すっかり時間があいてしまったが、先般のアメリカミッションにて起きた印象的な出来事。
ひで氏です。
前回、いつもほぼ無人のジムもジャグジーも突如盛況の呈を見せ、行き場を失い極寒の冷水プールで泳ぐはめになった私ひで氏。
あの日以来どうも鼻水が止まらなくなってしまった。
それでも貧乏性と言うのか、滞在中は運動不足も気になりどうしてもジムを出来るだけ利用したい衝動にかられる。
幸い鼻が出るだけで体調そのものはそこまで悪くなかったので、最終日の夜、長時間フライトを翌日に控え少し運動しておこうとジムに行ってみた。
先日の悪夢が頭によぎりつつも、思い切ってジムのドアを開けた。
良かった。。。誰もいない。
特にバイクのマシンはひとつしかないし、とにかく所狭しとダンベルやマシンが置いてあるだけの、かなり小さい部屋なので、
一人で黙々と運動出来るのはありがたい。持って来た音楽プレーヤで音楽を聴きながら、自分のペースで取り組める。
しかしそんな安心も束の間、こぎ始めて5分と経たないうちにドアの向こうに人影が現れ、一人の青年が入って来た。
忘れるはずもない、先日私ひで氏が両替の為に一瞬マシンを離れた隙にその場を取られてしまった、あの青年だ。
ひとまず互いに「ハイ」と声を掛け合う。アメリカ人が密室で必ず挨拶をし合うのは相手の警戒を解く為のある意味での自己防衛だというのはよく言うが、たしかにそういう側面はある。とりあえずフレンドリーに接してみた。
先に私がバイクを占有していたことを気にかける様子も全くなく、すぐに他の筋トレのマシンにとりかかる彼。
よく見ると筋骨隆々、ものすごい肉体をしている。
しかししばらくして、なにやら様子が変わってきたのだ。
まず上着をものすごい早さで脱いだ。その時に何か言ったがこちらは音楽を聴いているので聞こえなかった。が、何か言った。
脱ぐと益々 筋肉質なのがわかる。脱いだからであろう、かぐわしい香りが漂ってくる。汗だくなのだから当然だ。
また何か言った。
そして器具から器具へ移り変わる際に、ボクシングのファイティングポーズを取るようになってきた。
フットワークも軽く、飛び跳ねながら、だ。
あからさまにイヤホンを外すと見られそうな気がしたので、
音楽プレーヤの音量を消してみた。何を言ってるのかどうしても気になる。
果たして、それはただシンプルな「フォー!」だった。
もう、言うなればマイケル全盛期の時と同等の、甲高いフォー!だ。
要はトレーニングが進むに連れて彼自身テンションが上がってしまい、もうどうにも自分をコントロールできないのだ。
日本人だとこうはいかない。
せいぜい聞いてる音楽でテンションを高めて、「っしゃ」などと言いながら顔を紅潮させるぐらいだろう。
この辺りの感情表現に関しては、本当にアメリカ人の自由度は群を抜いている。
見ているこっちが恥ずかしくなるほど、入り込んでいる。こちらの視線など全く気にしていない。むしろ見てくれといった雰囲気さえある。
特にベンチプレスにて自己最高を上げたらしく、その後のフォーはもう裏返って「フォアアッフヒ!」みたいになっていた。
仕上げのダンベルに入ったらしく、私のバイクの目の前にあった椅子に座ってダンベルをやり始めた。
そのときである。何かを聞かれた。
音量をすでに消していたとはいえ、それまでのフォーとは段違いに低く小さな声だったので、あわててイヤホンを外した。
え?という反応で返すと、こう言った様に聞こえた。
Do you need a fan?
