ひとつはアニメ。
『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』

という作品。先週の観客動員と興収で2位とスマッシュヒットとなった作品。
Z世代に人気のスマホ用アプリゲーム『プロジェクトセカイ』の世界観から作られたオリジナルストーリー。
重要キャラクターのひとつである花里みのり役のCVを、小倉唯さんが務めているので観てきました。
作画の美しさと音響のクオリティが素晴らしかったです。
興収面での成功は、このゲームの人気に負うところが大きいでしょう。
唯さん、このゲームのみのり役もそうですけれど、うちの息子もやっている『ブルーアーカイブ』という大人気のゲームでも砂狼シロコという重要な役をやっていたり。
ゲームキャラとしての出演本数が非常に多いのが目立ちます。
深夜アニメよりもむしろゲームのCVを主戦場としている感じですね。
一方、こちらは昨晩Amazonプライム(ファイアスティックを使ってTV画面で観ました)で、妻と一緒に観賞した作品。

日本での公開は昨年の3月でした。
邦題は『丘の上の本屋さん』というタイトルがつけられていますが、原題はイタリア語で『Il diritto alla felicita'』というもの。
幸せへの(になる)権利、ですね。
イタリアの小さな町で古本屋を営む老人と、アフリカ・ブルキナファソからの移民の少年との交流を中心に...
そこにやって来る様々なお客たち...
そして隣のカフェ(バール)で働く青年たちとの会話から成り立つ映画。
なので必然的に地味な物語展開になります。
冒頭にファシズム、ナチズム大好きな「ウヨった」男性客が道化的に出て来て、クズ本を高額で買わされ...
今のイタリアの世情が諷刺されたりもします。
また人文的な「知」や教養、本や読書の価値が地に落ちようとしている、先進国のありさまが描かれていたり。
でもお話のメインは、やはり老人と外国人の少年の関わり。
売り物の本を少年にただで貸してあげながら、本の読み方、ものの考え方、世界の見方、人間としての生き方を少しずつ伝えて行く老人。
何よりもラストシーンが「うわーそう来たか!」という見事な展開で、涙腺崩壊でした。
もっとも「人権」の価値も意味も教えられていなくて、理解できない日本の多くの人に、どれだけ伝わるものがあるかは心もとないのですが。
これまで、私の中でのベスト作品は、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』だったのですが...
これはそれと並ぶ位置に置きたくなるものになりました。
あくまでも個人的な感想ですけれど。
でも、たとえいま極右政権になっていても、こういう映画が作られているうちは、イタリアもまだ大丈夫かなと思いました。