晦日、大晦日の喧騒からほぼ1週間。
ボクシングの『大興行』が3つも打たれて、
8つもの『世界タイトルマッチ』が次から次に行われた年末。
ワタシは30日の井上戦、八重樫戦、リナレス戦に足を運びましたが、
さすがにこれだけの世界タイトルマッチがあると、
何が何やらわからなくなってしまうかもしれませんね。
ということで、
ここらでちょっと、
振り返っておきたいと思います。
まあなにしろ、
衝撃という点では井上尚哉を置いて他にはないでしょう。
難攻不落の『音に聞こえた』世界チャンプを向こうに回して、
なんと2ラウンドで『時代を変えた』のですから。
この試合、
12月30日に行われたにもかかわらず、
アメリカのボクシングサイト2つで、
並み居るスーパースターを抑えて【年間最優秀選手[MVP]】に選ばれました。
実に誇らしく、
武者震いのする思いです。
この試合については既にアップしていますので割愛しますが、
その他の試合は、
こんな感じでした。
◆12月30日
≪ボクシングフェス2014 SUPER BOXEO≫ ~東京体育館~
◇WBO世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・オマール・ナルバエス(アルゼンチン) vs 同級8位・井上尚弥(大橋)
● KO 2回3分1秒 〇
まさに劇的な王者交代で、『井上時代』の到来を予感させるものでした。
井上は2015年、この『自分の適正階級』であるSフライ級にとどまり、
戦いを継続していくものと思われます。
ゆくゆくはあの世界のスーパースターであり、ジムの先輩・八重樫東を激闘の末破ったローマン・ゴンザレス選手との【世紀の一戦】が組まれることでしょう。
『強い相手とやりたい』という、
ボクシングファンをゾクゾクさせる井上の防衛ロード、
どうなっていくのでしょうか。
ひとつ心配があるとすれば、
ロマゴンやリナレスなども悩まされた、
『強すぎて相手が見つからない』
ということぐらいでしょうかね。
◇WBC世界Lフライ級王座決定戦 12回戦
同級3位・八重樫東(大橋) vs 同級1位・ペドロ・ゲバラ(メキシコ)
● KO 7回2分45秒 〇
『八重樫ファン』としては、
本当に目の前で『目を疑う』ような光景が繰り広げられ、
茫然としてしまうような戦いでした。
やはり9月のロマゴンとの『大激闘』から3か月弱、
心も体も、ダメージが抜けきらない中での対戦だったのでしょう。
八重樫がボディでキャンバスに沈むなんて、
誰が予想したでしょうか。
2015年は、
ゆっくり体の回復に努めて、
再起への道を探ってほしいと思っています。
あの『魂を揺さぶられるファイト』、
また見せてほしいです。
◇WBC世界ライト級王座決定戦 12回戦
同級1位・ホルヘ・リナレス(帝拳) vs 同級2位・ハビエル・プリエト(メキシコ)
〇 KO 4回1分50秒 ●
もう一つの驚きは、
やはりこのリナレスのファイトでした。
『やっぱり強いなあ』がワタシの偽らざる心境です。
これで3度目の”戴冠”ということになって、
これからどういう防衛路線を歩いていくのか、
注目しています。
ライト級ですから、
やっぱり迫力があるファイトですね。
見事としか言いようのないKO勝ちは、
以前と若干『ファイトスタイルが変化したかな?』というところも見せてくれたりして、
やっぱり超一流のファイトというのはいいなあ・・・・・と強く思いました。
◆12月31日
≪THE BEST Of BEST≫ ~大田区総合体育館~
◇WBA世界Sフェザー級タイトルマッチ 12回戦
王者・内山高志(ワタナベ) vs 同級9位・イスラエル・ペレス(アルゼンチン)
〇 TKO 9回終了 ●
『見に行きたい、行きたい』と思いながらも、まだ1度も実現していない内山チャンプの防衛戦。
今年も大晦日開催ということで、『大晦日は観に行けないんだよ~~』と言いながらのテレビ観戦となってしまいました。
ここ数年『内山のファイトを見て年を締める』のが定番になっていますが、
今年もしっかりとトリを務めてくれましたね。
35歳という年齢と1年ぶりの試合という感覚から若干心配していたのですが、
『全く心配ない』
ファイトとなりました。やっぱり彼のパンチの『ド迫力』は、
誰もかないませんね。
同じ階級でもの凄い速度で階段を上り続けているチャンプ、三浦選手がいます。
この両者の『ガチンコ対決』、
やったら相当に盛り上がると思いますね。
あの畑山vs坂本戦に匹敵するような、
凄いファイトになるんじゃないだろうか?!
