2009年に成立した民主党内閣の達成した政策のうち、最もドラスティックなものは農林水産予算のうち土地改良事業費を激減させて戸別所得補償制度にしたことだ。近年でも土地改良事業で土地改良事業理事(長)の逮捕者、有罪判決が出ている。福岡県のケースは元大木町会議長、愛知県のケースは元愛西市議でいずれも地域の名士といえる。土地改良事業の理事は元地方議員の天下り先で、元議員にカネと名誉を与えるもののようだ。そのような利権を持っている人々には、民主党政権は悪夢だったのだろう。土地改良事業費の削減は地域の名士を中心とした地域コミュニティの破壊につながるのではないかと思う。これは地域の名士の特定郵便局長の座を危なくした小泉郵政改革と通ずるものがある。名士中心のコミュニティという形態はもう維持できないのかもしれないが、それに代わるコミュニティが自然発生するわけではなく、「新しい公共」のような仕組みは必要だ。 八ッ場ダムに代表される、ダム建設削減はうまくいかなかった。ダム予算を削って堤防建設に使えば、ダムによる防災の限界が露呈した昨年の西日本豪雨の被害ももう少し減らせたかもしれない。