始業式から2日経った九月三日、一学期間お世話になった四小・東中との
お別れ会を四小の校庭でやることになりました。夢は、朝からそわそわしていて、
学校に行ってもおちついていられません。そんな夢を見て、六小が
「夢ちゃん、おちつかないね。何で?どして?」
と、しつこく聞いてきます。夢は、困ってしまいました。だって、まさか「四小さんに
会えるから」なんて、六小には言えませんもの。すると六小は、”夢が落ち着かない
理由なんて、ほんとはとっくに解っている”とでも言いたそうに、プイッと横を向いて、
「今日はお別れ会だもんね。四小さんに会えるんだもんね。うれしいよね。」
と、たたみかけるように言ってきました。六小が、自分の心の内の想いを
解っているとはおもいもよらなかった夢は、素直に六小に謝りました。
「うん、そうなの。四小さんに会えるんでうれしいの。だから、落ち着かないの。
ごめんね、六小さん。」
六小はしばらく黙っていましたが、少したって、
「まあ、しかたない・・・・か。夢ちゃんと四小さんは、一年間もつきあってきたんだし。
わたしとは、会ったばっかりでこれからだし。うん!うれしそうにしていても許して
あげる。」
「ほんと?ありがと。」
「でも、これからの五年間は、わたしといっしょなんだからね。それを忘れないでよ。」
「うん、わかってるって、安心してよ。」
「ほんとかなあ。心配だなあ。」
そうこうしているうちに時間になり、夢たちは学年ごとに並んで、会場の四小に
向かって歩いて行きました。六小は、その後ろ姿を見送りながら、
”夢ちゃんと心通わせられてよかった。四小さん、きっと一年間楽しかっただろうな。
うふっ、明日から楽しくなりそう。”
と、一人、いえ一校微笑んでいました。