そうなったらそうなったで、
いったい俺はどっちを応援すればいいんだろうか?!
◇WBA世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・河野公平(ワタナベ) vs 同級5位・ノルベルト・ヒメネス(ドミニカ)
△ 引き分け ▲
116-111、112-115、114-114
河野チャンプは、厳しい戦いになりましたがなんとか引き分け防衛を飾りました。
『引き分けだって、いいんです!』
放送が”まさかの”6Rからだったので、
そこからの試合っぷりは『明確に河野の勝ちだな』と思っていたのですが、
前半かなりポイントを取られていたようで、
三者三様の判定結果になってしまいましたね。
河野チャンプの防衛路線は、
ジムやテレビ局の思惑が絡んだものとなってしまっていて、
正直不透明な部分が多いですね。
今回の防衛後もテロップで、
性懲りもなく『亀田興毅との対戦』を煽られていましたが、
もうそんなことやったとて、
世間の注目は浴びないことでしょう。
『地味ながらも、防衛を続ける』
路線を敷いた方がいいのではないでしょうかね。
◇WBA世界Lフライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・アルベルト・ロセル(ペルー) vs 同級9位・田口良一(ワタナベ)
● 判定 〇
111-116、110-116、109-117
テレビでは盛んに『強カワイイ』などと言われていた田口。
見事な判定勝利で、世界タイトルにたどり着きました。
誰が見ても明確な判定勝ちで、
彼のポテンシャルの高さを見せてもらいました。
Lフライ級戦線ですから、
日本のボクサーもたくさんいますし、
【決戦】をキーワードにした日本人対決なんていう路線もいいんではないでしょうか。
それとも、
もっと上を狙っていきますかね?
いずれにしても、
彼のトータルなボクサーとしての能力、
もっと見てみたい気がするボクサーですね。
◆12月31日
≪KYOKUGEN 2014≫ ~大阪・ボディメーカーコロシアム~
◇WBO世界Sバンタム級タイトルマッチ 12回戦
王者・ギジェルモ・リゴンドー(キューバ) vs WBO同フェザー級9位・天笠尚(山上)
〇 TKO 11回終了 ●
いや~驚きました。
これほど驚いたタイトルマッチ、なかなかないかもしれません。
『テレビ局が無理やり呼んだ”世界のビッグネーム”に、無名の日本人ボクサーが挑んでいく』
構図となり正直期待もしていなかったのですが、
天笠選手の頑張りに会場はもとよりお茶の間でも『ウオ~』という歓声が湧き上がったのではないでしょうか。
『衝撃の7R』は、『そろそろ紅白に替えよっかな?』と思っていた矢先に起きて、
ワタシもびっくり仰天でした。
最後は『力の差』をまざまざと見せつけられてのTKOとなりましたが、
『記憶に残る』天笠選手の奮闘ぶりだったと思います。
『やっぱりボクシングって、面白いなあ』と感じさせてくれた大晦日の”ナイスファイト”でしたね。
◇IBF&WBO世界ミニマム級王座決定戦 12回戦
WBO同級1位・高山勝成(仲里) vs WBO同級2位・大平剛(花形)
〇 TKO 7回2分24秒 ●
井岡選手、天笠選手のファイトが終わった後、テロップで『田中マーくんとマエケンの勝負』なんて出ていてまたバラエティーに戻りそうだったので、
実はチャンネルを紅白に替えてしまいました。
それゆえこの試合、見ていません。
高山選手、4団体制覇、良かったですね。
≪世界タイトル戦以外≫
◇10回戦
WBC世界ミドル級8位・村田諒太(帝拳) vs ジェシー・ニックロウ(米国)
〇 判定 ●
