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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

第97回全国高校野球選手権大会  準々決勝  『千両役者!』

2015年08月18日 | 高校野球

≪第97回全国高校野球選手権大会≫  ~甲子園~

【準々決勝】


◇第1試合

早稲田実(西東京)  8-1  九州国際大付(福岡)

清宮豪快2号、富田連発! 止まらない 早実の超重量打線


早実が豪快に3発をたたき込んで快勝。4強に進出しました。
九州国際大付は、3回戦で完封勝利を挙げたエース富山ではなく、先発に長身右腕の野木を起用。『早実打線には合うと思った』という楠城監督でしたが、早実は2回、ここまで当たりの出ていなかった6番・富田がレフトポールを直撃する2ランで先制。4回には清宮が、豪快に2号をたたき込んで追加点をあげると、またしても富田が2ランをたたき込んで試合を決めました。エース松本は安定したピッチングで1失点の初完投。投打ががっちりとかみ合っての快勝劇でした。富田の2発は驚きでしたが、それにしても”清宮台風”は全く衰えることを知りませんね。ワタシ自身は、甲子園の前に清宮クンのバッティングを数回見ているのですが、正直ここまで凄いとは思いもしませんでした。『持っているポテンシャルは本当に高いが、今年の甲子園では厳しさ、苦しさも味わうかな?』と考えていたのですが、予想をはるかに超える、ものすごいバッティングをしていますね。甲子園が彼をここまで成長させているのでしょうか。 
どうしても『1年生スラッガー』というと、東海大相模の原、PLの清原、星稜の松井、大阪桐蔭の中田の4人が思い浮かぶのですが、現時点で比べるならば、清宮はこの4人をも凌駕するぐらいの凄さですね。この4人ですよ!!4人とも後にプロ野球で、一世を風靡した4人です。既にこの時点で、将来は約束されていると思ってもいいのでしょうか。これから2年間、清宮がどれだけのものをこの大甲子園に残してくれるのか、楽しみでなりません。
一方前日までの3試合で3発をたたき込んでいた九国の主砲・山本は、この試合では不発。それが響いたのか、九国は本当にこの試合は3回戦までとまるで別人のように元気のない戦いに終始してしまったように思います。多分ですが、疲れがたまっているところに、この日は第1試合。初めての朝8時からの試合に、体が動かなかったのかなと思います。そういった意味では早実は、なんと4試合連続で朝8時開始の第1試合を引き当てていますから、『朝から全開』はお手のものだったのかもしれません。そのあたりも、微妙な試合のアヤが隠されているかもしれませんね。
さあ、早実は4強に進出。今大会、西東京大会の準決勝ぐらいから涙腺が緩みっぱなしの和泉監督。この日もインタビュー台の壇上で、感極まっている姿が見受けられました。さしずめ【泣き虫監督と怪物たち】という風情で勝ち上がってきた今年の早実。まさに”甲子園の風”をわがものにして、この甲子園で生き生きと、縦横無尽に走り回っています。『強力打線がバンバン打って、技巧派投手を援護する』という戦い方、昭和50年ぐらいから復活を遂げた早実のチームによく似ている気がします。ワタシの中に在る、”早実の原風景”のような今年のチームです。『ここまでだろう!』『ここまでだろう!』と言われ続けながら進撃を止めない姿で、決勝まで駆け上がることができるのか。再度言いますが、早実が今年のこのチームで全国制覇したら、ワタシも高校野球の見方、変えます。


◇第2試合

東海大相模(神奈川) 4×―3  花咲徳栄(埼玉)

横綱・東海大相模。”1点の重み!の壁をついに破るサヨナラ劇勝!


