ある日の朝会のあと、夢はしゃがんで、一所懸命に石を拾っていました。と、急に
眼の前が明るくなり始めました。あわてて顔をあげると、そこには、いたずらっぽく
笑っている六小の顔がありました。
「おはよう、夢ちゃん。石拾い大変ね。ごくろうさま。」
「あ、おはよう、六小さん。今日も、元気だね。」
「うん、もちろん。ねえ、石、いっぱい拾えた?」
「うん、こんなにいっぱい。」
夢は、両手の平いっぱいに拾った石を、六小に見せました。
「あら、ほんと。すごいわねー。」
「でも、まだいっぱいあるよ。これ、全部きれいになくなるかなあ。」
「なくなるわよ、いつか。だって、みんな一所懸命拾っているんだもの。」
「六小さんはいいよね。ただ見てるだけだもん。」
「あら、わたしは監督だもの。あたりまえでしょ。」
「何それ、へんなの。」
「ウフフ・・・・。」
”そろそろ、拾うのを終わりにします。みんな、それぞれ拾った石を、バケツに入れて
教室に戻ってください。”
先生が、石拾いの終了を告げています。
「あ、もう時間。六小さん、じゃあ、わたし行くね。」
「うん、またね。」
六小は、教室へ戻っていく夢を見ながら、もう一度、小さく「ウフフ。」と笑うのでした。