前回までのあらすじ:
アメリカからの帰国便の乗継を左右する1便目が大幅遅延、ミネアポリスでまさかの足止めを食らってしまったひで氏、しかも振り替えられた便は5時間後で日本への到着も1日遅れ。ふてくされたひで氏は何を思ったか睡眠導入剤を服用、その直後にまさかの振り替え便変更に交渉の末成功する。その瞬間猛烈な眠気に襲われ夢の世界へと誘われていくひで氏。逆転便の出発はわずか2時間後だった。思考能力を失いつつあるひで氏、果たしてそれをわかっているのか。。。
よく映画などで、暗闇の暗転から「・・・さん、起きて、しっかりして」という声が聞こえるとともにだんだんとぼやけた風景が見えて意識が復活するというシーンがある。あの描写の正確性はまんざら嘘でもないな、と思った。
「ミスター、ハイドユキ クワシモト。。。ハイドユキ クワシモト。。。」
遠くで名前を呼ぶ声がする。。。
ハイドユキ。。。って。。。またHideをハイドって読んではるわ。。。まったく。。。
。。。
はーーーーーーーッ!!
ガバァッという音とともに顔を上げた私ひで氏、隣にいた黒人のカップルがビクゥッとなるほど急激なアクション。
ゲート横のカフェにあったテーブルに注文もせずに突っ伏して熟睡していたのだ。そうなるまでの記憶がまったく抜け落ちている。
名前を呼ぶアナウンスは成田行きのフライト、すぐ隣のゲートだ。
「はいはいはいはいはい!カシモト!カシモト!」
涎を拭きながらゲートに駆け込むと、ミネアポリス発成田行きはもう最終搭乗を終了せんとするところだった。
まさに間一髪セーフ。これを逃したらもう人生最悪の思い出になるところだ。
余談だがアメリカ人がHideをハイドと呼ぶケースは多い。Hideyukiだとハイドユキとなるのでわかりやすいが、アメリカにいた頃は、名前を後で呼ぶという場面でこちらもうっかりしてHideとだけ伝えていると「ハイド」と普通に呼ばれまったく反応しないときなどもあった。またクワシモトに関してはなぜアメリカ人がこう呼ぶかというとご存じ「ノートルダムの鐘」のクワジモドとややスペルが似てるのでみんな自動的にそれを連想して読んでいるのだと思われる。読みながらちょっとぷぷ。。。となっている時などもあり結構ショックだ。
こうして無事乗れた成田行きの便、搭乗してから出発直前までの間、どうやって東京から大阪に帰るかということを考えていた。
当時のフェイスブックの書き込みがこれである。この時日本は深夜だというのに、たくさんの書き込み、情報をもらい感動したのである。
もう予定通り日本に帰れるというだけで気持ちがふっと軽くなり、この成田までのフライトはそれはもう快適なものであった。
ただでさえミッション後の帰国便というのは相当な達成感があるのだが、これは格別である。
新幹線でも飛行機でもなんとかして同日中に帰れるだろう。。。
安心したのか、薬がまだ効いていたのか。なんとか食事など摂りながらも、いつしか私ひで氏はまた深い、深い闇の底に沈むように眠りに落ちたのである。
--------------------
「。。。デユキさま。お客様の中に、カシモトヒデユキさまはいらっしゃいますか。。。」
誰かが呼んでいる。。。あれ、俺飛行機に乗ったんじゃなかったっけ。。。
!!!!
またしてもガバと起きる。え?自分の名前が呼ばれた?飛行機内で?
この手のアナウンスがかかるときは決まって「お医者様はいらっしゃいますか」のはずだ。。。
しかし再度自分の名前が日本語で呼ばれた。
気が付くとなんと飛行機は着陸しており、もうすでにゲートに向かってゆっくりと進んでいる状態だったのだ。
どう聞いてもやはり自分の名前だったので手を挙げて名乗り出ると、
フライトアテンダントがやってきて、こう言った。
「カシモトさまですね。○時○○分の大阪伊丹行きの便が、間もなく出ます。優先的にご案内いたしますので、下りる準備をしておいてください。」
ここからは、まったく夢の続きでも見ているのかと思った。
飛行機が停止し、ポーンとシートベルト着用サインが消えると、スタッフらしい男性がわざわざこっちまで来て、「すみません、乗継がおありなのでこちらの方、優先させてください」と私ひで氏を案内する。言われるままに飛行機を降りる。
すると降りたところに別の職員がいて、自分の名前が書かれた札を持っている。
「カシモトさまですね、大阪への便の出発がかなりタイトです。こちらです」と言われそのままついていく。
人をかき分けて行くのだが、ずっとこの札を掲げながら行くのでやや恥ずかしい。
あれよあれよという間に全日空のチェックインカウンターまで連れて行かれるまでの間、私ひで氏の頭に繰り返し現れたのは
「いったい誰が。。。?」という疑問だ。
フェイスブックで質問を投げかけた後、いくつかありがたい情報をコメントでもらったが、電源を切ってからの動きは把握していない。降りてからも相当に急かされて今に至るため、携帯の電源さえ入れていない。もしやするとあの質問を見た誰かが成田‐伊丹のフライトを善意で手配してくれたのか。。。。?
