2020年箱根駅伝予選会が、
冷たい雨の降る自衛隊立川駐屯地を周回するコースで行われました。
全46チームが10の枠を争う今年の予選会。
コロナ禍の影響で、
今年の予選会はいつもとは若干趣を異にして行われました。
いつものコースではなく、
今回は昭和記念公園に隣接する自衛隊立川駐屯地の滑走路周回コースのみで行われ、
選手たちはこのコースを8周ほどしてゴールを目指すというもの。
ある意味わかりやすい設定で、
コースは完全にフラットのため記録も出やすいのかなと思っていましたが、
いろいろなドラマを生む今回の【立川】となりました。
予選通過が「まず間違いない」と言われた数チームの中で、
1年生に爆発力を兼ね備える「エース格」を擁する順大と中大は、
まさに安定した走りを見せて楽々と予選を突破。
特に日本人ランナーのトップでゴールした順大のスーパールーキー・三浦の走りは凄かったですね。
すでに3000m障害で東京五輪の派遣標準記録を突破している三浦は、
良く伸びるストライドで好走。
従来大迫傑が持っていたU-20ハーフマラソンの記録を破る1時間1分41秒の快走。
この三浦、そして順大は、
本番の箱根路でも大いに期待できそうですね。
十分に3強の一角を崩せる力を持っているように感じます。
これまで数年間厳しい戦いの連続だった中大も、
復活ののろしを上げる戦いでした。
昨年は予選会をギリギリの10位で、
しかも11位との差はわずか10数秒という薄氷を踏む思いの通過でしたが、
今年はこちらもスーパールーキー・吉居がチームトップの全体10位で快走。
チームは2位で楽々予選突破を果たしました。
中大も今年の狙いは本戦での表彰台とのこと。
ひょっとしたらひょっとするかもと思わせてくれる走りでした。
昨年涙をのんだ名門も続々と復活を果たしましたね。
城西大は昨年まさかの予選敗退でしたが、
今年は3位で堂々の復帰、
山梨学院大も2年ぶりの復活を果たしました。
安定感のある神奈川大、日体大、
後半怒涛の追い上げを見せた法大、
そして留学生の貯金をしっかり日本人選手がサポートする戦い方で国士大、拓大も出場権を確保しました。
最後の10枠目には、
昨年久しぶりの本大会出場に沸いた筑波大をわずかの差で振り切った専大が、
7年ぶりに飛び込んで歓喜に沸いていました。
この専大もチーム最速は1年生のルーキー木村。
彼の頑張りに引っ張られ、
筑波大とわずか18秒差という激戦を制しました。
ルーキーの出現が、
順大、中大のみならずチームに変革をもたらす結果となりましたね。
一方でまさかに泣いたのが、
『一抜け候補最右翼』
と言われた中央学院大。
テレビで見ていると、
5㎞、10㎞のラップでは安定した走りを見せて上位を快走していたので、
順大、中大などと並んで「安定の通過・・・・・」と思っていたところ、
18㎞のラップ(テレビ)で「あれれれ・・・・・」となって、
結果を聞いて驚いてしまいました。
昨年までは5年連続シード校、
昨年にしても全日本でいい走りを見せるなど、
「上位常連」
の一校に数えられていましたから、
本当に驚きました。
2選手が終盤低体温症で失速したとのこと。
中央学院大ぐらいの「実績も経験も十分」な大学にして、
少しのミスが命取りになる、
本当に恐ろしい大会となりました、最近の箱根駅伝は。
2年連続の次点から、
今年こそ初出場を狙った麗澤大は、
高速レースに対応が遅れて13位。
エースは頑張りを見せましたが、
無念でしょう。
同じく初出場を狙った徳本監督率いる駿河台大も、
昨年からは順位を落とし15位でのフィニッシュ。
来年の捲土重来を期します。
また、
かつての常連校にも厳しい結果が出ました。
上武大は14位、
以下大東大、東農大、日大、亜大らの名門は届きませんでした。
箱根駅伝プロジェクトを立ち上げた慶大、立大は、
「まだまだ届かないよ」
という事を見せられた感じですね。
いやあ、それにしても厳しい戦いです。
個人で見ると、
1位~4位までは、
例年のごとく異次元の走りを見せる留学生たちが締めました。
拓大のラザニがトップ通過、
国士大のビンセントがこれに続き、
日本薬科大のキプリモ、駿河台大のブヌカが4位でフィニッシュ。
この4人が日本人最速の三浦から1分~1分半早いので、
大きな貯金を作ってくれて、
所属するチームは本当に心強いことでしょう。
一方これまで留学生の圧倒的な走りに助けられてきた日大などは、
留学生が平凡な走りで全体48位で終わってしまい、
貯金が稼げなかったのがチーム全体に影響を及ぼしたようでした。
さあ、いよいよ駅伝シーズンも開幕ですね。
恒例の出雲駅伝は中止になりましたが、
全日本はすぐに行われ、
今年の各校の”立ち位置”が、
ある程度分かってくる感じになりそうです。
一昨日の立川、そして昨日の全日本実業団女子のレースを見ていると、
箱根も何となくではありますが、
つつがなく行うことが出来そうな感じではあります。
今年は春から夏にかけ、
トレーニングもままならないという厳しい時期が長かったと思いますが、
それでも各選手は例年と変わらない好走を見せてくれました。
スポーツ界が完全に日常を取り戻す契機として、
そして2021年の東京五輪の景気づけとして、
今年の箱根駅伝にはいろいろなものがのしかかっているかとも思いますが、
タスキに思いを乗せ、
来年も学生たちの快走で年が明けてもらいたいと思っています。
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