≪第97回全国高校野球選手権 神奈川大会≫ ~横浜~
【決勝】
東海大相模 9-0 横浜
(東海大相模は、2年連続10回目の出場)
東海大相模 000 300 420 - 9
横 浜 000 000 000 - 0
2015年の神奈川県大会決勝。
やっぱり神奈川の高校野球にかける熱はハンパではありません。
昨日も平日にもかかわらず、
朝早くからたくさんの観客が大挙して押しかけ、
球場の周りをぐるっと囲みました。
並んでいた人は『徹夜』なんてもんじゃなく、
前日の準決勝終了時から続々と並び始めたらしいです。
それはまた、
横浜高校の渡辺監督が、
勝つ負けるにかかわらず、
神奈川高校野球の【聖地】である横浜スタジアムで指揮を執るのが最後になる、
まさに『最後の試合』だからというのも大きく関係していたと思います。
たくさんのファンや関係者が、
『渡辺監督の最後の勇姿』
を一目見ようと、
ハマスタに押しかけました。
そしてこの日横浜高校の相手となるのは、
昭和40年代に渡辺監督が横浜の監督に就任して以来ずっと、
いいライバルとして競い合ってきた東海大相模でした。
やっぱり野球の神様は、
ここぞという時には粋な演出をします。
『最後の決戦』
にふさわしい、
すべての舞台装置が整ったこの日の決勝戦となりました。
盤石なチーム力を誇る東海大相模 vs 若い勢いと名将の采配、そして時の勢いをのせた横浜
との対決という注目の一戦は1時にプレーボール。
試合内容は既報の通り。
東海大相模が、
その圧倒的なチーム力で横浜の勢いを止め、
まざまざと力の差を見せつけたような試合になりました。
大エースの小笠原は横浜打線を完封。
打線も杉崎の3ランなど15安打を連ね9点。
投打に『圧勝』で横浜の渡辺監督に引導を渡した一戦となりました。
東海大相模について言えば、
もう何も言うことのない試合、
そして大会を通じても、
同じことの言える盤石な戦いぶりでした。
昨年の夏、
”優勝候補筆頭”の重圧の中、
甲子園で悔しい初戦敗退を喫して失意の船出となった今年のチーム。
投の二枚看板をはじめ多数が旧チームからの主力組で、
『全国でも屈指の戦力を誇る』
と見られていましたが、
秋季大会では投打がかみ合わず悔しい県準決勝敗退で選抜のキップを逃しました。
捲土重来を期して臨んだ春。
県大会ではその力で優勝をもぎ取りましたが、
注目の関東大会では、
浦和学院との”ガチンコバトル”で完敗。
『東海大相模は、個々の力は抜けているが、チーム力は今一つ』
という囁きも聞こえる中、
なんとなくモヤモヤした感じで臨んだこの夏の陣でした。
勝ち進めどもなんとなく『払拭できない何か』を抱えている感じでしたが、
『本当の意味での戦い』となった準々決勝の平塚学園戦から、
東海大相模が1年間かけて鍛えてきたものが、
ようやく出始めたような戦いぶりを見ることが出来ました。
厳しい戦いとなった平塚学園戦での、
終盤で見せた守備の精度や低いライナーを連発するバッティング。
準決勝での安定した戦いぶりと吉田投手の完全復調を感じさせるピッチング。
そして決勝での、
まさに完璧な戦いぶり。
『横浜の年』
一色に塗りつぶされかけた”2015年神奈川の夏”を、
『いやいや、俺たち東海大相模の夏だぜ!』
という強烈なメッセージを残す戦いぶりでした。
決勝を見る限り、
新世紀に入っての神奈川のチームでは、
2004年の横浜高校(涌井投手の代)以来の充実ぶり、
”強さ”を感じさせてくれました。
東海大相模で言えば、
00年の選抜優勝の代、
08年の大田泰の代、
10年の選手権準優勝の代、
11年の選抜優勝の代、
そして昨年の投の4本柱の代など、
『全国制覇を狙える』
と言われた代がいくつもありました。
しかしながら、
間違いなく
『今年のチームは、そのどの代よりも強い』
ということが言えるチームです。
間違いなく『優勝候補』に上がる甲子園で、
今度こそ『ホンモノの東海大相模』を見せてもらい、
ぜひ98年の松坂率いる横浜高校以来の、
