昨日、一昨日など、
国会の質問で高校野球のことが取り上げられています。
質問に立った議員は、
「高校野球は投球制限をやるよりも、最後まで全力で試合できる日程調整を、阪神と交渉すべき」
とただしてそれに対して文科大臣は、
「アスリートファーストの観点からすれば、甲子園での夏の大会は無理。」
と発言しました。
至極まっとうなやり取りが国会でなされたことに、
ワタシはある意味感心してしまいました。
ここ数年で高野連が舵を切り、
大きく高校野球が変革されることになってきました。
まず一つはタイブレーク制の導入。
現在行われているのは、
12回を過ぎた試合に関しては13回からタイブレークを導入。
無死1・2塁から継続打順で試合を行うという事です。
この導入は当初、
高校野球の質が変わるという事で、
非常に多くの反対意見があったように記憶しています。
しかしながらサッカーにおけるPK戦同様、
受け入れられてしまえば、
ほとんど違和感なく試合は行われています。
今年の甲子園でも、
星稜vs智辯和歌山の試合など、
タイブレークの激闘として長く心に残る激闘も登場したりしています。
そして来春からはついに、
投手の投球制限にも踏み込みました。
現状では1週間に500球が限度という事になっているようで、
これは果たしてどんな受け入れられ方をするのか、
まだわかりませんが、
「投手を投げ過ぎから守る」という観点から好感されているようですね。
というよりも、
時代の流れでそうせざるを得ないという事も考えての決定でしょうね。
しかしながらこの件で質問に立った議員同様、
ワタシも同じことを考えていました。
「投球制限などよりも、もっと考えること、あるんじゃないの?」
あの夏の最高に暑いさなか、
14日か15日間の日程で最高6試合もこなす、
そんな日程の調整の方がよほど大切なのではないか・・・・と。
何しろ夏の甲子園は日本の夏の風物詩というか、
既に文化のようになっていますが、
何しろ日程がタイトという事は厳然たる事実です。地方大会も含めて。
それでも温暖化がいまほど進んでいなかった80年代ごろまでの高校野球では、
過密日程なんてことは議論されることもなく、
”夏の風物詩”ということで言えば、
一般の人たちは「甲子園で、ヒーローたちが腕も折れよと、連日へとへとになりながら試合を続けることを見ることが、夏の風物詩」
と考えていた節すらある時代だったんですね。
プレーヤーズファースト・・・・なんて、
当人とその家族以外、考えもしなかった時代です。
「限界まで頑張る」
という事こそが、
昭和の美学であり、
人々の願いそのものだったという時代です。
そしてそこを超えた先に輝ける未来が待っている・・・・・・
世相としても単純にそう信じられた、
ある意味とてもいい時代でした。
しかし今は全く違う。
気候も違えば、考え方も違う。
言い方は悪いのですが、
かつては球児が甲子園を「自分の(野球の)死に場所」と決めて、
その大会に自分のすべてをかけるという姿そのものが、
人々の心に訴えかけられたのが「高校野球夏の大会」だったと思うんです。
そんな姿を自分に投影したり、
自分の故郷の代表が頑張る姿を見る事こそが明日への活力、
そんな位置づけで夏の甲子園大会をみんな見ていたという事です。
しかしそんな「大衆のお楽しみ」の犠牲になったともいえる球児は後を絶たず。
本人たちは犠牲になったなんてこれっぽっちも思っていないでしょうし、
燃え尽きた自分の姿を明日の糧にして進んでいってくれていると思いますが、
今の世の中ではそんなことは許されません。
その世の中の流れに沿えば、
タイブレークも投球制限も、
やはり考えなければならないことだとはワタシも思っています。
しかしながら、
「んっちょっと待てよ」
と立ち止まって考えてみたりもするんです。
そんなことをする前に、
もっと考えることあるんじゃないか?
そう、それがこの議員が言ったことと全く同じ。
真夏のさなかにやるんであれば、
もっと日程をゆるくしたらどうなのよ?!
