≪第89回選抜高校野球大会≫ ~甲子園~
【決勝】
大阪桐蔭(近畿) 8-3 履正社(近畿)
大阪桐蔭 110 001 005 - 8
履正社 000 000 030 - 3
大阪桐蔭輝く選抜V 初の大阪決戦を、圧巻の4発で制す
初の大阪決戦となった今年の選抜。
これまでの戦いぶりを見ていても、
大相撲でいえばまさに『東西の大横綱同士』という風情の【落日決戦】。
並ぶものなしの実力を誇る両雄の、
力のこもった対戦となりました。
試合は、
いきなり大阪桐蔭が藤原の『プレイボール・ホームラン』で先制。
2回にも坂之下のアーチで追加点を挙げた大阪桐蔭に対し、
春夏を通じて初めての全国制覇を狙う履正社は、
機先を制されたことで何処かペースをつかめないまま回が進んでしまい、
ビハインドのまま後半を迎えることになりました。
大阪桐蔭は「5回の休み」が明けた後半戦開始の6回に、
再び藤原がアーチをかけて3-0とリードを取り、
6回裏の履正社が初ヒットで得た無死3塁のピンチをも抑え切ると、
もうペースは圧倒的に大阪桐蔭・・・・・という感じでした。
しかし履正社は、ここから初優勝への執念を見せました。
8回のピンチをしのぎ3-0のまま迎えた8回の裏、
2死を取られてから、
履正社の誇るクリーンアップ、
3番・安田、4番・若林が連打で1点を返すと、
5番・浜内が見事なレフトへの2塁打。
2者を迎え入れて、
あっという間に履正社が今大会の『優勝候補筆頭』の力を見せつけて同点。
試合は風雲急を告げました。
しかしながら、
大阪桐蔭の『本当の力』はここから。
尚も2死2塁のピンチで、
エース徳山が踏ん張り相手エース竹田を凡打に打ち取り、
逆転を許しません。
ここが試合のポイントでした。
大会を通じて、
『本当にここが試合のポイント』
と言われる場面で、
エース徳山をはじめとして大阪桐蔭は、
相手の攻撃をことごとく封じて、
相手に主導権を”絶対に”手渡しませんでした。
これこそが『大阪桐蔭の大阪桐蔭たるところ』。
大阪桐蔭は今大会を除くと、
これまで5回の全国制覇を達成していますが、
この『相手に主導権を渡さない』という『試合のポイントを熟知した試合運び』こそが彼らの本当の強さ。
逆に言えば、
これができていないときのチームはこれまで甲子園で苦杯をなめています。
今年は『大阪桐蔭の戦い』ができるチームであるということ、
何度も証明してきました。
2回戦からは苦しい戦いばかりの大会でしたが、
2回戦の静岡戦、準々決勝の東海大福岡戦、
そして準決勝の秀岳館戦と、
いずれも『ここでやられたらやばいな』というところは、
ことごとくエース徳山が、そしてそれを支える守備陣が、
相手を抑え切って、
この日の決勝まで駆け上がってきました。
そしてこの決勝でも、
ポイントとなる同点の8回2死2塁の場面で、
その『桐蔭力』がいかんなく発揮されましたね。
そうなると試合の流れは大阪桐蔭へ。
9回無死から坂之下がヒットで出ると、
しっかり送って、
ここで西谷監督が勝負手。
徳山の代打にとっておきの西島を送り勝負をかけます。
この西島、
2回戦の静岡戦での代打でのヒットがワタシの中で強烈に印象に残っており、
『本当にいい打者だ』
と思っていましたので、
『勝負を急ぐと、やられるな』
と思っていました。
しかし履正社のバッテリーにとっては、
次の打者が今日2本塁打の藤原だっただけに、
歩かせるという選択肢はなかったでしょうね。
果たして西島が捕らえた打球は、
大阪桐蔭の大歓声に乗ってレフトスタンドへ。
何と今日チーム4本目の本塁打という、
これも『大阪桐蔭だなあ』という、
実に『満振り』の大阪桐蔭らしい決着のつけ方でしたね。
見事な2回目の選抜制覇となりました。
おめでとう!!!