3回戦まで、強豪相手に盤石の戦いぶりを見せた東海大相模。残っている8チームの中でも、そのもっている力は疑いようもなくNO1だと思います。しかしながら、ワタシはこの東海大相模にも、一抹の不安を持っていました。『もし試合の入りで主導権を握られ、相模の負けパターンの試合になった時、果たしてこのチームは跳ね返せる力があるのか?』ということが、心に引っかかっていたからです。昨夏の甲子園の盛岡大付戦、そして昨秋の神奈川県大会準決勝、平塚学園戦。さらに言えば今春関東大会準決勝、浦和学院戦。いずれも相手に前半で主導権を握られ、ズルズルと相手投手の術中にはまっているうちに後半を迎えてしまう・・・・・という戦いで敗れ去りました。そのことが頭にあってのこの試合、前半から中盤にかけては、『実にいやな流れの展開』で進んでいき、ワタシのココロモチは、『ひょっとしたら?』は、『まさか?』に変わり、『やっぱりか?』に変わる寸前になっていました。そんな8回。大きな大きなプレーが出ましたね。1死2塁の場面。バッターは4番の豊田でしたが、相手の高橋投手に追い込まれ、なんだか力んで凡退するときの『嫌な表情』に変わっている気がした時でした。高橋投手のけん制がなんとボークの判定。労せずして1死3塁に変わり、豊田の表情も明らかに『いい表情』に変わったような気がしました。そして2-2からの5球目、しっかりと打ち上げた打球はレフト犠牲フライとなり同点。そうなれば試合は東海大相模のもの。9回、相手ミスからつかんだチャンスに、”相模で最もいいバッター”杉崎に回るのも流れをつかんでいる証拠でしょうか。その杉崎がしっかりとレフトにサヨナラ打を叩き、東海大相模はまさに『こういう試合』を勝ちきりました。いつも負けていて、『こういう試合を勝ちきれなければ・・・・・・』が常に内外から言われ続けていた東海大相模が、ついに、ついに、その山を越えた瞬間でした。先発して3回2/3で3失点KOされた吉田投手。責任を感じていたのでしょう。8回からすでにベンチで涙が止まらない状態でした。『泣くのはまだ早え~ぞ~』と画面に向かって叫んでいましたが、サヨナラの瞬間も、校歌斉唱の時も、そしてアルプスへのあいさつの時も、涙が止まりませんでしたね。今度登板が巡ってくるとすれば多分決勝戦。今日の涙を今度は、うれし涙にしたいところですね。
敗れた花咲徳栄。近年進境著しい北関東のチームとして、今年も大活躍でした。同じ県内には『超強豪』の浦和学院が存在しているため、打倒・浦学での必死の練習ぶりが、この試合からもうかがえました。東海大相模に対してひるむどころか、『必ず俺たちが勝つ』との気迫がみなぎった戦いぶりでした。『敗れてなお強し』を印象付けた夏となりました。帰ったらまた、”強大なライバル”とのバトルが始まります。その戦いを潜り抜け、また甲子園で素晴らしい戦いを見せてほしいと思います。選抜で度々素晴らしい戦いを見せる花咲徳栄、校歌にあるように『♪春の花咲徳栄』のイメージが強かったのですが、今年からそれに『♪夏の花咲徳栄』を加えてもよさそうです。


◇第3試合

仙台育英(宮城) 6-3 秋田商(秋田)

仙台育英、東北対決を制し4強へ。秋田商、成田翔が打たれ、無念の敗北。


第3試合は東北対決。甲子園100年を迎えた今年の大会ですが、東北にはまだ真紅の大優勝旗が1度も渡っていません。第1回で秋田中学が決勝まで進出しているため、ワタシなんかは『あ~あの第1回で秋田中が勝っていたら、そんなこと100年も言い続けられなかったのになあ』なんて思っちゃいますが、長いことその『悲願の東北勢初優勝』に向かって、東北の強豪たちがしのぎを削ってきたのは間違いありません。何度も決勝の壁に阻まれてきた東北勢ですが、昨今、八戸学院光星、聖光学院、花巻東などの『ここ20年ぐらいで強くなってきた』チームが優勝旗のすぐそこまで来ているというった戦いを甲子園で見せる中、『どっこい俺たちこそがスタンダード』という誇りを持った仙台育英と秋田商が、ともに今年8強まで進出してきたということには、何だかうれしさを感じます。今年の仙台育英は『秋の全国王者』。明治神宮大会での盤石な戦いぶりから、選抜では【優勝候補筆頭】に推されましたが、同じく強豪で選抜を制する敦賀気比に惜しくも1点差負け。秋から鍛えてきた打線が機能せずに負けたことに、かなりのショックを受けたと見え、この夏に向けては、とことん打撃の精度を高めてきたという風に見えます。そして春以降故障で戦列を離れていた剛腕エースの佐藤世も、予選での不安定な投球は影を潜め、最後のこの甲子園で『復活の投球』を披露しています。そんな仙台育英の『盤石な戦力』に、左腕一本で挑んでいったのが秋田商のエース・成田翔。総合力で自分たちが仙台育英に劣っていることは重々承知のうえで、初回から見事な『力勝負』を見せてくれました。連投、しかも前日に160球以上投げているとは思えないほど、初回から飛ばす、飛ばす。『仙台育英の猛打線は、俺が全力で抑えきる』という気迫満点のピッチングでした。そしてそれに応えるように、秋田商のナインの気迫の凄かったこと。『これぞ高校野球』という様な、見事な戦いぶりを見せてくれました。4回に初安打を仙台育英の強打者・平沢にライトスタンドに運ばれ、さすがの成田翔もここで少し気持ちに『重さ』が加わってしまったのではないかと思います。それでも投げ続けましたが、ついに5回、仙台育英の強力打線に連打を浴び、マウンドを降りることになりました。しかし最後の最後、監督はまたこの成田翔をマウンドに上げて、『このチームの最後は、成田とともに』ということを見せてくれ、それに応えて最終回2死からナインが奮起。まさに【魂の追い上げ】を見せましたが一歩及ばず。しかしながら、秋田商の戦いぶりたるや、実に後味の良い、甲子園らしいもので、最後は見事な散りっぷりでした。
今年の秋田商。初戦では九州王者の龍谷に競り勝ち、2戦目では関東の雄、機動破壊の健大高崎を破りました。秋田勢として、存分に力を発揮した、見事な戦いぶりでした。成田クンの強気のピッチングは、先輩である石川投手(ヤクルト)を彷彿とさせました。先のステージで、また彼のピッチングを見たいですね。
さあ、仙台育英です。東北の人たちの思いをすべて背負い、ここまで来ました。はっきり言って、今年ほどチャンスの年はないと思います。『思い』は『現実』となるのか。注目のチームが、”頂”へ加速しています。


◇第4試合

関東一(東東京) 5-4 興南(沖縄)

死力を尽くした大激闘!この戦い、千両役者・オコエが決めた!