人間というのは、特に母国語以外の場合、「聞きたいように聞く」習性があるという。ある程度の予想がある場合、そのようにバイアスをかけて聞いてしまうのだ。この時の私ひで氏は、この筋肉青年のテンションがマックスまで上がり過ぎて何かやらかすのではないか、また男二人が汗だくで密室にいるという状況を心のどこかで警戒していたのだ。
「お前には、ファンが必要か?=オレがお前のファンになって相手してやろうか?」と言ったと私は捉えたのだ。
瞬間、体が凍り付き時が止まったように感じた。
言葉を失い、あ。。。としばらくなった後、絞り出す様に「の、ノー。。。」と言った。
すると彼は、「オーケー!サンクス!」と言って私の横で私めがけてずっと回っていた扇風機(Fan)を自分の方に向け、
気持ち良さそうに目を瞑りまた陶酔状態に入った。
あ、そっち。。。
最高のクールダウンを得た彼。
直後、この日一番のハイトーンの「フォー!」が出た。
ひで氏です。
前回、いつもほぼ無人のジムもジャグジーも突如盛況の呈を見せ、行き場を失い極寒の冷水プールで泳ぐはめになった私ひで氏。
あの日以来どうも鼻水が止まらなくなってしまった。
それでも貧乏性と言うのか、滞在中は運動不足も気になりどうしてもジムを出来るだけ利用したい衝動にかられる。
幸い鼻が出るだけで体調そのものはそこまで悪くなかったので、最終日の夜、長時間フライトを翌日に控え少し運動しておこうとジムに行ってみた。
先日の悪夢が頭によぎりつつも、思い切ってジムのドアを開けた。
良かった。。。誰もいない。
特にバイクのマシンはひとつしかないし、とにかく所狭しとダンベルやマシンが置いてあるだけの、かなり小さい部屋なので、
一人で黙々と運動出来るのはありがたい。持って来た音楽プレーヤで音楽を聴きながら、自分のペースで取り組める。
しかしそんな安心も束の間、こぎ始めて5分と経たないうちにドアの向こうに人影が現れ、一人の青年が入って来た。
忘れるはずもない、先日私ひで氏が両替の為に一瞬マシンを離れた隙にその場を取られてしまった、あの青年だ。
ひとまず互いに「ハイ」と声を掛け合う。アメリカ人が密室で必ず挨拶をし合うのは相手の警戒を解く為のある意味での自己防衛だというのはよく言うが、たしかにそういう側面はある。とりあえずフレンドリーに接してみた。
先に私がバイクを占有していたことを気にかける様子も全くなく、すぐに他の筋トレのマシンにとりかかる彼。
よく見ると筋骨隆々、ものすごい肉体をしている。
しかししばらくして、なにやら様子が変わってきたのだ。
まず上着をものすごい早さで脱いだ。その時に何か言ったがこちらは音楽を聴いているので聞こえなかった。が、何か言った。
脱ぐと益々 筋肉質なのがわかる。脱いだからであろう、かぐわしい香りが漂ってくる。汗だくなのだから当然だ。
また何か言った。
そして器具から器具へ移り変わる際に、ボクシングのファイティングポーズを取るようになってきた。
フットワークも軽く、飛び跳ねながら、だ。
あからさまにイヤホンを外すと見られそうな気がしたので、
音楽プレーヤの音量を消してみた。何を言ってるのかどうしても気になる。
果たして、それはただシンプルな「フォー!」だった。
もう、言うなればマイケル全盛期の時と同等の、甲高いフォー!だ。
要はトレーニングが進むに連れて彼自身テンションが上がってしまい、もうどうにも自分をコントロールできないのだ。
日本人だとこうはいかない。
せいぜい聞いてる音楽でテンションを高めて、「っしゃ」などと言いながら顔を紅潮させるぐらいだろう。
この辺りの感情表現に関しては、本当にアメリカ人の自由度は群を抜いている。
見ているこっちが恥ずかしくなるほど、入り込んでいる。こちらの視線など全く気にしていない。むしろ見てくれといった雰囲気さえある。
特にベンチプレスにて自己最高を上げたらしく、その後のフォーはもう裏返って「フォアアッフヒ!」みたいになっていた。
仕上げのダンベルに入ったらしく、私のバイクの目の前にあった椅子に座ってダンベルをやり始めた。
そのときである。何かを聞かれた。
音量をすでに消していたとはいえ、それまでのフォーとは段違いに低く小さな声だったので、あわててイヤホンを外した。
え?という反応で返すと、こう言った様に聞こえた。
Do you need a fan?
人間というのは、特に母国語以外の場合、「聞きたいように聞く」習性があるという。ある程度の予想がある場合、そのようにバイアスをかけて聞いてしまうのだ。この時の私ひで氏は、この筋肉青年のテンションがマックスまで上がり過ぎて何かやらかすのではないか、また男二人が汗だくで密室にいるという状況を心のどこかで警戒していたのだ。
「お前には、ファンが必要か?=オレがお前のファンになって相手してやろうか?」と言ったと私は捉えたのだ。
瞬間、体が凍り付き時が止まったように感じた。
言葉を失い、あ。。。としばらくなった後、絞り出す様に「の、ノー。。。」と言った。
すると彼は、「オーケー!サンクス!」と言って私の横で私めがけてずっと回っていた扇風機(Fan)を自分の方に向け、
気持ち良さそうに目を瞑りまた陶酔状態に入った。
あ、そっち。。。
最高のクールダウンを得た彼。
直後、この日一番のハイトーンの「フォー!」が出た。
もうおなかがよじれるほど、おもしろいです。
絵も本当に上手です~☆
いつか、吉祥寺のライブに行きたいです
ありがとうございます。天声人語と同列なんて身に余る光栄です。
また面白い出来事が身に降りかかりますように!