真紅の大旗を持ち帰ってもらいたいと思っています。
それにはまず、
なんといっても『大会への入り』これしかありません。
どんなチームと当たっても、
『おごらず、侮らず、そしてひるまず』
戦ってほしいと思います。
個人的には、
選抜優勝の敦賀気比との対決を、
心待ちにしています。
あの2012年に春夏連覇した大阪桐蔭並みの強さ、
甲子園の大舞台で発揮してください。
『彼らの行く手に、敵もなし!』
北関東に押されがちだった近年の神奈川のたまりにたまった鬱憤を、
全部吐き出しちゃってくださいね。
期待しています。
一方敗れた横浜高校。
今日のスポーツ紙のみならず一般紙にも、
渡辺監督の勇退の記事が躍りました。
お疲れ様でした。
横浜高校で指揮を執った47年間、
どれだけワタシ達高校野球ファンを熱狂させてくれたことでしょう。
今日になってその記事を見て、
もう渡辺監督が指揮を執る姿を見ることが出来ないんだという実感が、
ヒシヒシとわいてきているところです。
ワタシの『高校野球観戦歴』とほぼぴったりと重なる渡辺監督の監督歴。
これだけ長い間、
良くぞまあ監督という激務をこなし、
たくさんの選手、そして人を育て上げ、
やられてきたのだなあ。。。。
本当に、
素晴らしいことです。
野球に限らず、
選手や指揮者がその座から引退をするとき、
言いようのない寂しさを感じるものですが、
ワタシにとって特別な高校野球というもので、
しかもずっと声援を送り続けてきた神奈川県を代表する指揮官である渡辺監督の引退。。。。。。
分かっちゃいるけど、
寂しさを止める術を知りません。
この感じは、
池田の蔦監督が亡くなった時に似ているなあ。。。。。
あるいは箕島・尾藤監督の訃報を耳にしたときか。。
虚脱感が支配する、
ワタシの心の中です。
常総・木内監督、PL・中村監督らの名将が辞められたときは、
さほどショックは感じなかったものですが、
やはりワタシの中で横浜・渡辺監督は『特別』だったんだなあと、
今更ながらに気づいてしまいました。
本当に本当に、
お疲れ様でした。
横浜高校が神奈川県の高校野球で、
長きにわたって高い壁であり続けたことが、
神奈川県の高校野球がずっと『特別な』存在であった一番の要因でした。
夏の甲子園の神奈川大会。
日頃触れることがない皆さんには、
ぜひ一度足を運んでほしいと思います。
あの熱気、
あの大声援。。。。。
どの大会とも違う『神奈川の夏』です。
『神奈川の夏』
としか、
形容しようがありません。
東京で言うと、
三社祭のようなものか。。。
お隣にありながら、
高校野球における東京とのその”熱”の差、
もうこれは埋めようがありません。
そんな神奈川を引っ張り続け、
そして全国でも実績を残した渡辺監督。
その最後の試合は、
ライバルの東海大相模に完璧なまでに叩かれてしまいました。
今後、
東海大相模が、原貢監督時代以来の『神奈川の高い壁』になる予感をひしひしと感じて、
この特別感の漂う”97回大会”は閉幕しました。
今年もまた、
いい大会でした。
東海大相模高校
今年は、
去年のような戦いは出来ないぜ!!
ぜひ優勝旗を神奈川の地に持ち帰ってくれよ!
期待しているよ。
そして渡辺監督。
再度言います、お疲れ様でした。
これからは大所高所から、
神奈川の野球、そして日本の高校野球に、
厳しくも温かい目を注いでいって欲しいと思っています。
ワタシが渡辺監督で一番印象に残っているシーン。
それは、
98年の全国制覇した夏の甲子園。
準決勝・明徳義塾戦の9回裏の攻撃。
8回に4点を返して押せ押せムードの中始まった9回の攻撃。
無死1・2塁での送りバント。
それを捕った明徳の捕手が3塁に送るもそれてオールセーフ。
その時映ったベンチで、
渡辺監督は大きく両手を横に広げて『セーフ』のジェスチャー。
ワタシはその時、
その渡辺監督の姿を見ながら、
『逆転サヨナラ勝ち』
を確信したものでした。
数々の熱狂!
そこに渡辺監督がいた。
忘れられない出来事です。