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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

最も印象に残った球児   43.愛媛

2012年09月19日 | 高校野球名勝負

◇もっとも印象に残った球児

43.愛媛



水口 栄二   内野手       松山商業   1986年 夏     


甲子園での戦績

86年 夏   1回戦     〇  12-2    清水商(静岡)
        2回戦     〇   5-2    土浦日大(茨城)
        3回戦     〇   8-5    明野(三重)
        準々決勝   〇   4-3    沖縄水産(松山商)
        準決勝    〇  14-3   浦和学院(埼玉)
        決勝      ●   2-3    天理(奈良)



愛媛というと、全国最高勝率を誇る県。
優勝11回、準優勝7回を誇り、
69年の松山商vs三沢の延長18回の激闘や、
98年の松山商vs熊本工の矢野の奇跡のバックホームなど、
ハイライトと呼べるシーンもたくさんあります。

過去優勝した松山商や宇和島東、済美など、
何度も頂点まで駆け上がったチームがありますが、
愛媛のチームの本質は何と言っても【全員野球】。

ひとりのゴリゴリのヒーローが八面六臂の活躍をするというよりも、
全員の力を結集して・…・
というシーンが思い出に深く残っています。

その最たるものが、
あの矢野選手の『奇跡のバックホーム』だと思います。

そんな中、
いまだに燦然と輝く甲子園の記録を持ち続けている選手がいます。
松山商の、水口選手です。

松山商の・・・・・・というよりは、
近鉄の・・・と行った方が、通りはいいと思います。

174センチと小さい体ながら、
プロでも長く活躍し名前を残すほど、
素晴らしい選手に成長した選手ですが、
水口は甲子園でも輝きを放ちました。

”まったく優勝候補にも上がらない無印のチーム”
が86年の松山商でした。
(それは96年の優勝した松山商も、そうでした。)

技巧派右腕の藤岡投手をエースに立てて失点をある程度に抑え、
後は単打でつなぐ打線が相手を粉砕するというチームカラーは、
松山商伝統の匂いを感じさせましたね。

ワタシはこのチームのことをつぶさに覚えているわけではないのですが、
『水口はよく打った』
ということはよ~く覚えています。

特に準々決勝、準決勝、決勝あたりは、
彼のバットは『打てばヒット』という【打ち出の小槌】状態でした。

彼の放った19安打というヒット数は、
この打撃偏重の現在でもまだ破られることのない、
素晴らしい個人の甲子園最多安打記録です。

1試合平均で3本以上のヒットを打っているという計算になって、
その凄さが分かろうというもの。

これだけ一番バッターが打って出塁してくれれば、
チームとしては攻撃も自由自在だったことでしょうね。

前評判の高くなかったチームを引っ張り上げるのに、
水口のバットは欠かせない存在だったと思います。

よく覚えているのは準決勝の浦和学院戦。

『スクリュー魔人』浦学の谷口投手は、
甲子園に来てスクリューが決まりだして、
準々決勝まで相手に全くタイミングを合わさせず、
好投を続けていました。

この準決勝でも5回まで強打の松山商を1点に抑えていましたが、
迎えた6回に松山商が、疲れから高めに浮きだした谷口のスクリューを面白いようにとらえ、
なんと前人未到の11連続安打!!

あっという間に10点を奪ったのを、
浦学を応援していたワタシは呆然としながら見ていたのを思い出します。

あの時の松山商のすさまじいばかりの連打は、
高校野球史に残る迫力だったと思います。

この大会はPL学園のKKの優勝という盛り上がった大会のポスト年に当たり『地味』な印象のある大会ですが、
水口の活躍は鮮明に記憶に残っています。

この時ワタシは、水口という選手に対して
『高校野球が生んだ、甲子園だけの名選手がまた、出てきたなあ』
と思っていましたが、
何の何の。

大学でさらに飛躍を遂げて、
プロ入りして1,200本ものヒットを飛ばす選手になるとは、
夢想だにしませんでした。

すさまじい努力の人なんでしょうね、水口選手は。

その情熱と努力、
今のオリックスに最も欠けているものです。

チームを引っ張り上げていくパワー、
発揮してほしいなあと思っています。


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