100-90 100-90 100-90
村田選手の戦いぶりは生観戦だったのですが、『成長している』とは感じたものの、同時に『世界のミドル級戦線では、ちょっと厳しいのではないかな?』という気持ちも初めて湧き上がってきてしまい、なんだか複雑な心境です。前戦での判定の時以上に、この戦いは『結構しっかりパンチを当てていた』のに相手のスタミナを奪うというところまでは至っていなかったように見えて、ワタシの中にあった『村田のパンチは強い』というイメージが崩れそうになっています。2015年は村田にとって、とても大切な1年になりそうな気がします。来年の今頃は、明確に『世界で戦える選手なのか、そうでないのか』がはっきりすると思われます。日本人が待望した『重量級の世界チャンプ』が出現するのかどうか、胸突き八丁の1年になりそうです。
◇東洋太平洋Sフライ級王座決定戦 12回戦
同級3位・松本亮(大橋) vs 同級5位・ルサリー・サモール(タイ)
〇 KO ●
12回43秒
村田とは反対に、2015年は『絶対に世界チャンプになるな』と思わせてくれたのがこの松本です。上手くいけば夏ぐらいにも世界戦が組まれるかもしれませんね。元々井上の高校時代からのライバルということで期待されているボクサーですが、長身から繰り出すキレのいいパンチや動き、すでに『世界標準』は突破している感じですね。追っていきたいボクサーの一人です。
◇8回戦
日本フライ級4位・井上拓真(大橋) vs ネストール・ナルバエス(アルゼンチン)
〇 判定 ●
80-72、80-73、80-72
『井上の弟』拓真も世界へのチャンスは十分です。デビュー戦こそ『う~ん、兄貴に比べると今ひとつかな』と思わないでもありませんでしたが、どんどんその才能を開花して来ている感じがしており、2015年にはチャンスがやってくるかもしれません。個人的には、ターゲットを井岡選手に絞ってくれると、面白いフライ級戦線になってくる感じがしますね。結構大物感もあり、兄の井上尚哉、前述の松本と『3人の世界チャンプ』になるのも夢ではないような気がします。
◇10回戦
WBA世界フライ級3位・井岡一翔(井岡) vs ジャン・ピエロ・ペレス(ベネズエラ)
〇 KO ●
5回2分9秒
井岡もようやく存在感を見せて、『オレを忘れてもらっちゃ、困るよ』というファイトを見せてくれました。挫折を味わった2014年を経て、いったいどんなボクサーになっていくのか、大変に興味があります。しかし、ちょっと心配なのは、世界チャンプ時に見せていた自信満々の表情と、何だか怖さを知ってしまった今の表情が非常に違う感じがすることです。これからどんな路線で試合をしていくのかわかりませんが、大橋ジムや帝拳ジムにはこの周辺階級で強い若者がごろごろしています。彼らが挑みかかってくるのを、チャンプ時代のようにするりとかわしつつ、涼しい顔で防衛をしていってもらいたいと思っています。
ということで、
ボクシング界はまさに、『チャンピオンが乱れ飛ぶ』ような状態になっています。
何度も言うように、
世界チャンピオンであるというだけでは、
世間の評価を高めることは出来ませんし、
ボクシングファン以外の人たちに顔と名前を知ってもらうことは出来ません。
世間の注目を浴びるためにも、
そして同時にボクシング界での名声を高めるためにも、
『どんな相手と、どんなファイトをするか』
ということがどのボクサーにも求められていると思います。
そんなことを思いながら、
2015年もボクシングの世界に、
どっぷりとつかっていきたいと思っています。
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