WBAスーパーフェザー級タイトルマッチ KOダイナマイト内山 またも魅せた

◇WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ

　チャンピオン　　　　　　　　　　　　　　挑戦者
　　内山高志　　　TKO　8回終了　　　三浦隆司


◇WBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ

　挑戦者　　　　　　　　　　　　　　　　　　チャンピオン
　　下田昭文　　　　　判定　　　　　　　　李　列理


昨日の有明コロシアムで行われたダブルタイトルマッチ。
両試合ともに日本人同士の戦いとなり、
事前の盛り上がりはいま一つだったかもしれません。

しかし、試合内容は両試合ともエキサイティングの一言。
これほど面白い試合は、
なかなかお目にかかれるものではありません。

THE　REAL　BOXING

とでも呼びたくなるような試合でした。


チャンピオン・内山は3度目の防衛戦。
事前に挑戦者が変更になるなど、
万全とは言えない準備だったかもしれませんが、
『大ピンチ』をしのぎ切っての防衛、見事でした。

世界チャンピオンである長谷川、西岡、内山の3人は、
どこに出しても恥ずかしくない素晴らしい日本の3トップです。

それぞれが違った持ち味を持っていますが、
共通するのはそのスピード。

昨日の内山は、
そのスピードで相手を翻弄した立ち上がりを見せましたが、
こちらも8割のKO率を誇る挑戦者三浦が、
果敢に腕をぶん回して、
ついに3ラウンド2分過ぎ、
その拳を内山の顔面に叩き込みました。

内山はもんどりうってダウン。

会場は凍りついたような雰囲気に。

しかしここからが内山の『王者の風格』。
徐々に試合のペースを握り返すと、
ストレートかと思うような”見えない”ジャブを三浦の顔面の右側に集中させ、
目が塞ぎ切った三浦を8回TKOしました。

内山は試合後、
『こんな試合をしてしまい申し訳ない』
と謝っていましたが、
いや、いや、
素晴らしい試合でしたよ。
堪能しました。

内山のコンビネーションと動きの速さには、
磨きがかかってきていますね。
特にジャブの精度は、
見事なものです。

今後も今日のような”一瞬のスキ”に気を付ければ、
長い防衛ロードを歩いていける気がします。

しかし、
この試合で一番の驚きは、
三浦の頑張りでしょう。

1・2Rで明らかに動きの速さに差があるところを見せつけられた三浦ですが、
『俺にはこれしかない』
とばかり放つ左ストレート、フックの威力は特筆モノでした。

あと一歩まで王者を追い詰めましたが、
その一歩に届かないというのも、
また世界タイトルマッチなのでしょう。

しかし8Rまで、
内山の強打を何度も浴びながら反撃していった姿、
目に焼き付いています。

【三浦隆司】
完全に私の頭の中にその名前が大きくインプットされました。

次のチャンスに捲土重来を期してほしいものです。
その力、十分に持っている選手です。
ナイスファイト！



さて、
それから私を驚かせたのは、
スーパーバンタム級タイトルマッチで李を3度までキャンバスに這わせ、
大差の判定で戴冠した下田昭文です。

『下田がいいぞ』

去年あたり、
何度もその言葉は聞いていましたが、
これほどのボクサーとは思いませんでした。

チャンピオン李の強打にひるまず踏み込んでいった姿、
下田の『ハラの据わり具合』を感じることができた試合でしたね。

左の強打は、
歴代チャンピオンと肩を並べるぐらいのバズーカ砲です。

愚直に前に出ていく姿勢、
なんだか次に世界挑戦を控える名城の試合を見ているみたいでした。
彼もまた、
ワタシの大好きな【心を揺さぶる】ボクシングをしてくれますね。
初防衛戦はいろいろなプレッシャーがかかるでしょうが、
ぜひそこを突破してまた素晴らしい試合を見せてほしいと思います。

初防衛戦に失敗した李は、
動きがすごく硬かったですね。

やはり計り知れないプレッシャーを感じていたのでしょう。
しかしあのプーンサワットを捌ききったボクシングテクニックは並じゃないはず。
前半にポイントを奪えれば、
彼のボクシングは生きてくるのでしょうが、
予想外の展開に焦ってしまったのかもしれませんね。


2試合とも素晴らしい試合で、
存分に堪能できました。

余計な映像を入れず、
2試合をフルに映してくれたTV東京にも感謝。
ボクシングを一番心地よく見せてくれる地上波放送局ですね。

悔やまれることがあるとするならば、
会場に足を運ばなかったこと。

くそ～～～～～

生で見たかったな～～～～～