◇もっとも印象に残った球児
50.宮崎
田口 竜二 投手 都城 1984年 春夏
甲子園での戦績
96年 春 1回戦 〇 4-2 和歌山工(和歌山)
2回戦 〇 3-1 私神港(兵庫)
準々決勝 〇 3-2 愛工大名電(愛知)
準決勝 ● 0-1 PL学園(大阪)
夏 1回戦 〇 7-1 足利工(栃木)
2回戦 〇 7-4 長浜(滋賀)
3回戦 ● 1-9 PL学園(大阪)
宮崎県と言えば、
九州の中では唯一『全国制覇』を成し遂げていないということで語られることがありますが、
実は甲子園では実績を残す強豪県。
1県1代表となった昭和53年から昭和の最後を飾る63年まで、
11年間で初戦敗退はわずかに1度だけ。
甲子園では常に実績を残し続ける県です。
しかしいまだ決勝の進出はなし。
平成に入って佐賀、鹿児島、沖縄、長崎と次々に全国制覇を達成していく中で、
宮崎は最後に残った『大物県』です。
そんな宮崎で、
甲子園制覇に最も近付いたのが、
84年(昭和59年)の都城でしょう。
この年の都城、
なんといっても185センチの長身から投げ下ろす【NO1左腕】の田口に注目が集まりました。
秋の新チームで九州大会優勝という結果を残して臨んだ春のセンバツ。
優勝候補には前年の夏の甲子園で、あの池田を破って全国制覇を成し遂げた、
KKコンビを擁するPL学園がデ~ンと座っていました。
大会前の予想では、
『PLがダントツの優勝候補。それを追って東の取手二、明治神宮大会優勝の岩倉、そして九州大会優勝の都城』
というものでした。
田口は『左腕NO1』の称号を頂き、
県勢の選抜初制覇を目指して甲子園に乗り込みました。
ワタシはセンバツでの田口の姿しか見ていませんでしたが、
九州大会を見た人から言わせると選抜での田口は『別人のよう』に出来が悪かったといいます。
確かに長身を持て余しているかのようなぎくしゃくとした投球フォームは、
これまで『流れるような』左腕の好投手を見続けてきた身としては、
さほど強烈な印象を残してくれるものではありませんでした。
しかしなんとか勝ち進んで迎えたPLとの準決勝で、
田口は自分のベストピッチを思い出したかのようなピッチングを見せます。
投げ下ろす大きなカーブが微妙にPL打線のタイミングを外し、
PLを延長11回までわずか5安打無失点に抑え込み、
『都城の田口ここにあり』
を満天下に示したピッチングでした。
試合は11回裏、
2死1塁で桑田の打球はライトへの平凡なフライ。
これをライトの隈崎選手がまさかの落球。
1塁ランナーが長躯ホームを駆け抜けて、
PLがこの激闘で歓喜のサヨナラ勝ちをしました。
落球した後、隈崎選手が拾ったボールをバックホームせず、
すぐ近くの2塁手にふわ~ッと投げ返してしまったことが、
いまだに頭にこびりついています。
たぶん動転していたのでしょうね。
『なんでバックホームしないんだ~~~』
とTVの画面に、叫んでいました。
キッチリバックホームしていれば、
たぶんランナーはホームに還ることはなかったと思います。
何十年経っても、いまだに覚えている”忘れられない”シーンです。
とはいえ、
都城の健闘は大いにたたえられたものでした。
その都城。
強豪らしくこの夏も春夏連続出場をして甲子園に帰ってきました。
田口は春に比べ、
ギクシャクしたところが取れていいフォームになっていたように見受けられましたが、
左腕投手にありがちな『荒れ球』という部分も顔を出していたような印象があります。
夏も都城は3回戦でPLと激突。
『春の忘れ物を取りに』この決戦に臨んだ都城ナインでしたが、
落ち着き払ったPLの選手に比べて何か気合が空回りしているように見受けられ、
初回から防戦一方の試合となり、
1-9と一方的に敗れてしまいました。
しかしながら、
春3勝で4強進出。
夏2勝で3回戦進出と、
しっかりとした足取りを【聖地】に刻んで、
都城は去っていきました。
田口はこの後、
南海(現SB)にドラ1で指名されてプロ入り。
結局プロでの活躍はできませんでしたが、
都城時代の勇姿は、
たくさんの人の目に焼き付いていることでしょう。
ちなみに2年生ながらこのチームでショートを守っていたのが、
プロ野球で2000本安打を達成した、
田中幸雄選手(元日ハム)です。
その後寺原という甲子園最速右腕(当時)も生み出した宮崎県。
80年代までの都城から、
90年代以降日南学園の時代となり今に至りますが、
『全国制覇』の悲願はどこの高校が成し遂げるのでしょうか。
『われこそが・・・・・』
と名乗りを上げる高校の出現が、
楽しみです。
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大阪なのでPLを応援してましたが、選抜のあの試合はよく覚えています。
全く打てそうになかったですね。