アメコミとラーメン

1982年の黒いコスチュームの試験作品、Sensational SPIDER-MAN 0号



何も考えずに買ったSensational SPIDER-MAN (“Sym”) 0号を読み終えたので、レビュー。0号と告知されたのに、御覧のように実際は1号と印刷されている。さらに言えば、この黒いコスチュームの中心の蜘蛛のシンボルは、Bagleyが表紙に描いたような色でなく、赤。試作品なので、いろいろ違うな。何だかSPIDER-MAN 2099のコスチュームを彷彿とさせる。というよりMiles Moralesのコスチュームか。

黒いコスチュームは、当時の編集長Jim Shooterに、ファンの一人Randy Schuellerが売り込んだアイディア。この作品は1982年にそのアイディアを元にPeter Davidが創り上げ、画をRick Leonardi、インクをVictor Olazabaが担当。オマケの話をTom DeFalco、Ron Flenz、インクをSal Buscemaが担当。

粗筋を手短に紹介する。刑務所を脱獄したFirebrandなる悪党が、元妻の元を訪れた。SPIDER-MANはこの悪党の放った炎で背中を焼かれる。FANTASTIC FOURのReedは、彼を治癒し、新しいコスチュームを彼に贈った。それが黒いコスチューム。オマケでは、SPIDER-MANと同じように自分の思慮の浅さから伯父さんを失ったPeter少年とSPIDER-MANの交流。

まずは画。この作品仮に1982年に日の目を見ちゃうと、紙と印刷が悪いんで見劣りがするだろうな。今回の作品色は後から付けたんじゃないかな。無茶苦茶綺麗。逆にLeonardiの味がぼんやりとしちゃってる。

次にDavidの台詞をいくつか紹介。Reedの”I threw it together.”とPeterの “It would take me weeks to sew something like that”.が駄洒落になっている。Throw togetherは短い時間にものをこしらえるの意。英語は面白い。

Daily Bugle社の屋上にヘリコプターを軟着陸させた後のSPIDER-MANの台詞。”Never thought Daily Bugle would be good for something.”こんなに嫌いなのに経済的にこの新聞社に依存しなければならないPeterが、可哀そう。

結局、助けたFirebrandの妻の子Ritaに嫌われるは、思ったようにコスチュームを使いこなせないはで、これをReedに返しちゃうのがサゲ(=オチ)。どうもこの話にドラマが足りなかったな。お蔵入りになったのも頷ける。1984年に実際にお目見えした黒いコスチュームにはさらに設定を増やして非常に面白くなったね。2019年になっても、その設定を使ってSymbiote SPIDER-MANなる話が出来ちゃうほどだ。

オマケの話はそれ程ではない。ページ数も短いし。そんな中、Peter少年のSPIDER-MANに対する質問が印象的。”You’re talking about the guilt, man. 中略 Does it ever go away?”  SPIDER-MANはこの質問に対し答えない。また、質問した少年も期待していないだろう。苦い。
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