『ザ・高校野球』そんな形容がしたくなるほどの好ゲームでした。
雨の影響でほぼ1時間遅れで始まったこの戦い。両チームともに接戦を制して、この甲子園にはいってから明らかにチームが1段も2段も上の戦いぶりを繰り広げてきていて、監督も自分のチーム力に自信を持って臨んだ戦いとなりました。関東一のこの日の先発はエース番号を背負った田辺。この田辺が、見事なピッチングで興南打線に的を絞らせません。そして対する興南のエース比屋根は、連投の疲れも見せず右打者の内角にズバズバと”クロスファイア―”を投げ込んできて、素晴らしいピッチングを展開。両者相譲らず、そしてそれを支えるバックの好守備や走塁の巧みさ、この2時間に凝縮された戦いが『高校野球』を語りつくしているという戦いぶりでした。そして、両校の実力はまさに互角。『見ていてしびれる試合』とはまさにこのことでした。
試合は7回に興南が追い付いて3-3の同点で9回を迎えました。関東一はここで2死2塁のチャンスをつかみます。バッターは、初戦では『1イニング2三塁打』の大会タイ記録を作り、前日の三回戦では『ザ・キャッチ』でチームを救った『スーパーアスリート』オコエ。この日は比屋根の内角攻めに全く対応できずに4-0と抑え込まれていましたが、正直この場面では怖い存在であるのは間違いないところ。ワタシは、『敬遠で塁を埋めて井橋勝負。井橋なら、外野の頭を越されることはまずないから、外野が前進して・・・・・』なんて思っていましたが、興南はオコエとの勝負を選択。我喜屋監督は試合後、『全国を代表する打者と勝負させたかった』とのコメントを残しました。やっぱり、沖縄の野球はいいなあ・・・・・・・ワタシは試合後そう思いましたが、その時は『危険じゃないかな?』ということが頭を離れませんでした。果たして・・・・・・・勝負はオコエの見事な一発、2ランで決着。ライナーで左中間に運ぶ、豪快な一発でした。『いよっ千両役者!!』そんな声をかけたくなるほどの、カッコいい瞬間でしたね。東京では早実の清宮が話題をさらっていますが、『どっこい俺だって、忘れてもらっちゃあ困るよ』というオコエの、見事な一振りでした。
9回の裏、それでも心の折れない興南打線、必死に食い下がって1点を返しましたがそこまで。関東一がうれしい初めての夏・四強進出を決めました。
東京勢の揃っての四強進出は、87年の帝京・東亜学園以来28年ぶり。前回は両校ともに敗れて決勝に進めませんでしたが、今回はどうなるでしょうか。正直に言うと、早実、関東一の今大会での快進撃、まったく予想できませんでした。今年のチームについて、秋から春、そしてこの夏と、どうしても『エース不在』を克服できなかった両校を、全国で上位に進めるとは思いませんでしたが、エースを確立できなかったことが、かえってチームを結束させて、『全員で守り、全員で打ち返していく』という野球が徹底できていると思っています。そしてその【エース不在】の投手陣も、早実では松本が、関東一では出てくるすべての投手が、著しい成長を遂げていて、もう【弱点】なんて決して呼べなくなっていますね。そして明らかに『大会の波』に乗っている両チーム、ひょっとしたらひょっとするぞ・・・・・・・と思ったりしています。まあ、戦う相手はどちらも『ゴリゴリの優勝候補』で、戦力は一枚上と思われますが、『何かが起きるのではないか・・・・』という予感めいたものも、ないわけではありません。千両役者の早実・清宮、関東一・オコエが最後まで主役の座を譲らないかも……知れませんよ。
しかし両校、春の東京大会では準々決勝で対戦。18-11と、壮絶な・・・・・といえば聞こえはいいものの、要はグダグダの試合をやっています。勝った関東一はその次の試合で、日大三に苦も無くひねられていましたし。
この試合を見てワタシは、『ああ、この両校の今年の甲子園は、難しいんじゃなかろうか?』と思ったのは確かです。それからわずか四か月。こんなに素晴らしい戦いができるようになるなんて、改めて高校生の成長力には、頭が下がります。


ということで四強対決となりました。

今日のベスト8の四試合、
どの試合も見どころ満載で、素晴らしかったですね。

本当に『高校野球100年』の今年の大会は、
思い出に残る素晴らしい大会となっています。

『大団円』
に向けて、
あと2日の激闘が待ち遠しいです。


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