一方履正社は、
2度目の選抜決勝に臨みながら最終回に突き放され、
またも『全国制覇』の夢は持ち越しになりました。
特に今日の試合は、
大阪のライバルであり、
これまで何度も煮え湯を飲まされていた大阪桐蔭に敗れたため、
悔いは残っているのでは、と思います。
これまでは大阪府内の対戦でも、
ライバルとはいいながら『NO1は大阪桐蔭、No2が履正社』という”序列”があったと感じています。
少なくともワタシは、そう感じていました。
しかしながら今回のチームについては、
履正社が直接対決にも勝利しているし、
『秋の日本一』をも獲得しているので、
チーム力から言って、やや履正社が上回るのではとみていました。
そういう点でも、この甲子園の頂点を目指す”最終決戦”はとても楽しみでした。
履正社にとっては、
今回敗れてしまったことは痛恨でしょうが、
3-0のまま敗れたのと違い、
8回2死からあっという間に同点に追いついたところなど、
見せ場を作ってその意地とチーム力を十分に全国のファンに見せてくれたので、
ワタシとしては彼らの奮闘に大きな拍手を送りたいですね。
夏の大阪大会でも必ず大阪桐蔭との対戦が待っているでしょうが、
その時はこの日の悔しさも含めて、
全てのパワーを結集して、
この『最強のライバル』にぶつけていってほしいと思います。
まさに『大坂夏の陣』になりそうな、
今年の大阪大会ですね。
ああ、来年だったらよかったのになあ。。。。。。
来年だったら夏も、
大阪から2校出れるっていうのに。。。。
大阪にとっては、
PL学園が高野連の登録を抹消されたというニュースが流れましたが、
まさにこれが『時代が変わっていく』ということですね。
史上初の大阪決戦。
十二分に堪能させてもらいました。
今年の大会、
近年顕著な傾向が表れている、
『近畿勢が圧倒的に強い』という流れが、
更に進んだ大会となりました。
初の大阪決戦となった2強に加え、
4強に報徳が入り、
そのほかでも滋賀学園など、
存在感を見せたチームが数多くありました。
一方で何かと比較されることが多い関東勢。
今年もまた東京の2校を中心に話題は豊富でしたが、
この選抜でも「ライバル」というにはおこがましいほど、
大阪の2強との間には差があることを実感しました。
『なぜここまで・・・・・』と考えると、
近畿勢は「選抜で結果を残す」という意識が強く、
それが出場各チームに伝播している感じがしますね。
他の地区の代表とのチームコンディションの違いは明らかで、
もともと実力があるうえに、
【コンディション+意識】の差もあれば、
やはりそうそう逆転現象は起きないということですね。
関東勢についていえば、
まだどこかに『春は夏を迎える道程』という意識がどこかにあるのではないかな?
そんな気がします。
実際春から夏にかけて、
信じられないぐらい伸びるチームが一つや二つはあるので、
「それもまたありかな?」
という気もしますが、
「選抜が一生に一回の甲子園の舞台」という覚悟みたいなもの、ちょっと薄いのかな?
そういう覚悟がある夏の甲子園と、
なんだか戦い方が違うという感じがするの、
ワタシだけかな?
もともと勝負ごとに関することについては『淡白』な関東人気質、
『これにかける』気が薄いと、
やっぱり互角に対峙すること、難しいかもね。
そんなことを思った大会でした。
勝負にかける『関西気質』、
実はワタシが最も好きなところです。
この流れ、
しばらく続いていくのではないかと思ったりしています。
さあ、
今日からもう、
夏に向かっての戦い開始のホイッスルが鳴りました。
今年の選抜は、
同一都府県での『アベック出場』がたくさんありました。
優勝を争った大阪をはじめ、
福岡、兵庫、熊本、群馬、東京・・・・・・・・
彼らのうちどちらかは、
確実に『夏の甲子園の土』を踏むことはできません。
地元に帰れば、
過酷な現実が待ち受けていることでしょう。
もう一度この地に帰ってくるためには、
技術・体力・チームの総合力に時の運、
たくさんのものを自分たちのモノにすることが必要です。
どんなに努力しても、
野球の神様が微笑んでくれるとは限りません。
それこそが勝負の世界。
しかしその厳しさを潜り抜けた先に、
あの『真夏の聖地』は待っています。
そしてワタシ達ファンも、
そんなたくましくなった彼らの姿を、
【聖地甲子園】で見られることを楽しみにしています。
あと3か月。
最後の力を振り絞り、
わき目もふらずこの聖地を目指して、
頑張ってください!!!
この春頑張ったすべての球児たちに、
本当にありがとうの言葉を送ります。
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