チュラ大の学生食堂は学部ごとに個性があり、我が文学部の学食には脂っこい料理が多い。最初は物珍しさであれこれ食べていたが、飽きるのも早く、最近では、専ら他所の学食まで遠征して昼食を摂っている。文学部に一番近いのは、工学部(Faculty of Engineering)の学食であり、ここの特徴は、2階にオーダーメイドの料理を出す店があることだ。注文してから調理を始めるので、できたての熱々を食べることができる。味も悪くなく、私はここのタレーパッポンカリー飯(40バーツ、約180円)がすっかり気に入ってしまった。タレーとは海、パッは炒める、ポンカリーはカレー粉の意味であり、要はイカとエビと野菜をカレー粉で炒めたものをおかずにしてご飯を食べる訳である。
当然のことながら、ピリ辛料理を食べると汗が出る。おまけにバンコクは常夏で、雨期の終りの10月と言えど30℃はある。予算に余裕があれば、冷たいものか甘いものを添えたいところだ。そして工学部にはこの両方を満たすものがあるのだ。それは「パラボラ」という屋外の小さな店で販売されており、学生達も店側もアイスクリームと呼んでいるが、私の分類ではソフトクリームである。しかし、冷たくて甘いことに変わりはないので、深く掘り下げるつもりはない。普通のカップが30バーツ(約130円)、大カップが35バーツ(150円強)と、大カップが断然お得だ。味は2種類あり、ヨーグルトとチョコレート、ヨーグルトとバニラなど、組み合わせが時々変わる。勿論2種類のミックスも可能なので、私は酸味のあるヨーグルトと甘いバニラの組み合わせが好きだ。これに加えて、クッキー、チョコレート、ナッツ、果物等の各種トッピングが5バーツからある。
小さなスプーンでいそいそと掬って口に放り込むと、心地よい甘さと酸味が広がり、汗がすっとひいていく。そしてまた一口。まさに至福の時間だ。さっきまで生温かった風さえ爽やかに感じられる。甘いものは別腹である女子学生達に挟まれて、年金ジジイが待ち行列に加わる図は、決して見られたものではないが、こちらも同じ学生だと開き直るしかない。気恥ずかしさに耐えるだけの価値は十分にあるというものだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます