うどんの一本でもいいから食べたいというので、
落語の真似でうどんをもっていって、
透明のうどん一本を指で作った箸をつかって
母の口元に入れてやる、口元には透明の酸素マスクはあるが、
ズルズルっとわざと音を立てて、食べさせてあげた。
母ももぐもぐ特地を動かして、もう一本というので、もう一度
繰り返す。
美味しかったと満足気にいってくれる
なぜかほっとする。
おいしかったといったのは、
母の優しさから出た言葉。
母は胃潰瘍で幽門が閉じてしまって
まったく食事が取れない状態になっている。
人は常日頃、手も足も動き、健康でご飯を普通に食べることも
当たり前、でもあたりまえじゃないんだよ。
本当にこれは有難いことなんだ。
生きて動けることのありがたさを
もっとかみしめないと、と思う。