≪WBC世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦≫ ~米・南カリフォルニア~
スーパーフライ級王者 フライ級王者
カルロス・クアドラス(メキシコ) ● 12R判定 ○ ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)
111-117
112-116
113-115
週末の土曜日(日本時間・日曜日)に、
ボクシング界注目の対戦が行われました。
この階級で6度防衛の無敗王者・クアドラスに挑んだのは、
PFP(パウンド・フォー・パウンド)で1位の、
『全階級の全ボクサーの中で一番強い』
と認定されている3階級制覇の”ロマゴン”ことローマン・ゴンザレス。
こちらももちろん無敗で、
ミニマム級・ライトフライ級・フライ級と3階級を制覇し、
この試合はいよいよ4階級目制覇に挑むというもの。
ローマン・ゴンザレスという選手は、
もともと日本の帝拳ジムがプロモートしていましたので、
これまで日本で数々の世界戦をこなしてきました。
それゆえに日本人にも非常になじみの深い選手で、
ワタシもひそかに彼のファンだったりします。
一昨年はフライ級王者の八重樫東とものすごい激闘を繰り広げましたが、
『激闘』と思っているのは八重樫サイドからの見方で、
ロマゴンから見れば『しっかりと予定通り勝ち切った』という試合だったでしょう。
その激闘から八重樫はダメージが大きかったのですが、
驚いたことにロマゴンは2か月後に我々の前でまた、
あの見事なボクシングを披露してくれて、
そのタフさに再度驚いたものでした。
そんなロマゴンも、
じわじわと世界での評価を上げ続け、
今では本場アメリカのリングを主戦場として、
『世界の舞台へ』羽ばたいていっています。
ちなみに同じ世界タイトルマッチといっても、
日本でやるのとラスベガスなど”世界一流のリング”でやるのでは、
天と地ほどの違いがあるといっても過言ではないでしょう。
ラスベガスのリングに上がるということは、
『世界に認められた舞台』
で戦うということ。
注目度が日本でやるのの数倍、いや、数十倍に上がりますし、
世界中のファンにも名前を知られるようになります。
当然ファイトマネーも何倍にもなりますので、
ボクサーとしての究極の夢は『ベガスなどアメリカの超一流のリングでの世界タイトルマッチ』ということになりますね。
日本でいかに防衛回数を積み重ねたところで、
世界のボクシングファンから見れば『へ~強い選手、いるらしいね~』ぐらいの認識で、
『まだ見ぬ強豪』どまりの評価となってしまいます。
しかし世界のリングで、
世界のファンにそのファイトを見せることができれば、
一気にその名前は『世界で認知された』ボクサーとなる、
ということですね。
もちろん負ければすべてを失うというリスクもあるわけで、
なおかつ慣れない海外での試合ということで、
そういった路線を日本のジムが志向しないのも確か。
日本国内で尊敬を集めながら防衛戦を積み重ねるというのも一つの選択肢ではありますが、
ファンとしては『強い』と思っているチャンピオンには、
そういう世界の舞台を目指してほしいといつも思ったりしているわけです。
ちょうどゴルフの世界を思い浮かべれば、
同じことがいえると思いますね。
日本のツアーに出続けるのか、
それとも世界で活躍してマスターズのグリーンジャケットを狙うのか。
そんなところで理解するのが手っ取り早いですね。
そんな世界のボクシングシーンを引っ張るロマゴン、
今回もまた、
話題になるような難敵を選びました。
相手になったのは無敗で6度防衛を重ねる、
1階級上のスーパーフライ級王者・クアドラス。
PFPのロマゴンですから、
戦前の予想は『いくらクアドラスが強いとはいっても、ロマゴンの敵ではないだろう』というもの。
オッズは1.1-6だったようで、
そのあたりを見ても『ロマゴン圧勝』が収まりどころと見ていました。
しかし試合は意外な展開へ。
しっかりとパンチを当てて前半にポイントを奪って優勢に試合を進めるロマゴンに対し、
クアドラスもひるまず応戦。
噂にたがわぬ好試合となって試合は後半へ。
後半はもっと意外なことにロマゴンが疲れを見せて、
試合がじわじわとクアドラスペースへ。
それでも最後まで攻防が見事に一体となった、
素晴らしい試合となりました。
この9月、
同じスーパーフライ級の世界タイトルマッチで、
河野公平が陥落した試合と井上尚弥がタイトル防衛した試合がありましたが、
やはり『レベルが違う』という感想を漏らさざるを得ない、
凄い攻防でした。
井上はちなみに、
『レベルが違う』というのは『相手のレベルが低すぎる』ということで、
井上自身のレベルが低いわけではないのであしからず。
その井上尚弥。
この試合はリングサイドで大橋会長と並んで観戦。
試合後にはリングに上がって、
インタビューを受けていました。
その中で、
ロマゴンの口からも『井上と統一タイトル戦をやりたい』ということが出て、
いよいよロマゴンと井上尚弥の、
まさに『頂上決戦』の機運が盛り上がってきました。
ロマゴン
いうまでもなく、
強すぎるほど強い。
かつての軽量級の『伝説の王者』リカルド・ロペスなみ、
いや、それ以上の強さかもしれません。
しかし対する井上尚弥も、
≪日本が生んだ歴代NO1ボクサー≫
になる素質を十分に持ったボクサー。
井上尚弥が、
テニスの錦織圭のように、
いや、それ以上に世界にその名前をとどろかせるためには、
このロマゴンは『超えていかなくてはならない高い壁』であることは間違いありません。
井上尚弥が完調ならば、
ロマゴンとも十分に対峙できると思います。
互角とは言わないまでも、
勝つイメージも十分にわいてきます。
しかし井上はここ3戦連続して、
試合の半ばで拳を痛めるというアクシデントを発生させ、
『拳のケガ』がどうやら慢性化している模様。
この前の試合、
そしてその前の5月の試合のような感じでは、
どうやってもロマゴンと互角に戦うことはできないでしょう。
それゆえ今後のコンディション作りが、
本当に大切になってくると思われます。
巷間ささやかれていることでは、
12月の末にまず先日河野を破ったコンセプシオンとWBA/WBO王座統一戦をやるつもりだということ。
それを超えて来年、
いよいよロマゴンとの決戦に向かうということです。
コンセプシオンとの試合は、
井上が完調であれば全く問題のない相手で、
序盤から中盤でのKO勝利がイメージできます。
この試合の注目点は、
1にも2にも、
『ロマゴン戦に向けて、故障なしで試合を終えられるのか?』
ということだと思っています。
本人、
期するものはあるでしょう。
願わくばこの『頂上決戦』が、
両者万全の体調のもとで行われること、
そしてその舞台がラスベガスのメインであること、
これを強く望んでいます。
この対決が組まれれば、
『パッキャオvsメイウェザー』
以上の盛り上がりになることは必至。
”日本スポーツ界の大イベント”
として語り継がれるような、
凄い試合になることでしょう。
待ちきれないですね。
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