混乱しながら、チェックインカウンターに案内された。カウンターの全日空職員も伊丹行きの時間が迫っていることを把握しており、急いでくれている。しかし気になるので聞いてみた。この便を予約したのは誰ですか、と。
そんなことを聞かれるとは思っていなかったのか、「え。。。あ、ちょっとお待ちください」と職員。
すると次の瞬間、少し離れたところで待っていた、先ほどの名札を持った女性がこういった。
「カシモトさま、お急ぎください」
あ、はい。
後ろ髪ひかれる思いで、カウンターの女性に「もういいです」と目配せをし何度か振り返りながらその場を立ち去った。
事実伊丹行きの便はもう十数分後に迫っていて、本当にかなりタイトな状況の中、ついに伊丹行きの便に乗り込むことができたのだ。
まさかまさかの大逆転劇である。成田からは自力で飛行機なり新幹線に乗ることは想定していたがまさかこんな超特急で乗り継ぎが、しかも自分で何もせずに実現するとは夢にも思っていなかった。
ふたを開けてみればもともと逃したシアトル~関空便に乗るよりも早く大阪に到着した私ひで氏。
一日に二度も空港や飛行機で自分の名前を呼び出されたことも特殊だったし、無事大阪に戻っていることが本当に不思議であった。
携帯の電源を入れてフェイスブックのコメントを確認した。やはり友人たちがいろいろと移動手段の情報を寄せてくれていたが、この手配を示すコメントはなかった。
ミネアポリスで手配してくれたあのデルタ航空のデキる男か---? 同じ航空会社ならそれもわかるが、会社も違う。しかも彼は、私が東京からは自分でなんとかするといったときに納得しそれ以上のアクションを起こす気配はなかったはずだ。
結局のところ、最後の成田=伊丹間全日空フライトを誰が手配したのかは、帰国後1か月たった今もなお不明である。
アメリカからの帰国便の乗継を左右する1便目が大幅遅延、ミネアポリスでまさかの足止めを食らってしまったひで氏、しかも振り替えられた便は5時間後で日本への到着も1日遅れ。ふてくされたひで氏は何を思ったか睡眠導入剤を服用、その直後にまさかの振り替え便変更に交渉の末成功する。その瞬間猛烈な眠気に襲われ夢の世界へと誘われていくひで氏。逆転便の出発はわずか2時間後だった。思考能力を失いつつあるひで氏、果たしてそれをわかっているのか。。。
よく映画などで、暗闇の暗転から「・・・さん、起きて、しっかりして」という声が聞こえるとともにだんだんとぼやけた風景が見えて意識が復活するというシーンがある。あの描写の正確性はまんざら嘘でもないな、と思った。
「ミスター、ハイドユキ クワシモト。。。ハイドユキ クワシモト。。。」
遠くで名前を呼ぶ声がする。。。
ハイドユキ。。。って。。。またHideをハイドって読んではるわ。。。まったく。。。
。。。
はーーーーーーーッ!!
ガバァッという音とともに顔を上げた私ひで氏、隣にいた黒人のカップルがビクゥッとなるほど急激なアクション。
ゲート横のカフェにあったテーブルに注文もせずに突っ伏して熟睡していたのだ。そうなるまでの記憶がまったく抜け落ちている。
名前を呼ぶアナウンスは成田行きのフライト、すぐ隣のゲートだ。
「はいはいはいはいはい!カシモト!カシモト!」
涎を拭きながらゲートに駆け込むと、ミネアポリス発成田行きはもう最終搭乗を終了せんとするところだった。
まさに間一髪セーフ。これを逃したらもう人生最悪の思い出になるところだ。
余談だがアメリカ人がHideをハイドと呼ぶケースは多い。Hideyukiだとハイドユキとなるのでわかりやすいが、アメリカにいた頃は、名前を後で呼ぶという場面でこちらもうっかりしてHideとだけ伝えていると「ハイド」と普通に呼ばれまったく反応しないときなどもあった。またクワシモトに関してはなぜアメリカ人がこう呼ぶかというとご存じ「ノートルダムの鐘」のクワジモドとややスペルが似てるのでみんな自動的にそれを連想して読んでいるのだと思われる。読みながらちょっとぷぷ。。。となっている時などもあり結構ショックだ。
こうして無事乗れた成田行きの便、搭乗してから出発直前までの間、どうやって東京から大阪に帰るかということを考えていた。
当時のフェイスブックの書き込みがこれである。この時日本は深夜だというのに、たくさんの書き込み、情報をもらい感動したのである。
もう予定通り日本に帰れるというだけで気持ちがふっと軽くなり、この成田までのフライトはそれはもう快適なものであった。
ただでさえミッション後の帰国便というのは相当な達成感があるのだが、これは格別である。
新幹線でも飛行機でもなんとかして同日中に帰れるだろう。。。
安心したのか、薬がまだ効いていたのか。なんとか食事など摂りながらも、いつしか私ひで氏はまた深い、深い闇の底に沈むように眠りに落ちたのである。
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「。。。デユキさま。お客様の中に、カシモトヒデユキさまはいらっしゃいますか。。。」
誰かが呼んでいる。。。あれ、俺飛行機に乗ったんじゃなかったっけ。。。
!!!!
