行かない年もあったのだけど、毎年、その町へ行くことが楽しみで
夏休みに入ればその町のイメージが心のどこかにあった。
僕らの住む町から、深緑の山の中にある町へ。
『山の色というのはあんなに深いのだなぁ…』と思いながら車窓から眺めた景色には
夏の空が青く蒼くあった。
普遍的な景色なのだろうけど、普段は学校と家の往復なものだから
僕にはとても新鮮で、そして新鮮に感じるくせにどこか懐かしいような
夏休みになれば行きたくなるそんな町。
いとこたちとは年を重ねるにつれ交流も薄れてきてしまい、
最近はその町へは全然行っていない。
一度、当時独身だった友人と観光に行ったことはあるけど…
毎年のように行っていた町へ改めて観光って何だかな、なんて思ったけど
家族でなく友人と行くその町は
視点が変わってそれはそれで新鮮な景色となった。
いとこの家へ行けば何泊か滞在するから、その間、まるでその町の住人のように
いとこ家族が飼っている犬の散歩をしたり
公園へいって遊んだりした。
母などは、観光にいらした人に道を聴かれたりなんかして
ほぼその町の人と化していたみたいだ。
いとこの家の周辺の簡単な地図は頭の中に入っていた母だったから
難なく道の説明はできたらしい。
夏休みの絵の宿題は、その町の絵を描いた。
古い街並みではなく、少し小高いばしょから見下した、田圃や家々の風景を描いたっけ。
片隅には向日葵を描き真ん中に道を一本描いた。
毎年その道をやって来るのだ。
そしてその道を帰る。
帰る時は寂しくてね…でも僕はおくびにもそんな気持ちは出さずにいたっけ。
出さないようにしていたというより、感情表現がヘタというのかな。
振り返ると、いつまでも手を振るいとこは泣いていて
それを見るとますます寂しくなって。
と同時に、せつない愛おしいような気持ちになってしまい、
帰り道は来る時のワクワクとは真逆に、しんみりとしょんぼり…。
でも、車窓からは深い山々が
『また来なよ、いつでもいるからさ』…なんて言ってくれている
そんな気がしたっけよ。
そんな夏休みを送っていた。(いつもこのパターン)
あの町は、僕にとって
永遠にワクワクする、新鮮で懐かしい町なのだ。
夏の花が咲き
カーラジオからは甲子園の応援のトランペットが鳴り響いて
家族の姿やいとこたちの姿、向日葵と一本道と、深い緑色。
日曜日の海と匹敵するそんな思い出なのだ。
また、行ける機会があったら行きたいそんな思い出の地。
小学校の頃から大人になるまでの青春時代、よく滞在させて頂いた。
遠い町の、夏の朝の空気が好きだった。
朝早く起きて、一人で窓から山と田圃の風景をこっそり見ていたっけ。
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最近は12月らしく寒くなってきたから、夏の景色を思い出してみた。
写真付きで紹介したいくらい、当時の僕たちが笑っているそんな思い出の
山の中の町だ。
大切な思い出を書いてみたけど…
また長くなってしまいました。(作文がヘタですみません)
好きなばしょってありますか?
いつか行くぞ…って思うと、何だか心があったまるよね。
風が強く寒い日は
こんな温まり方も好きだったりします。f^^;