という事です。
連投をなくすんであれば、
休養日を設けるというのが最もいいやり方だと思います。
連投はダメ、
疲れを残して選手をつぶしちゃア・・・・・・
なんて言っている当の高野連や朝日新聞が、
あり得ないような厳しい日程を組んだうえに、
激闘の夏の甲子園大会が終わったら1週間もたたないうちに、
「ヒーローたちよ、次はU-18の侍ジャパンだよ~」
といって招集して、試合させるじゃないですか。
うがった見方をすれば、
「あの夏の激闘の熱さが冷めやらないうちに、ヒーローたちを掬い取って、もうひと盛り上がり、してもらおっと」
って感じがしちゃうんですよ、実際。
オトナの事情として。
そしてまさに連日「国際大会」といえば聞こえはいいが、
「何のために一体やってるの?」
って感じの大会に疲れ切った選手たちを参加させまくっているじゃないですか。
言ってることとやってること、
本当に真逆なんだよねえ。。。。。
高野連にも、朝日にも。
そんなことを本当に最近感じるんですよね。
これワタシがここ10数年感じている、
違和感なんですよ。
選手ファースト、あくまでも教育の一環なんていう耳障りのいい言葉を並べるのはいいが、
選手や学校を商業的なところに一切出させないといっていながら、
一年中朝日関連の高校野球の取り上げ方、あおり方は、
異常なほどにすごいですからねえ。
教育的観点は、いったいどこ行っちゃったの???
もちろん今年のワールドカップに際しての、
読売や日テレのコラボしたラグビーの取り上げられ方もすごかったけれど、
それはもう、チーム全体が日本代表であり、プロ&社会人の選手ですから、
同列には論じられないと思います。
もう高校野球は、
イベント・・・・コンテンツ・・・・・
そういったことを抜きにしては語られなくなってきているように感じて、
それを中心に物事が考えられている(設定されている)ような気がしてならないんです。
例えてみれば、
大スポンサーを抱えるアメリカの意向で、
オリンピックの開催時期や競技時間がすべて決められてしまう・・・・・みたいにね。
今の気候状況を見たら、
真夏の開催は間違ってるだろ!!!
という所にメスを入れなければ本格的な議論にはならないはずなのに、
なぜかそこはタブー視されて誰も言わない・・・・・みたいなね。
高校野球だって、
「夏の開催が譲れないんだったら、日程を倍にしてみたらどうだ」って、
何で言えないのかねえ。
阪神タイガースがあるから無理言えない????
阪神さんがいったいどれだけ甲子園の高校野球で潤っているか、
知っていて言っているの?
ワタシの考える私案では、
高校野球は準決勝、決勝だけ1週間間をおいて、
翌週の土日にやればいいと思っています。
そうすればかなり、
殺人的な日程にはならないのではないかと思ったりするんです。
阪神タイガースには、
その土日だけ甲子園を貸してもらって。(予備日はプロ野球の組まれない月曜日)
そう、高校サッカーのような感じの日程です。
今年の日程でいうと、準々決勝が18日でしたから、
準決勝を24日、決勝を25日にするという事です。
選手たちは一度地元に帰って調整をし、
準決勝進出の4チームは再度1週間後に甲子園入りをして試合をする。
さらに言えば、
2回戦終了ごと3回戦終了後に1日ずつの休養日(予備日)を設ければ、
日程が一番詰まっているチームでも6日で3試合という事になり、
何とか選手(投手)の健康も保たれると思っています。
さらに言うと、
地方大会の日程も見直して、
最低でも7月頭から大会を開催。
沖縄や北海道のように、
6月下旬からの開催を中心として、
基本は土・日での開催とする。
そして最終週(7月中旬~下旬)に準決勝、決勝を中2日ぐらい明けて行う。
これぐらいすれば、
全く日程がタイトにならずに、
運営も無理なくできると思うんですけどね。
そしてさらに言えば、
現在行われている各地区の春季大会を、
都道府県大会単位で終了させ、
現在の地区大会(関東大会、近畿大会など)を行わない。
そしてそれを5月GWまでには終了させる。
(北海道・東北などは5月下旬まで)
その後は公式戦は挟まず、
招待試合、練習試合などを行う期間とすることで、
夏の大会の早期開催に支障が出ないようにする。
こんな感じでどうだろうかと思っています。(まあ、考えているだけですが)
高校球児のほとんどすべてが、
「目指すべき大会は夏の大会」
だと思っているのは明白なので、
夏の大会をどのように行うかという事を中心軸に、
議論を進めてほしいものです。
まあ、
選抜を主催する毎日新聞は「センバツも重要な大会で・・・・・」
というと思いますが、
