≪第94回全国高校野球選手権大会≫
【準々決勝展望】
第1試合 桐光学園(神奈川) - 光星学院(青森)
超強力打線に挑むドクターK・松井。優勝の行方をも左右する決戦!
3試合で53奪三振。桐光学園・松井の左腕が唸りをあげるのか。それとも2季連続準優勝、3回戦で3発をたたき込んだ超強力打線で相手を粉砕する優勝候補・光星学院の猛打が爆発するか。見どころの多い対戦となった。松井は3回戦ではかわすピッチングも披露し、甲子園で青天井に伸びている姿を披露した。大事なところでは三振を取りに行く姿といい、やはり今大会注目の選手だ。今日の試合は、光星学院が誇る天久、田村、北條らの長打力のある打線にどこまで必殺スライダーが通用するのかが焦点。松井が5点以上失うようだと、桐光学園の不利は免れない。桐光学園としては、今大会好調の打線が光星の城間を前半からとらえてリードする展開に持っていきたいところだ。打線では鈴木拓の調子が上がってきたのが好材料。上位打線の破壊力、下位打線のしぶとさとスキのない打線に仕上がりつつあり、神奈川大会での好調時に戻ってきた感じだ。光星学院としては、松井との真っ向勝負で打ち砕きたいところ。天久、田村のバッティングのうまい選手がキッチリと松井を攻略し、北條のところで失投を捕らえるというのが理想的な展開。エース城間、そして支える守備も一級品。ここで”東北勢初V”の夢をあきらめるわけにはいかない。いずれにしても、今大会の投打の主役が真っ向勝負する、ゾクゾクする対戦になる予感。
第2試合 大阪桐蔭(大阪) - 天理(奈良)
”何かが起こる”展開に持ち込みたい天理。休養十分の藤浪の快投乱麻に期待の大阪桐蔭。
面白い対戦になった。今年の大阪桐蔭の【超強力】チームが、公式戦で唯一黒星を喫したのがこの天理。昨秋の近畿大会準々決勝でのことだ。この時も『大阪桐蔭圧倒的有利』の下馬評を覆す勝利に、天理の底力を見た気がした。今回もその再現はなるのか。今年の天理、過去数年に比べて『何かが違う』。それはとりもなおさず、ベンチにどっかりと座って采配を振るう、橋本監督の存在があるからだ。もともと2度の全国制覇監督として【名将】の誉れ高いこの橋本監督。泰然自若としていながら、実にすばらしい采配を振るう策士だ。大阪桐蔭相手にも、絶好調の中谷投手を中心として、なんとか”一泡吹かせる”気力は充実している。大阪桐蔭にとっては、何とも嫌な相手なのではないだろうか。その大阪桐蔭。戦力・コンディション的には全く問題がない。エース藤浪は13日の初戦から中6日のマウンド。その力をしっかりと出せるコンディションだろう。打線は3回戦で3発、長打の威力を見せつける『フルスイング打線』だ。試合は、大阪桐蔭のペースで進むようだと一方的になる可能性もあるが、前半で天理がペースを握ると一気に緊張感の高まる試合になるとみる。天理としては、凌いでいくには昨日見せたような『堅守』が絶対に必要。前半の戦いぶりに注目の一戦だ。
第3試合 作新学院(栃木) - 東海大甲府(山梨)
打の作新vs投の東海大甲府。スピーディーな試合展開得意の両校、どちらが試合の波に乗れるか。
両チームともに、スピーディーな試合展開が得意。特に東海大甲府は、3試合とも1時間代中盤の試合時間で相手を葬り去った。その原動力は何と言ってもエースの神原。威力のある速球とスライダーで打たせて取る投球術は見事。テンポよくストライクで追い込んでいく投球術にはまると、相手は”知らぬ間に後半戦”ということになる。そして、なんといっても支える守備陣の確かな守備力が光る。渡辺・新界の二遊間の素晴らしい守備は大会屈指。捕手・石井の強肩もあり、相手のゆさぶりには動じない精度の高さだ。対する作新学院は、不祥事の後の3回戦でよく勝ちきった。3回戦こそ不発だったものの、その打線の破壊力は折り紙つき。トップ・石井から篠原・高山につなぐ中軸の破壊力は抜群。バンバン長打が続くのも特徴だ。一抹の不安を残す投手陣では、リリーフの水沼が甲子園を”我がもの”にして好投を続け、大黒柱にのし上がっている。先発を任されている左腕の筒井は今一つの出来が多いが、何とか中盤まで試合を作る役割は果たしているといえるであろう。大谷が使えない今、総力を結集して相手の攻撃を凌いでいく態勢だ。試合は、東海大甲府の”いつものペース”をいかに作新打線が崩していけるか。東海大甲府のゲームプランは今まで通り、『4点奪って、相手をそれ以下に抑えきる』というものだろうが、作新打線がそれ以上に得点できるのかが焦点となってくる。
第4試合 倉敷商(岡山) - 明徳義塾(高知)
総合力で勝負の中四国対決。倉敷商・西の”魔球”を巧者・明徳打線がどうとらえるか。
実力互角の中四国決戦。倉敷商はエース西の”魔球”シンカーがいいところで決まって、徐々に安定感を増してきた。2,3点の失点は覚悟するというものの、大量失点の心配がない投球はチームの『軸』だ。森光監督が自信を持つ打撃も好調。鋭い振りで得点を重ねている。対する明徳義塾も、盤石な姿を見せる。初戦に投げたエース・福。リリーフの1年生・岸。この両投手のプレースメント抜群の投球幅は、相手打線に的を絞らせない。打線はまだまだ本来の力を見せてはいないが、勝負どころと見るとかさにかかって攻めてくる迫力は、さすがは試合巧者と唸らせるものだ。倉敷商としては、先制点を奪ってしっかりと自分たちの野球をやり切りたい。対する明徳は、相手のいいところを出させないという特徴を生かして後半勝負に持ち込みたいところ。実力は両校遜色なく、前半から1点を巡る激しい戦いになりそうだ。
球史に残る熱戦、期待します。
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