またしてもガバと起きる。え?自分の名前が呼ばれた?飛行機内で?
この手のアナウンスがかかるときは決まって「お医者様はいらっしゃいますか」のはずだ。。。
しかし再度自分の名前が日本語で呼ばれた。
気が付くとなんと飛行機は着陸しており、もうすでにゲートに向かってゆっくりと進んでいる状態だったのだ。
どう聞いてもやはり自分の名前だったので手を挙げて名乗り出ると、
フライトアテンダントがやってきて、こう言った。
「カシモトさまですね。○時○○分の大阪伊丹行きの便が、間もなく出ます。優先的にご案内いたしますので、下りる準備をしておいてください。」
ここからは、まったく夢の続きでも見ているのかと思った。
飛行機が停止し、ポーンとシートベルト着用サインが消えると、スタッフらしい男性がわざわざこっちまで来て、「すみません、乗継がおありなのでこちらの方、優先させてください」と私ひで氏を案内する。言われるままに飛行機を降りる。
すると降りたところに別の職員がいて、自分の名前が書かれた札を持っている。
「カシモトさまですね、大阪への便の出発がかなりタイトです。こちらです」と言われそのままついていく。
人をかき分けて行くのだが、ずっとこの札を掲げながら行くのでやや恥ずかしい。
あれよあれよという間に全日空のチェックインカウンターまで連れて行かれるまでの間、私ひで氏の頭に繰り返し現れたのは
「いったい誰が。。。?」という疑問だ。
フェイスブックで質問を投げかけた後、いくつかありがたい情報をコメントでもらったが、電源を切ってからの動きは把握していない。降りてからも相当に急かされて今に至るため、携帯の電源さえ入れていない。もしやするとあの質問を見た誰かが成田‐伊丹のフライトを善意で手配してくれたのか。。。。?
混乱しながら、チェックインカウンターに案内された。カウンターの全日空職員も伊丹行きの時間が迫っていることを把握しており、急いでくれている。しかし気になるので聞いてみた。この便を予約したのは誰ですか、と。
そんなことを聞かれるとは思っていなかったのか、「え。。。あ、ちょっとお待ちください」と職員。
すると次の瞬間、少し離れたところで待っていた、先ほどの名札を持った女性がこういった。
「カシモトさま、お急ぎください」
あ、はい。
後ろ髪ひかれる思いで、カウンターの女性に「もういいです」と目配せをし何度か振り返りながらその場を立ち去った。
事実伊丹行きの便はもう十数分後に迫っていて、本当にかなりタイトな状況の中、ついに伊丹行きの便に乗り込むことができたのだ。
まさかまさかの大逆転劇である。成田からは自力で飛行機なり新幹線に乗ることは想定していたがまさかこんな超特急で乗り継ぎが、しかも自分で何もせずに実現するとは夢にも思っていなかった。
ふたを開けてみればもともと逃したシアトル~関空便に乗るよりも早く大阪に到着した私ひで氏。
一日に二度も空港や飛行機で自分の名前を呼び出されたことも特殊だったし、無事大阪に戻っていることが本当に不思議であった。
携帯の電源を入れてフェイスブックのコメントを確認した。やはり友人たちがいろいろと移動手段の情報を寄せてくれていたが、この手配を示すコメントはなかった。
ミネアポリスで手配してくれたあのデルタ航空のデキる男か---? 同じ航空会社ならそれもわかるが、会社も違う。しかも彼は、私が東京からは自分でなんとかするといったときに納得しそれ以上のアクションを起こす気配はなかったはずだ。
結局のところ、最後の成田=伊丹間全日空フライトを誰が手配したのかは、帰国後1か月たった今もなお不明である。
満足していただけたようでよかった!
そう、この写真は結構ドキドキで撮ったのです。
書き込みありがとうございます。全く気兼ねせずコメントしてくださいねーまたよろしくおねがいします!
楽しんで読んでもらっているようで嬉しいです。ありがとう!また皆さんにもよろしく!BBQでも笑!
>のぞみさん
PCに前のめりになるほど…笑
嬉しいコメントありがとう!また書きます。
今日はアコースティックなひと時ありがとうございました。