昨今の高校野球を見るにつけ、
「センバツと夏の大会の、世間の温度差の違い」
がすごく顕著になってきたことを感じざるを得ません。
センバツも歴史のある大会ですから「終われ!」とは決して言いませんが、
「高校野球は夏の大会」という事をもっとはっきりさせ、
その目指すべき大会を選手ファーストにするためにどうするのか・・・・・そんなことが、
一番大切なことなのではないかと思っています。
例えば西東京大会で勝ち進んだ学校が甲子園で優勝するとすると。。。。。。
(西東京大会開幕7月1日、甲子園開幕8月5日と想定)
西東京大会第1戦(2回戦) 7月7日
第2戦(3回戦) 7月13日
第3戦(4回戦) 7月15日
第4戦(5回戦) 7月20日
第5戦(準々決勝)7月23日
第6戦(準決勝) 7月26日
第7戦(決勝) 7月28日
甲子園大会第1戦(1回戦) 8月7日
第2戦(2回戦) 8月12日
第3戦(3回戦) 8月15日
第4戦(準々決勝)8月18日
第5戦(準決勝) 8月24日
第6戦(決勝) 8月25日
全国で最も試合をこなさないとならないこんな代表でも、
これぐらいの日程で試合できるってことです。
ある程度の試合間隔をもって最後まで戦い抜けるという事です。
そうであれば、
基本的には連投っていうのはなくなるし、
中2日か3日明けての試合が多くなるので、
例えば信頼できる投手がひとりしかいないチームでも、
何とかやりくりできる可能性を残すことが出来るのではないでしょうか。
都合13試合戦って全国の頂点まで駆け上がったとしても、
なんとか”壊れるぐらいまで過酷”とは言えないのではないですかね。
最近よく言われているのは、
主催者である朝日新聞やテレビ朝日が過度に夏の甲子園をイベント化しているという事。
人気が出るのはある意味嬉しいことなのですが、
それが高校球児たちの犠牲の上に成り立ってはいけないというのがいまの議論の中心である限り、
やっぱり日程調整を最初にやるというのが、
正しい姿でしょうね。
そして高野連も朝日新聞も、
やっぱりそれでけ甲子園大会でかなりの利益を得ているということなので、
当然球児たち、そして学校に還元してもいいでしょう。
まずそこからやり始めなければ、
いつまでも今のまま、
そして「改革」は、野球という競技の醍醐味とかそちらの方にメスを入れることになる・・・・・
そんな改革ばかりに進んでいく気がします。
「投球制限」については、
過去のWBCなどを見ていて、
「ああ、やっぱりこの制度は、野球本来の競技性を著しく損なうなあ」
と思わざるを得ませんでした。
「ああ、あと〇〇球で交代だから・・・・・・」
と思いながら見る野球の、
何と味気なかったことか。。。。。
そして球数を投げさせるという事で、
打者がファールで粘るという事も頻繁に行われると思いますし、
今度はそれが進むと意図しないファールを打った打者にもブーイングが起こったりして。。。。。
なんだかそんな野球、
面白くないなあと思ったりしますしね。。。。
段々ルール改正が進んでいったら、
今度は「試合は2時間で打ち切り」なんて時間制限が出てきて、
「少年野球じゃね~ってんだよ!!!」
なんていうぼやきがオヤジの間で頻発したり。。。。。
そんな野球の”暗黒の未来予想図”を幻で見ちゃったりしています。
国会で曲がりなりにも議論されたことを勿怪の幸いと思って、
いろいろと取り組んでみたらいかがかな、高野連さん、朝日新聞さん。
なんだかんだ言っても、
高校野球の未来は、
あなた方が握っているという事なんだからさあ。。。。
プレーヤーが少なくなっちゃったら、
本当に厳しくなっちゃうんだから。
昨日の常翔啓光学園のラグビー部の話、
衝撃でした。
あの花園4連覇を飾った啓光学園が、
部員12人で合同チームで参加なんて。。。。。。
悲しすぎるわ。
現在のラグビー人口の激減に伴って、
全国高校ラグビー選手権の地方大会出場校、
ちょっと見ても大票田の大阪で44校、
東京、神奈川、京都などでも20チーム~30チーム前後の出場校が定番だそうです。
もちろん地方の県では決勝だけしか行われない(要するに出場校2校)、準決勝から(出場校、3校~4校)。。。。。
なんていう大会がゴロゴロあったりして、
高校野球はこれを他山の石としなければなりませんよ。
今は180校を超えている神奈川や大阪、愛知大会が出場100校を切るなんてなったら、
一大事ですからね。
考え時ですよ、今が。
変わらなきゃいけません。
ラグビーについては、
今のラグビーブームで、
すこしでもたくさんの子供たちがラグビーに興味を持ってくれたらうれしいけど。。
頑張ってほしいですね、協会には。