神宮第2

週末はラグビーW杯決勝、そして全日本大学駅伝など、
スポーツのビッグイベントが相次ぎましたが、
その中でひっそりと、しかし重要な試合がありました。

それは秋季高校野球東京都大会の準々決勝、
帝京と日大三の対戦でした。

これだけを見ると、
「おっ　東京の名門同士の対戦だな」
としか思わないのではないかと思いますが、
この日の主役はこの両校ではなく、
開催された球場でした。

開催された球場は、
神宮第2球場。

1961年の開場から58年間、
平日はゴルフの練習場として稼働しながら、
週末には学生野球の小さなメッカとして、
幾多の名勝負が繰り広げられてきた舞台となりました。

この神宮第2球場が、
この日の試合をもってその歴史的な役割を終え、
東京五輪後に解体されていきます。

神宮第2球場といえば、
東京都の高校野球関係者やファン、
そして大学野球関係者にとっては、
忘れられない球場でしょう。

もちろん神宮球場のサブという感じの位置づけで、
どこか「メインは張れない」的な風情を醸し出していましたが、
それでも神宮の森にたたずむその球場でやる野球は、
学生たちに喜びとある種の緊張感を醸し出していました。

球場としては、
本当に『え～こんなところでやるの～』
という感じの球場で、
そのコンパクトなサイズと滑りまくる人工芝などは選手たちから不評を買っていましたがね。

一塁側で観戦していると、
内野側を向き観戦しながらふと外野側を向くと、
そこは観客席ではなくてゴルフ練習のの打席。
そんな「ありえね～情景」を楽しみながらの観戦でした。

そういえば100mといえば、
野球ならホームランですがゴルフならピッチングの距離。
野球観戦に訪れるとそれなりに見えるこの球場も、
ゴルフの打ちっぱなしで訪れると「なんだこの狭さ」って感じでしたね。

特に雨の日は、
グラウンドはつるつる滑って酷いことになっちゃうし、
2階席で観戦していた時なんざ、
コンクリートの長椅子に雨除け一切なしの観客席に、
辟易しながら観戦したものでした。


そんな「負の思い出」ばかりが思い浮ぶ球場なんですが、
この球場もなくなるとなれば本当に思い出深く、
いろいろなシーンがよみがえってくるのが不思議です。

ワタシが見たのは主に高校野球の東京大会と明治神宮大会など。
大学野球は全日本も確か、
今みたいに神宮と東京ドームの2会場ではなかったので、
神宮第2も使われていましたよねえ。

「はるばる地方から全国の舞台にやってきて、
神宮第2が会場ではため息も出るわな～」

そんなことを思ったことが何度かありますね。


この球場の特徴は、
大人数は入れないがグラウンドと客席が近く、
しかもぎゅっと詰まっている感じなので、
ブラバンが入るとそりゃあもう、
音が響いて凄いことになる・・・・・という事ですかね。

特に秋の東京大会なんかはどの学校も夏と違って全校応援ではないので、
何だかアットホームな中にいい音色がマッチして、
結構ワタシ、好きな風景でした。

この球場では、
何度も何度も、
ホームランによる決着があったなあ。。。。。。。

ある時は決勝なのにバカスカ両チームが打って、
20点ゲームになったこともあったし、
逆転サヨナラ満塁ホームランなんていうド派手な決着もありました。

そういえば我が息子も、
このグラウンドで何度か試合に臨んだことも。。。。。


ちょっぴりセンチになりますが、
旧国立競技場、東京体育館、神宮球場、神宮第2球場、秩父宮ラグビー場、
これだけ国際大会や全国レベルの大会が開かれる球場や競技場が集まったところはないので、
本当に神宮には何百回足を運んだかわかりません。

国立、東京体育館は建て替えられ、
神宮第2は解体。
神宮と秩父宮も場所を移して新球場にするプロジェクトも進んでいるみたいですから、
ワタシが長年慣れ親しんだ「64年東京五輪のレガシーとしての神宮の森」は、
跡形もなく新しいスタジアムに建て替えられるってことですね。

新しいスタジアムの高揚感は凄くあるのですが、
その反対に既存の競技場がなくなってしまうことに、
寂しさも禁じ得ません。

まあそれでも、
新たなスタジアムは席も良くなって、
観戦するにはとても楽になるだろうから、
文句はありませんがね。

あの固～いイスやら、
狭くて汚いトイレやら、
そんなことも何だか懐かしい、
神宮第2のお話でした。

ありがとうね～神宮第2球場。
ゴルフ練習場はまだ稼働すると思うので、
せいぜい閉場まで通うことにします。