武満徹さんがNovember steps を発表する際に
「洋楽の音は水平に歩行する、尺八の音は垂直に樹木のように立ち上がる」
という趣旨のことをいっていたそうですね。
これは、まさに今つかっているパンフルートの特徴です
パンフルートは尺八と違って閉管です。
音の出方はより垂直に立ち上がります。
また音質は管の素材にすごく影響されます。
これは音の共鳴も関係します。
黒檀のほうが素材が硬いのに音が柔らかいのは
空気が管のエッジにあたっときの気流の出来方が、
上面がなめらかなので、余分な気流が発生しないからだと思います。
竹の場合、どうしても表面は荒くなります。ハスキーな状態です。
これも魅力はあるのですが、音質の違いは大きいです。
それと、黒檀パンフルートは音が大きいです。同じ勢いで吹いても
奏者には意外とわからないのですが、音が伸びやかに出ていると
いいます。これは黒檀の場合、同じ音でも管の型が大きく
その分、振動がより発生して、倍音が出やすいのだと
思います。
この音を伴奏とともに、孟宗竹で作った
竹スピーカーから出します。
この竹スピーカーには音をマイルドにするいろんな秘密があります。
竹スピーカーの場合バスレフにしているので、閉管とは
言えません。原理的にはしかしパンフルートと同樣
空気が吹き口のエッジに当たり、その空気の振動が竹の中に空気の振動が
発生してその竹の長さ分の波形ができ、音が発生しています。
空気が入ってくる限り音は続きます。
このスピーカーの音を聞いた人は本当にいい音ですねと
よく感心されます。それはスピーカーユニットから出た空気の振動が
竹の中で、要らない波長がその形状から自然に処理されているからだろうと
思います。
オーケストラによる西欧音楽を聞いて今まであまり感動がなかったのは
音が水平方向に進むだけで立体感がなかったような気がします。
あれだけの人数がいて、ものすごい圧力で音が迫っているはずなのに
迫力がないのは不思議だなと思っていました。
ホールによるでしょうが、まだオーケストラで感動した演奏がないのは
そのせいなのかもしれません。
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