風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第二部) 其の五

2010-02-21 00:50:59 | 大人の童話

ある日の朝会のあと、夢はしゃがんで、一所懸命に石を拾っていました。と、急に

眼の前が明るくなり始めました。あわてて顔をあげると、そこには、いたずらっぽく

笑っている六小の顔がありました。

「おはよう、夢ちゃん。石拾い大変ね。ごくろうさま。」

「あ、おはよう、六小さん。今日も、元気だね。」

「うん、もちろん。ねえ、石、いっぱい拾えた?」

「うん、こんなにいっぱい。」

夢は、両手の平いっぱいに拾った石を、六小に見せました。

「あら、ほんと。すごいわねー。」

「でも、まだいっぱいあるよ。これ、全部きれいになくなるかなあ。」

「なくなるわよ、いつか。だって、みんな一所懸命拾っているんだもの。」

「六小さんはいいよね。ただ見てるだけだもん。」

「あら、わたしは監督だもの。あたりまえでしょ。」

「何それ、へんなの。」

「ウフフ・・・・。」

”そろそろ、拾うのを終わりにします。みんな、それぞれ拾った石を、バケツに入れて

教室に戻ってください。”

先生が、石拾いの終了を告げています。

「あ、もう時間。六小さん、じゃあ、わたし行くね。」

「うん、またね。」

六小は、教室へ戻っていく夢を見ながら、もう一度、小さく「ウフフ。」と笑うのでした。

 

 



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