白い「さらしな蕎麦」です。
「つゆ」は宗田鰹と本鰹の枯節による「だし」と創業以来使い足し続ける秘伝の「かえし」が汁釜の中で一つとなった老舗の伝統の味。コクのあるすっきり味でツルツルっと喉越し良く蕎麦をいただきます。
「かき揚げ皿盛り」(同520円)と「ごぼう天」(同200円)。
「かき揚げ」はタコと小海老入りのサクサクでした。
最後に残った天かすなども投入して蕎麦湯でいただきました。
会計を済まし店外から改めて見た外観です。
立派な石造りの看板には「本店」の文字が誇らしげでした。店自体は気取った様子ものなく昔ながらの蕎麦屋の雰囲気で蕎麦前と拘りの蕎麦を楽しむことができました。“これはこれは良い店!”と大変結構でした。ご馳走様です。
「東家本店」
札幌市中央区南4条西1丁目
電話番号 011-231-4572
営業時間 11:30〜21:30
定休日 水曜日
(2023.1.12)